現代カーオーディオにおいての欠かせない要素となっている「サウンド調整」について多角的に紹介している当コーナー。現在は各機能の成り立ち解説を行っている。今回は“イコライザー”機能が“左右独立”もしくは“ch独立”になっていることについて解説する。
これからカーオーディオを始めてみたいと思っている方にとっては馴染みが薄いかもしれないが、ハイエンド機器に搭載されている“イコライザー”は実は、“左右独立”タイプ、もしくは“ch独立”タイプとなっている。さて、これは一体何なのだろうか。
最初に、“左右独立31バンドイコライザー”について説明していこう。まず“31バンドイコライザー”とは、20Hzから20kHzまでの全可聴帯域の音を31バンドに分け、ピークとなっているバンド(音が増幅されているバンド)があればそれを下げ、ディップとなっているバンド(音が減衰しているバンド)があればそれを上げて、周波数特性をフラットに戻していこうとする機能だ。
そしてもしもこれが“左右独立”タイプとなると、右chと左chそれぞれで、個別に“31バンド”の“イコライザー”調整が可能となる。
で、なぜに“左右独立”で調整できたほうが良いのかと言うと…。答は「左右で周波数特性の乱れ方が異なっているから」だ。クルマのインテリアは左右で形が違っている。例えば運転席側にはメーターフードがありハンドルがある。なので音の反射の仕方が左右で異なり周波数特性の乱れ方にも違いが生じる。
例えば、2kHzあたりにピークが出ていたとしよう。そのピークの原因が、右スピーカーから放たれた音がメーターフードで反射したことによって発生しているとするならば、右chだけで調整できたほうが良い結果が得られやすい。左スピーカーから放たれる2kHzの音については問題がないわけだから、むやみに下げる必要はないのだ。
そして“ch独立31バンドイコライザー”であれば、各スピーカーユニットごとで“31バンド”の“イコライザー調整”が可能となる。もしも右chの2kHzにピークが出ていたとして、それがツィーターから放たれた音がメーターフードに反射して発生しているのであれば、右のミッドウーファーの2kHzの音を下げる必要はない。
このように“ch独立”タイプとなっていれば、“左右独立”タイプ以上により詳細に周波数特性の乱れを正していけるのだ。
今回はここまでとさせていただく。次回以降も調整機能の成り立ち解説を継続する。お楽しみに。