ロシアのハイクオリティ・カーオーディオケーブルブランド『TCHERNOV CABLE(チェルノフケーブル)』の、2015年モデルのインプレッション・リポートを4週に渡ってお伝えしている本特集。3回目となる今週は、RCAケーブルの『クラシック』と『リファレンス』について。じっくりとお読みいただきたい。
これまでのフラッグシップ『リファレンス』を超えるスーパーハイエンドグレードとなる『アルティメット』シリーズを発表した『TCHERNOV CABLE』。その『アルティメット』の音を聴くことが今回の取材のメイン・イベントなのだが、それを行うにあたり、全グレードの実力を緻密にチェックしている。ということで先週は、エントリーグレードである『スタンダード』シリーズと、4thグレードである『スペシャル』シリーズを聴いた。その時点で改めて、同ブランドの実力を実感…。
さて今週は3rdグレードである『クラシック』と、これまでのトップエンドグレードであった『リファレンス』のインプレッションをお伝えしていく訳だが、それぞれの音質性能や、いかに…。
最初に試聴システムを簡単におさらいしておこう。以下のようなシステムで試聴を進めていった。
PC→USB-DAC→パワーアンプ(オーディオウェーブ・Aspire Pro CA(税抜価格:72万円)→スピーカー(RSオーディオ・RS マスター2(税抜価格:65万円)という陣営だ。そして、それらをつなぐケーブルはすべて『TCHERNOV CABLE』で統一。パワーケーブルには『TAC-Special MKII DC POWER 8 AWG』(税抜価格:3900円/1m)を、スピーカーケーブルには『クラシック TAC-ClassicMKII SC/1』(税抜価格:9300円/1m)を、それぞれ使用している。
ところで、今回使用したRCAケーブルはすべて1.65mの2chモデル。それぞれの価格についてもおさらいしておこう。
スタンダード
『TAC-Standard1 IC165』(税抜価格:8400円)
スペシャル
『TAC-Special MKII IC165』(税抜価格:2万4000円)
クラシック
『TAC-Classic MKII IC165』(税抜価格:8万7000円)
リファレンス
『TAC-Reference IC165』(税抜価格:28万1000円)
グレードが上がるごとの価格差は以下のとおりだ。『スタンダード』に対して『スペシャル』は約2.86倍、『スペシャル』に対して『クラシック』は約3.63倍、そして『クラシック』に対して『リファレンス』は約3.23倍だ。
先週にリポートしたように、『スタンダード』に対する『スペシャル』の価格差は、音質性能としてもはっきりと感じられた。さて、それに対する『クラシック』はどうなのか…。
RCAケーブルを『クラシック』へと交換していただき、期待を膨らませながらいつもの試聴用トラックをスタートさせると…。
一瞬の出音を聴いて、「世界が変わった」と思わされた。音楽全体の印象が、明らかに一変したのだ。
S/Nが上がり、結果、雑味がなくなっている。前回『スペシャル』を聴いていて雑味があるとは特に感じなかったのだが、『クラシック』では音楽の見通しがさらに良くなっている印象だ。
それに伴い、楽器の実在感が高まっている。とにかくリアル。手を伸ばせば触れられそうなイメージだ。また、各楽器の素材感も、さらにリアルに感じ取れるようになった。例えばシンバル。シンバルそのものの素材は金属で、当然ながらスティックは木製なのだが、それぞれの素材感(“金属” であり “木” であること)を、とてもすんなりとイメージできるのだ。
そして、表現の幅も広くなっている。シャープな音色はさらにシャープさを増し、マイルドな音色はさらにマイルドになっている。
このような感じ方は、ハイエンドオーディオを聴いた時だけにしか味わえない感覚だ。細かな要素がどうということよりも、ただただ質感の心地良さに満たされる…。使用している機材がハイエンド製品で固められ、そしてケーブルまでもハイエンドとなり、個々の製品の良さが十二分に引き出された、ということなのだろう。
さて、お次は『リファレンス』だ。この段階で、「これよりも上がさらに2アイテムもある!」という事実に驚きを覚えながらも音を出してみると…。
絶句した。またもや、もう1段階上の、別世界に連れて行かれたのだ。
同じ楽曲であるのに、すべてのパートの演奏者や使用楽器類が、それぞれ別格のレベルになったかのような錯覚さえ覚える。料理に例えるなら、素材のレベルがぐっと上がった、というイメージだ。魚も肉も野菜も、それぞれが厳選された高級素材となり、そのものの味がぐっと豊潤になった、そんな印象なのだ。調味料の味はむしろ薄味だ。しかし、個々の素材の味わいが濃厚なこと、濃厚なこと…。
さらには質感が限りなく上質になった。滑らかさ、きめ細やかさが極限的で、耳当たりの気持ち良さたるや、まさに段違い。結果、音楽の感動力が上がっている。より胸に迫ってくる…とでも表現すればいいのか。とにかく、さすがとしか言いようがない。
この感動力こそが、『TCHERNOV CABLE』の真骨頂と言うべきだろう。導体の純度を上げることよりも、必要な成分を厳密にコントロールしながら融合させていくことにこだわり抜いているという『TCHERNOV CABLE』。そうすることで、単にS/Nの向上や情報量を増大させるにとどまらず、音楽性を豊かに表現できるケーブルに仕上げているのだろう。正確かつクリアであることに加え、音楽の生命力を増してくれるケーブル…。『TCHERNOV CABLE』は、そのようなハイクオリティ・ケーブルなのだ。
さて、次週はいよいよ注目のスーパーハイエンドケーブルである、『アルティメット』シリーズの実聴リポートをお伝えする。お楽しみに!