リンカーンのSUVシリーズではフラッグシップの『ナビゲーター』。何といっても全長5290×全幅2010×全高1980mmの巨体には圧倒されるばかり。これぞアメリカンSUVという貫録は、見た瞬間に伝わってくる。
ではこのクルマの走りは? というと、ひと言で表わすなら「オーセンティック」ということになる。自動でせり出すサイドステップに足をかけ、フカッ! としたシートに腰を降ろし、いい意味で武骨なタッチのドアをバスン! と閉める。エンジンをヴォン! と始動させ、シフトセレクターをズバッ! と入れ、ステアリングをスルスルと回して走り出す。そうした一連の所作と操作感は、昔ながらのアメリカ車の味わいそのものだ。
これまでのV8からダウンサイジングしたV6の3.5リットルエンジンは、“Eco Boost”の打ち出しではあるが、ドロロロと野太い音を響かせ悠々と回る。385ps/63.6kg-mもの性能だから、そうそう回さずとも走れ、一般道を日本の法定速度で流せば、1000rpm+程度でユルユルと回っている程度。乗り心地もアメリカンSUVらしいおおらかさだ。
3列目でも国産ミニバンの2列目ほどのゆとりがある室内は、広いが大型アメリカ車特有の包まれ感がある。スクエアなボディ形状だから、誰にでもどうぞ…というクルマではないが、慣れれば日本の狭い道でも臆せず運転せきるとこも付記しておこう。乗車定員は8名だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。