ホンダが3月10日から自治体や企業向けにリース販売を始めた新型燃料電池車(FCV)『クラリティ フューエル セル』は1充填あたり航続距離750kmを実現している。だが開発責任者を務める本田技術研究所の清水潔氏は「もともとの目標は700km以上だった」と明かす。
清水氏は「インフラが潤沢にない状況であると、やはり航続距離を最大限に伸ばすのがカーメーカーの当面の責務だと思う。そうしなければ使い勝手が上がっていかないので、そういう観点からできるだけ少しでも伸ばすようにということで開発してきた」と振り返る。
そこで「最初の目標は700kmを超えるところにおいていた」ものの、「走行エネルギーを極力下げていき、転がり抵抗の低いタイヤを使うなど様々なことに取り組んできた結果、想定以上に走行エネルギーを下げることが可能になり、航続距離のターゲットを超えて達成できた」というわけだ。
また「基本的なボディ形状による空力性能の良さに加え、タイヤやホイールハウスから発生する空気の乱れを抑えるエアカーテン、タイヤカバーを装備している。空気の流れを徹底的に考え、デザインと空力性能を高次元で両立させている」ことも寄与している。
なかでも「リアのエアカーテン用のエアダクトを4ドアセダンのリアドアに設置することは世界で初めてになる」という。
さらに清水氏は「大人5人が乗れるキャビンスペースを取りながら水素タンクも最大限大きくしてトランクスペースも十分とったということで、クラリティ フューエル セルのパッケージは我々としても自慢して良いと思う」とも話していた。