試乗車のグレードは「RS ホンダセンシング」。今日的な打ち出しは当然ハイブリッドだろうが、132ps/15.8kgf・mを発揮する1.5リットルi-VTECエンジンを搭載、シリーズでは高性能版に位置づけられるモデルである。
…などとカタい文章で書き出してしまったが、実車は何気なく「いいね!」なクルマだった。
言葉で表現すると“いろいろなこと(のほとんど)が自然”に思えたからである。しっとりとストロークするサスペンション、適度なフィードバックが伝わるステアリング、アクセルワークに対し素直なレスポンスと伸び伸びと余裕のあるパフォーマンスで応えてくれるエンジンフィールなど、どれも好ましく気持ちがいい。
“ワンダー・シビック”の25iあたりを思い起こさせる、洗練されたコンパクトカーの走り、とでも言おうか。ちなみに試乗車は6速MT車。上のほうで( )を付けたのは、クラッチペダル(ポコンと繋がりやすい)とシフトフィール(コツコツと粗い感触がある)がより練り込まれれば、なおいいと思えるため。このフィールを度外視し、クラッチとシフトのクセをドライバーがカバーしながら走らせれば、気持ちのいい走りが堪能できる。
外観、内装の手直しはごく小規模。RSではオレンジをデザインのアクセントにしており、内装ではインパネやステッチ、フロアマットのフチなどに挿し色として使われている。が、全体のトーンは落ち着いていて、大人のユーザーの感覚にも違和感がないはずだ。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、LKAS(車線維持支援システム)、路外逸脱抑制機能など、安全運転のための支援機能の充実も嬉しいポイントだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。