“カーオーディオ・プロショップ”がどのようなところなのかをご紹介しながら、カーオーディオの奥深さについても考察している。今月も、プロの「サウンド・チューニング技術」の凄さを解説していく。
先週から、“位相”についてご説明している。まずは、“位相”とは何なのかを解説した。今週も最初に、これが何なのかを少々説明の仕方を変えておさらいしてみたい。
以下のようなシーンを思い浮かべてほしい。まったく波がない水面に、石を落としたとしたら…。そうすると、落とした場所を中心に波が広がっていく。音が発せられたときも、空気中でこれと同じようなことが起こる。波は盛り上がって、今度は盛り下がって、そして最初の水面の高さまで戻ってくる、この1サイクルが“1波長”であり、このサイクル(周期)を“位相”だと思ってほしい。
ところで“位相”は、ズレたときに問題を引き起こす。もしも1つのスピーカーしかなかったら、“位相”のことを心配する必要はない。相手がいないのだから、ズレようがないのだ。“性格の不一致”とは他者との関係において起こることだが、それと同じなのである。
しかし、ステレオとなり左右にスピーカーが置かれると、左右の関係において“位相”ズレが起こり得る。そして2ウェイとなってトゥイーターとミッドウーファーに分けられた時、タテの関係においても“位相”のズレが起こり得る。
ちなみに、“位相”がズレる原因は主に2つある。1つは場所の違いによるズレだ。トゥイーターとミッドウーファーが同じ場所で、同じ向きで置かれていればいいのだが、カーオーディオでは両者がバラバラの場所に着けられていることがほとんどだ。
そしてもう1つ、電気的な作用でも“位相”はズレる。例えば、+と−を逆に接続すれば、“位相”は180度ズレる(真逆になる)。あと、クロスオーバーの“スロープ”(カットオフした音の減衰率)を変えても位相がズレていく。
というわけで“カーオーディオプロショップ”は、調整において、“タイムアライメント”を駆使して場所による“位相”ズレに対処しようと試み、“クロスオーバー”を駆使して、電気的な“位相”ズレを克服しようと試みる。さらには両方を掛け合わせることでも、“位相”のズレを正していく。
少々難しい話となったがいかがだったろうか。なんとなくでもイメージしていただけていれば、幸いなのだが…。
“位相”についてはここまでとさせていただく。次週はまた別のキーワードについて掘り下げて行く。