ハイエンドカーオーディオでは、サウンドを整える作業である“調整”が行われることが一般的になっている。それが必要となる理由から、“調整機能”の使い方までを解説する新コーナーをスタートさせた。第2回目となる今回は「定在波」について解説する。
まずは“調整”が必要となる理由の説明から進めている。その第1の理由として、「空間が狭いこと」について解説している。前回は、空間が狭いがゆえに音が反射し、これにより音像がにじんでしまうことや反射した箇所の素材固有の音がサウンドに乗ってしまうことを説明した。
音が反射するともう1つ良くない現象が引き起こされる。それが「定在波」が。
ところで、静かな水面に石を投げ込むと、石が着水した場所を中心として波紋が広がっていく。音も、それと同じように空気中を波打ちながら伝搬していく。その波の1サイクルの長さが「波長」であり、1秒間に何サイクルするかという数が「周波数」である。
そして、音は音程が高い音ほど「1波長」が短くなり周波数が高くなる。低い音ほど「1波長」が長くなり周波数が低くなる。
で、もしも平行して向き合った2つの面があったとき、音はその2つの面の間を行ったりきたりすることとなるのだが、その2面間の距離に「波長」がすっぽりとハマる関係となったときに「定在波」が発生する。2つの面の間で波形が進行せず、その場に止まって振動しているかのような状態となってしまうのだ。
そして「定在波」が発生すると音響的に良くない現象が引き起こされる。「定在波」となってしまった「周波数」の音が増幅されたり(ピーク)、もしくはキャンセリング(ディップ)されたりするのだ。
車内は狭く、その中で大きな音量で音楽が鳴らされるので、家の中と比べて「定在波」が発生しやすい。結果、周波数特性が乱れがちとなる。
その乱れた特性を整えるために“調整”が必要となるのである。
今回はここまでとさせていただく。次週以降も、カーオーディオにおいて“調整”が必要となる理由の解説を継続する。お楽しみに。