『カロッツェリア』がユニークな“社員研修”を実施した。その名も「レコーディング研修」。
参加したのは、「マーケティング課」と「専門店営業課」の精鋭スタッフ全員。前者は、「カロッツェリアX」を始めとするハイクオリティ・カーオーディオ製品などの製品企画から、導入、宣伝、販促までを担う部門。後者は、全国の「カロッツェリアX取り扱い店」をフォローする部門だ。
広いブース内で、ドラムスとベースとギターが同時に演奏された。ベースはラインでPAに直結されていて、ギターもスピーカーだけは別ブースに置かれているので、3者の音が混ざることはない。各者がグルーブ感を共有するために、同じ空間で演奏されたのだ。
“「カロッツェリアが表現する高音質」の追求を行い、商品開発に向けてたゆまぬ努力を行っている”同社。「マーケティング課」と「専門店営業課」は、その中でもキモとなる部門だという。
そのキー・パーソンたちの経験則をアップグレードさせようというのが、この研修の目的だ。スピーカーを始めとする、“音の出口領域”に留まらず、“音の入り口領域”における知見を深めようということなのだ。この「レコーディング研修」は、その第一弾だという。
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ギターアンプのスピーカー部だけが別ブースに置かれ、そこにマイクがセッティングされていた。パーカッショニストは、楽器と共に別ブースに入って、その中で1人で演奏。演奏は4人同時に行われた。
研修を企画された方からお話をお聞きした。
「“音にこだわる”メーカーとしては、音楽の楽しさを世の中に伝えていくことも使命だと考えています。そのためには、音楽に関する幅広い知識と経験を有している必要があります。音楽に関する知識を深めることで、感動体験を重ねることで、より純粋に、よりシンプルに、音楽の楽しさを伝えられるようになると思うんです」
百聞は一見にしかず。肌で感じたことがあるか、ないか、この違いは大きい。音楽に関する感動体験が多ければ多いほど、その楽しさを人に伝えることができる。至極、納得できる話だ。
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参加ミュージシャンの方々。長崎智宏さん(Arr/Key/Trac Make)、渡嘉敷祐一さん(Drs)、長岡道夫さん(Bass)、川瀬正人さん(Perc)、角田 順さん(Gtr)という強力な布陣。
さて、どのようなことが行われたのかを具体的にリポートしていこう。
始まりは約2か月前までさかのぼる。受講者に『レコーディング/ミキシングの全知識』という教科書が支給されたのがスタート。その道の専門家に向けた参考書である。
研修日の前日には教科書を元に、マイクやケーブルなどの実物を用いながらの講義も行われた。
こうして迎えられた研修当日。会場は、一流レコーディングスタジオである『音響ハウス』。そこに一線級のスタジオミュージシャンが集められ、実際のレコーディングが行われた。まさに“ガチ”。なんとも豪華だ。
録音は以下のような手順で進められていった。まずは、マイク・セッティングから。どのようにマイクを立てるかについても相当なノウハウがあるのだという。
その後、基本的な音を決める“サウンドチェック”が行われ、演奏され、録音、そしてオーバーダビングが行われ、ミックスダウンへと進む。
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“トラックダウン研修”は、「音響ハウス」のエンジニアである櫻井繁郎さんによる実演からスタート。スムーズに素早くミックスが進んでいく。そして、完成した音源を録音した後、一旦すべてのパラメーターがゼロに戻された。その後、カロッツェリアのスタッフがミックスにトライ!
研修のハイライトはこのミックスダウンだ。実際のミックスダウン操作の実習が行われたのだ。
2人1組となり、30分ずつミキサー卓を操作。
ちなみに、ミックスダウン時に行われる操作とは、「各chの音量バランスの決定」、「各楽器の位置(パン)の決定」、「EQ操作」、「エフェクト操作」と多岐にわたる。
ドラムだけでも10chが使われていた。バスドラム、ハイハット、スネア、シンバルなど、それぞれが別のchに録音されているのだ。この10ch分のミックスだけでも、初心者には相当に難しいと思われる。30分では何もできない、というのが実情だろう。しかし、操作を体験したという事実は経験としてかけがえのないものとなるのだろう。録音現場の空気が強烈に、心と体に刻まれたはずだ。
今回この研修を取材することで、『カロッツェリア』が音にこだわるブランドであることを再認識した。
『カロッツェリア』と『カロッツェリアX』の今後に、大いに期待したい。これからも音にこだわった秀作が、次々とリリースされ続けるに違いない。