有名海外カーオーディオブランド製品を多数、正規輸入・販売しているイース・コーポレーションが発表する【CAOTY2016】。その、ランク分析を週刊特集として行っている。今週は、スピーカーの各部門分析を踏まえての、注目製品の試聴記をお贈りする。
魅力は“ハリとキレ味”。クラスを越えたサウンドを聴かせる「グラウンドゼロ」。
先週までの2回で、スピーカーの全9部門の分析を行った。全体を通して浮き彫りとなったのは、「ロックフォード・フォズゲート」の強さだ。そしてそれを追うブランドとして、アメリカンブランドである「JLオーディオ」、ドイツの新興メーカー「グラウンドゼロ」、そしてもう1つの人気アメリカンブランド「MTXオーディオ」が続いていることを再確認できた。
それを踏まえて今週は、「ロックフォード・フォズゲート」の実力を再確認すべく、最高峰部門である『スピーカー20万円以上部門』でワンツーフィニッシュを飾った、『T4652-S』と『T5652-S』の2機種を、そして、幅広い層に注目される激戦の「スピーカー6万円以上10万円未満部門」で「ロックフォード」に迫った、3位の「グラウンドゼロ」『GZUC 650SQX』と、4位の「MTXオーディオ」『IP663』、以上計4機種のインプレッション・リポートをお届けする。
試聴会場は、【CAOTY2016】をオーガナイズしたイース・コーポレーションの試聴室。リファレンス・パワーアンプとしては、「ロックフォード」の『T600-2』を使用した(ケーブル類は、「モンスター カーオーディオ」の精鋭で統一した)。
まずは、「グラウンドゼロ」の『GZUC 650SQX』の音から確認した。
ちなみに当機は、2016年の3月に新登場したニューカマーだ。【CAOTY2016】は、12月から翌年11月までの実売数でランキングが決定されるので、この『GZUC 650SQX』は期間の1/4を損している。にもかかわらずの3位入賞は、大健闘と言っていい。
さて、試聴トラックの再生をスタートさせて最初の出音で感じたのは、バランスの良さだった。トーンバランスがナチュラルで、サウンドには安定感がある。そして次に感じたのは、ハリとキレ味。「ロックフォード」のパワーアンプの良さも出ているのだろうが、低域の弾力感と密度感に特長があり、小気味良くリズムを刻んで爽快にグルーブしている。
「グラウンドゼロ」の製品は、各グレードのモデルがそれぞれに、抜群のコストパフォーマンスを発揮するのだが、当機もそれは同様だった。税込7万1280円であるが、もう1グレード上の製品とも対抗できる音質性能を有している。
やはり「グラウンドゼロ」は実力ブランドだ。2017年も、エントリーユーザーから超上級者まで、幅広い層の支持を受け続けることだろう。
立体感の表現が秀逸で、中域の厚みにも特長を有する、「MTXオーディオ」。
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次には、「MTXオーディオ」の『IP663』の音を確認した。
当機は、2016年の初頭に、彗星の如く現れた『IMAGE PRO』シリーズのセカンドグレードモデルである。
なお当シリーズのエントリー機2機種は、「スピーカー4万円以上6万円未満部門」でワンツーフィニッシュを飾っている。同部門には「ロックフォード」の主要製品が存在していなかったということもあるのだが、並み居る人気ブランドを押しのけてのワンツーなので価値は大きい。
対して当機は、「スピーカー6万円以上10万円未満部門」で4位ではあるのだが、『IMAGE PRO』シリーズの音を再確認したかったのと、「グラウンドゼロ」との力関係にも興味があり、注目機として選ばせていただいた。
改めて聴いてみて、『IMAGE PRO』シリーズの性能の高さを思い知ることができた。このスピーカーはあなどれない。3ウェイの利得をはっきりと感じさせてくれるのだ。サウンドステージの立体感の表現が秀逸で、そして中域の厚みもサスガだ。先に聴いた「グラウンドゼロ」の『GZUC 650SQX』のサウンドも、クラスを越えたレベルにあると感じたが、こちらでも同様の感想を抱いた。
また、当機のサウンドには、独特の明るさが感じられる。音楽を楽しく聴かせる才能を持っているのだ。余韻が美しく、響きも妖艶だ。色づけが強すぎることはないのだが、サウンドが至ってポジティブだ。この音を気に入る人は多いだろう。
『IMAGE PRO』シリーズは、年初に大きな話題を集めたものの、後半に入ると他の話題機の影に隠れがちとなった印象もあったが、まだまだ忘れるべき製品ではない。ミドルグレードのスピーカーで、手応えあるモデルを探しているのなら、当シリーズのことをぜひとも思い出していただきたい。実力は確かだ。
とにもかくにも心地良い。世界に引き込み、浸っていたいと思わせる…。
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さて。最後に「ロックフォード」のハイグレードモデルである、『T5652-S』(税込価格:32万4000円)と、『T4652-S』(税込価格:21万6000円)の音を、続けて聴いた。
価格が跳ね上がったので、それまでの2機種が表現していた音世界とは、別次元に連れていってくれたのは言うまでもないのだが、いやはやなんとも素晴らしい…。
オーディオ機器としてハイスペックであるのだが、そのあたりをどうこう言いたい気持ちはわいてこない。とにもかくにも心地良い。そして、表現力が細やかなので、音楽の感動力が上がっている。世界に引き込み、どっぷりと浸りたいと思わせる…。
特に『T5』のサウンドの心地良さは格別だった。このスピーカーを手にしているユーザーを、心底うらやましく思った。人気になるのは当然だ。当分、「ロックフォード」の時代は続くだろう…。そう感じずにはいられなかった。
さて、スピーカーについてのランク分析ならびにインプレッションリポートは以上で終了だ。次週からは、パワーアンプの各部門についてのランク分析を行っていく。次週もお読みいただけたら幸いだ。
なお、【CAOTY2016】のランキングの詳細は、記事の下にある“関連リンク”をご参照いただきたい。気になる製品があれば、それが属している部門は特に、入念にチェックしてみよう。