ただのコンパクトカーにあらず。試乗した印象を15文字以内(句読点含める)で記すとこうなる。先ごろマイチェンを果たしたSUVの『Tクロス』のベースはこのクルマだが、改めて乗ると、サラッと上質な仕上がりを実感する。
「アスコットグレー」と呼ばれる光の加減でうっすらとベージュにも見えるボディ色は、さり気なくニート(neat=小綺麗な、すっきりしている)で、年配のダウンサイザーが乗っても馴染みそう。もちろんボディサイズが全長4085mm×全幅1750mmと手頃で、最小回転半径が5.1mだから、狭いスーパーの駐車スペースなどでも扱いやすい。
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リヤのVWロゴバッジをオープナー兼用としたリヤゲートを開ける仕組みはVW流だが、隠されたロックボタンを手探りで探す必要がない分、扱いやすく、ゲート自体も小振りだから、力を要さず開けられ、買い物袋をサッと載せられる。
室内はグレートーンでまとめられ、試乗車は「TSI Style」で「GTI」のような高揚感を呼び起こすタイプではない代わりに、いつも平常心で(?)乗っていられる。エンジンの始動ボタンがシフトレバーの右側に置かれているのは嬉しい。
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そして感心するのが、走らせて感じられる上質感だ。とくに足回りや3気筒999ccターボエンジンから伝わってくるはずの音、振動がスッと低く消された感じは、(Tクロスにも受け継がれている)上級の『ゴルフ』に勝るとも劣らない、このクルマが“いいクルマ”と思える最大のポイント。
1170kgの車重に対して95ps/17.9kgmの動力性能は7速DSGとの組み合わせによりまったく不満なしで、街中はもちろん高速走行もソツなくこなす。
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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。