現行型の60系の登場以来、カスタムベースに使われることがさらにヒートアップ中のトヨタ『プリウス』。東京オートサロン2024の会場内でも、独自路線のエアロワークやデザイン処理を加えたデモカーが多数出展。プリウスユーザーには目移りする状況となった。
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フロントウインドウを大きく寝かせたワンモーションフォルムやハンマーヘッドデザインなど、思い切ったデザインを投入して登場した60プリウス。ソリッドなボディスタイリングや完成度の高い細部デザインなどから、カスタムポイントを探すのが難しいベースだと思われていた。しかし、カスタムを手がける各メーカーはあの手この手でプリウスをモディファイすることに成功。そんな発表会的な意味合いも兼ねていたのが東京オートサロン2024だった。
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各社のボディメイクを見ていくと、大まかな傾向が見えてくる。フロントはリップ部が限りなく薄い60プリウスなので大きなイメージチェンジは難しそう。一方、フードからヘッドライトに伸びるハンマーヘッドデザインはさまざまな形状のガーニッシュを加えるなど、ベースのフォルムを崩すこと無く個性的なフェイスイメージを取り入れるために各社が工夫しているポイントのひとつでもありそうだ。従来のエアロカスタムではあまり重視されてこなかったフェイス部分を控え目に彩るのも60プリウスのスタンスだろう。
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さらにサイドビューで見どころとなるのはボディサイドのエグリを加えたラインだ。フロントドアからリアドアに掛けて大きく絞り込まれてリアフェンダーで再び膨らみを持たせる、そんなグラマラスな立体ラインがプリウスのサイドビューの特徴だ。実はこのエグリボディをさらに強調するためのサイドエアロの製作も今回のトレンドのひとつになっている。パーツとしてはボトム部分にリップ状の平面を持たせるデザインが多く見られる。これによりボトムに基準となる直線を引き、ボディのエグリ部分を一層強調する効果を引き出すのだ。抑揚を付けたプリウスのサイドビューをもっと効果的に見せるにはサイドエアロには要注目だ。
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さらに手数がもっとも多く投入されているのがリアまわりだろう。純正状態でバンパーに凸形状の造形を込め、ちょっとレーシーなデューザー形状を作っているプリウス。そのためエアロパーツでもボトム部に派手な造形を取り入れているケースが多い。広い面積をカバーするハーフタイプのエアロでも、ボトムから開口部にまで及ぶデザイン処理を加えて大きくイメージを変えている。もちろんフルバンパーとなればサイドのフェンダー後端の形状までを含めて広範囲かつ大胆にモディファイしているメーカーもある。
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さらにリアまわりでもうひとつの注目点がアッパー系で目立つリアゲートへのスポイラー取り付けだ。ここも2本足やダックテールなどさまざまなウイングデザインを各社が取り入れている。ただし、フロント~リアへと流れるワンモーションフォルムを持っている60プリウスだけに、存在感満点のウイング形状では無く、フロントからの流れを受けてラインを合わせたパーツが多いのも印象的だった。
シンプルでスマートなボディを備えた60プリウス、カスタムビルダーに取っては細部を煮詰めて変化を出すという、かなり難しい処理になったようだが、確実に各社が個性的なモディファイを完成させたのが写真からもうかがい知れるだろう。60プリウスのモディファイはいよいよ本格化が始まった。