低音強化に興味を持ちつつ、未だ「サブウーファー」を導入していないアナタに向けて、「低音増強プログラム」をご紹介している。今回はその最終回だ。「本格サブウーファー」を導入するときの1様式、「ワンオフボックスタイプ」について考察していく。
「ワンオフボックスタイプ」とは、単品のサブウーファーユニットを購入し、それを鳴らすためのウーファーボックスを製作、さらに外付けパワーアンプを用意する、という「低音増強プログラム」である。
■サウンドを自在に操ることができ、省スペース取り付けも可能な「ワンオフボックスタイプ」
まずは、この方式のメリットから解説していこう。1つ目のメリットは、「サウンドの方向性をコントロールできること」。音の方向性は使用するサブウーファーユニットの性能にも左右されるが、それと同等に、場合によってはそれ以上に、“どんな箱を作るか”によっても変わってくる。
例えば、箱を大きめに作れば伸びやかな低音が得られやすく、箱を小さめに作ればタイトな低音が得られやすくなる。また、内部に入れる吸音材等でも音質をコントロールできるし、構造を変えても(密閉タイプかバスレフタイプか等)チューニングが可能なのである。
2つ目のメリットは、「隠す取り付けも可能になること」。「本格サブウーファー」を導入する際、箱が場所を取る、というデメリットが生じるのだが、ボックスをワンオフすることで、そのデメリットに対処することも可能になるのだ。
スタンダードなのは、トランクのフロア下にボックスを埋め込む、というアプローチ。スペアタイヤスペースの形状に追従する変形ボックスを作り、それを埋め込んでトランクのフロアをフラットに作り上げる、なんていうことも可能だ。または、ラゲッジスペースのサイドウォールに一体化させたり、トランク奥にボックスを埋め込む、といった方法もある。邪魔にならない方法が、いくつか存在しているのである。
逆にデメリットは、「予算がかさむこと」。特殊な形状のボックスともなれば、それだけ作業工程は増える。ノウハウも必要となり結果、自ずと工賃は増えていく…。
しかし、費用をかけるだけの価値は十二分にある。理想の低音を追求しながら、同時に、邪魔になりにくいように仕上げることもできるのだ。予算さえ許せば、あとはメリットばかりが生きてくるのだ。
■自作する楽しみを追求するのもアリ。しかし結果(音質)にこだわるならプロショップで
なお、費用面を考えて、「サブウーファーボックスを自作する」というのもナシではない。良い結果を得たいと考えるならプロショップを利用すべきだが、“自分で作る”という趣味も、あって当然だ。“自分で作る”のであれば、何度作り替えてもOKなので、音がキマるまで、納得がいくまで、とことんトライしてみてもいいだろう。
せっかくなのでここで、自作する場合のコツをいくつかご紹介しておこう。「サブウーファー」ボックスを製作する上で大切なこととは…。ズバリ、「密閉性」と「頑丈さ」、この2点である。この2つに甘さがあると、良い低音は得られない。
密閉性を確保するためには、材料を正確に切り出せるかどうかが鍵となる。であるので、木材の切り出しは、ホームセンターで購入する際にお店でカットしてくることをおすすめしたい。正しく切るためには、良い道具が必要だ。自分で作ることを楽しむにしても、精度は命だ。切り出しについてはお店で行ったほうが無難だろう。
そして、「頑丈に作る」ためには、効果的に“補強”を施すことがポイントとなってくる。天板を組んでしまう前に、内部にリブを入れたり、柱を設定したりして、とにかく屈強に作っていこう。
ちなみにプロショップでは、密閉性を高めるために板の接合部にシーリング材を流し込んだり、補強のために内部に樹脂を流し込んだり、さまざまなテクニックを繰り出していく。設計に関してのノウハウもさまざまある。それらを考えるとやはり、プロショップにお願いしたほうがベターだ。“作ることを楽しむ”ことをメインと考えるなら「自作」を、良い音を合理的に得ようと思うなら「プロショップ」を。こんなふうに考えると良いと思うのだが、いかがだろうか。
さて、4回にわたって繰り広げてきた当特集の最後に、もう1度、低音を強化することの利点を繰り返させていただきたい。
「音の土台がしっかりすると、そこに積み上がる中音、高音も豊かに響く」
これは真実だ。「サブウーファー」を投入すると、音楽がさらに楽しくなるのは間違いない。クルマの中でもっと気持ち良く音楽を聴きたいと考えるならば、「低音増強」を視野に入れよう 。まだ「サブウーファー」を使っていないなら、この機会にぜひ、ご検討を。