自動車関連技術の世界的なリーディングカンパニー「フォルシア」の事業部門である「フォルシア クラリオン」は、かねてから法人向けに展開しているクラウド活用型車両管理ソリューション『SAFE-DR』に、安全運転指導に役立てられる新機能を追加した。
その機能とは、AI技術を活用した“顔認証機能”だ。なおこれは、一般的な顔認証技術とは少々趣が異なっており、『SAFE-DR』ならではの特別な能力を有している。
「通信型ドラレコ」と「クラウド」が連携し、より効率的な運行管理を実行可能に
昨今、さまざまなメーカーから法人向けの車両管理サービスがリリースされている。その中にあって「フォルシア クラリオン」も、2018年から『SAFE-DR』と称するクラウド活用型の車両管理ソリューションの提供を開始していた。そしてこの9月より、他にはない先進的なAI技術を活用した新たな“顔認証機能”が追加された。
まずは、『SAFE-DR』とはどのようなものなのかを説明していく。当サービスは、車両を用いる企業の「業務の効率化、経費削減、安全」をサポートするソリューションで、業務用車両に専用の通信型ドライブレコーダーを設置し、これによりドライバーおよび車両のさまざまな情報を収集する。例えば、ドライバーそして車両ごとの走行距離・軌跡・走行時間やイベント(急加減速、急ハンドル等)発生時の各情報(位置・時間・画像)等々をクラウドに集積。運行管理者は、それらの情報をブラウザ経由でいろいろな形で閲覧できる。毎日の運転情報に基づいた日報/月報を受け取れたり、リアルタイムのカメラ映像も確認できる。
また専用Webサイトで生成される日報や月報では各ドライバーのクセや問題点も抽出されるので、安全運転指導を促す際に的確なアドバイスを送れるようになる。さらに車両ごとの稼働率把握も可能となるので、より効率的な車両運用を実行できる。そして何より、日々各ドライバーに対して安全運転への意識付けも行える。
さらに『SAFE-DR』は、コストパフォーマンスが高いことも特長としている。システムの利便性とコストとのバランスが至って良好だ。また「フォルシア クラリオン」は営業拠点を全国展開している。ゆえに導入からアフターサポートまできめ細かくケアできる。
なお常に車両管理とドライバーへの安全運転指導を促すための機能の向上がめざされ進化が繰り返されてきたことも、『SAFE-DR』ならではの利点だ。車両管理担当者からの要望に応えてサービス内容を適宜発展させてきた。
ドライバーと車両との“紐付け”をオートマッチックに完了できる
そして今回『SAFE-DR』は、さらなる進化を果たした。AI技術を活用した“顔認証機能”が追加されたことで、管理能力が著しく向上している。
当機能は、ドライバーと車両とを自動的に紐付けるためのものだ。日によって運転する車両が異なる場合、車両とドライバーを都度紐付けないと通信型ドライブレコーダーから得られる情報が誰のものかが分からなくなる。当機能を活用すれば、クルマと人との紐付けをシームレスに行える。
ちなみに『SAFE-DR』ではこれまでも、ドライバーと車両とを紐付ける仕組みを有していた。QRコードが印刷されたシールを各車の通信型ドラレコに貼り付けておき、それをスマートフォンで読み込み登録操作を行えば紐付けを完了できる。これはこれで考えられた仕組みであるが、車両に乗り込む度に操作が必要となり業務が終了した際には解除操作も行わなければならない。
インカメラで運転者を認識。エンジンONで自動的に認証は完了する
対して新たな“顔認証機能”では、登録・解除の操作が不要だ。ドライバーは何もせずにクルマへ乗り込むだけで紐付けが終了する。具体的にはドライバーがエンジンをスタートさせると、まずは通信型ドライブレコーダーが起動を開始する。ちなみに起動は1分半ほどで完了するのだが、ドライバーはそれを待つ必要はなく、すぐに走り出しても問題ない。そして起動が済むとドライブレコーダーから「認識を開始します」というガイダンス音声が流れる。そしてその1、2秒後に顔認証を行えた旨が告げられ、これだけで完了となる。
カメラと正対せずとも“顔認証”を実行可能
一般的な顔認証技術では、こうはいかない。優れた顔認証技術でも大概は、認証を行う際にはカメラと正対しなければならない。しかし「フォルシア クラリオン」の“顔認証機能”では、必ずしもカメラと正対しなくても判別が可能で、映し取った顔の画像データは真正面を向いた状態へと補正できるよう特別にチューニングされている。そしてこの仕組みはクラウド上で動作するので、カメラ内に搭載する必要はない。
ちなみに車内を映すインカメラはオプションなのだが、車内の様子(ドライバーの様子)を把握するためにこれを導入済みであるケースは多いという(インカメラは夜間の撮影にも対応する)。そうであれば、新たに機材導入をせずにこの“顔認証機能”の提供を受けられる。追加コストはサービス料のみで済むのだ。『SAFE-DR』は、ここでも高いコストパフォーマンスを発揮する。
なお、顔認証を行うための元となるデータの登録作業はマニュアル化がなされているので誰でも容易に行うことができ、データの採取(スマートフォン等で実行する)から登録までは数分程度で完了できる。
「フォルシア クラリオン」ならではのさまざまな技術が結実
この新たな“顔認証機能”が加わることで他の車両運行管理サービスと比べて一層の利便性を発揮することとなった「フォルシア クラリオン」のクラウド活用型車両管理ソリューション『SAFE-DR』。なおこれがここまでのものとなったのは、同社が培ってきたさまざまな技術が活かされているからこそだ。
例えば同社は、2012年より『スマートアクセス』と称するカーナビとスマートフォンとをクラウドを介して連携させるサービスを提供している。
このAIを活用した“顔認証技術”自体も、じっくり時間を掛けて作り上げられてきた。当技術は、昨年に開催された『東京モーターショー』の同社ブースでお披露目され、来場者を驚かせ話題を呼んでいたのだが、その技術が満を持していよいよ市場投入されるということとなる。
「フォルシア クラリオン」の『SAFE-DR』は、先進の“顔認証機能”を得て一層のバリューを身に付けた。そしてこれにより、同社の技術力の確かさを改めて世間に知らしめた。ちなみに同社では、『SAFE-DR』をさらに管理能力を上げるべくさまざまな新機能を開発しているとのことだ。次にはどのように安全運転支援に寄与する進化を果たすのか、今後にも注目したい。