「ワイドFM」について、これが何なのか、どう楽しむべきなのかをリポートしている。今回は、そもそもの目的を解説していこうと思う。“地上波アナログ放送”が終了して空いていた周波数帯を、どのように有効活用しようとしているのか…。詳細にお伝えする。
結論から入ろう。そもそもの目的は2つある。1つ目は「難聴対策」である。
AM放送は、FM放送に比べて受信しづらいケースがいくつか存在している。まずは「都市型難聴」という問題だ。AMの電波は、高層ビルやマンションでは受信が困難になりがちなのだ。また、外国波の影響を受け、混信する地域もある(日本海沿岸の一部の地域等)。さらには、地理的・地形的な難聴地域も存在している。
これに対処することが、「ワイドFM」の1つ目の目的なのだ。
そして2つ目は、「災害対策」だ。
実は東京のAMラジオ局は、親局送信所が川沿いや液状化が発生しやすい場所にあり、災害時の放送継続が困難になると言われていた。しかし、AM放送局もFM電波で放送できれば、リスクを減らせる。他の地域においても、AM、FMどちらでも放送ができれば、同様に、災害対策の強化が図れる。
これらが「ワイドFM」のそもそもの目的なのである。
かくして、「災害対策」は万が一のときの話であるので、通常時は「難聴対策」のために「ワイドFM」は存在することとなる。なので、通常のAM放送の番組が、同時にそのままFM電波でも流される、という次第なのだ。
さて次週は、「ワイドFM」の楽しさを解説していく。本来の目的はさておき、我々の日常生活において「ワイドFM」はどのようなメリット生み出すのかを考えてみたい。次週の当コーナーにも、ご注目いただきたい。