「DIATONE SOUND.NAVI」のスタンダードモデル、NR-MZ60について、このモデルに秘められた可能性を掘り下げてご紹介している当コーナー。
このモデルに秘められた可能性とはズバリ、多くの人に「音が良いことの気持ち良さ」を体感してもらい、カーオーディオの素晴らしさに目覚めてもらうこと。純正スピーカーと組み合わせただけでそれを感じてもらえる実力があることが、『キモ』である。
本当にその実力があるのか…。それを確認すべく、今回は実際に、純正スピーカーシステムと組み合わされたデモカー、MINIを聴いてみた。そのインプレッションをお届けしたい。
ところで、純正スピーカーと組み合わせても「音が良いことの気持ち良さ」を体感できるその理由について、これまでは以下の2点を大きくクローズアップしてきた。DACおよびDSPの性能が高く、音楽信号が上質だから、ということと、パッシブネットワークを使用したシステムでもツイーターとミッドベースに個別にタイムアライメントがかけられるから、という2点だ。実はそれ以外にも「音が良い」理由がいくつかあるので、今回はまず、それらについて補足しておきたい。
ポイントは3点。まずは、ナビと同一ボディになっていることによるネガティブな要素に対して、徹底的に対策が講じられている、ということ。ナビ回路、モニターなど、ノイズを発生する可能性がある回路と同一ボディであることは、オーディオ機器として不利であることは事実だ。それに対して、「ノイズを出さない」「ノイズを受けない」対策が綿密に施されていることが、まず1点目。
2点目は、内蔵アンプの音質性能が高い、こと。専門家の意見を聞いても、巷の評判を耳にしても、内蔵アンプのクオリティに対する評価は高い。多くの人が認めるところである。
そして3点目。クロックの時間揺らぎ(ジッター)によるデジタル信号の歪みを除去する三菱独自の回路、「メモリーコレクター」が搭載されていること。ダイヤトーンが擁するハイエンドユニット、DA-PX1にも搭載されているこの回路が、「DIATONE SOUND.NAVI」にも採用されている。
これらすべてによって、純正スピーカーで聴いても実感できるほど、音質性能が高いのである。
さて、インプレッションに移ろう。一聴して最初に感じるのは、音の耳当たりの良さ。とにかく、耳に心地良い。ボーカルにしても楽器にしても、質感が上質。コレはひとえに「情報量が多い」ことの恩恵だろう。倍音が十分に乗り、音がきめ細かく、豊潤。うま味がたっぷりと乗った音、という表現でもいいかもしれない。純正スピーカーで聴ける音としては、あり得ないレベルでそれを感じることができた。
ボリュームを下げてみても音楽がしっかりと堪能できることも、音の良さを証明する事象といえる。ボリュームをある程度絞っても、だんだんと大きく、しっかりと聴こえてくる。これも「情報量が多い」からこそ、ということだ。
ちなみにこのMINIでは、リアスピーカーも鳴らしていた。音量的には、フロントの1/4くらいであるとのこと。ちなみに、リアスピーカーにはローパスフィルターがかけられるので、リアスピーカーでは低域だけを重点的に鳴らす、という使い方もできる。リアスピーカーをある程度鳴らすことで、音の土台がしっかりして、全体的なサウンドの密度感がアップされているような印象だった。タイムアライメントをフロントのツイーター、ミッドベース、そしてリアスピーカーそれぞれにかけられ定位がしっかりしているので、リアを鳴らしたからといって、適量であるならば、音が後ろに引っ張られることもない。
NR-MZ60。純正スピーカーでここまで鳴らせられるのはサスガのひと言。「音がいいことの気持ち良さ」を、多くの人に気づかせる能力があることは間違いない。カーオーディオの楽しさを多くに人に伝える伝道師になり得るユニットであることを、つくづく感じることができた。