メルセデスベンツの『Gクラス』はもともと軍用車としてデビューしたヘビーデューティなモデル。今は装備を充実した上級化が進み、日本に輸入されるモデルも高級なSUVとなっている。
最新のGクラス、G550に搭載されるエンジンは『AMG GT』やAMG『C63』などに採用されている4リットルのV8ツインターボで、422馬力を発生する。考えてみてほしい、クロスカントリー4WDのパッケージングでありながら400馬力オーバーのエンジンが搭載されているのだから、ある意味異常事態だ。
走りももちろんケタ違いだ。停止状態からアクセルをグッと踏み込むと2.5トンオーバーの車体をものともせず、怒濤の加速を開始する。スポーツカーの加速は猫科の動物にたとえられるが、G550加速の様子は重量級の象が突進するようなもの。しかし、驚くべきはそうした加速が行われる際もしっかりとしたフラットな安定感を持っていることにある。
サスペンションには電子制御のアダプティブダンピングシステムを採用。ボディの動きをセンサーで計測しているほか、舵角、操舵速度、ヨーレートなども計測しているので高い安定性を見せるのだろう。このサスペションシステムには走行モードの切り替えがあり、コンフォートを示す「C」とスポーツを表す「S」がある。「S」にするとビシッと引き締まったハンドリングとなり、コーナーも気持ち良く走れる。
デフは電子制御でセンター、リヤ、フロントの順にセンターコンソールに配置されたスイッチによってマニュアルロックできる設定。今回の試乗ではこの機能を試す機会はなかったが、車高を含めバツグンのオフロード走行性能を示すは間違いない。
さて、大きな問題(このクルマに興味を示す人には問題ではないかもしれないが)は、1470万円という価格。姿形、そして機能に合ったものとはいえ、普通に手が出せる存在ではない。ゆえに★の数も価格を考慮しないものとした。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。