こっそりじわじわと成長中
ぱっと見ると、旧型からどこが変わったんだろうと間違い探しをしそうな新型である。デザインを踏襲する=完成度が高くて人気がある証なのだが、新型に新鮮さを期待する身としては物足りなさが否めない。
これまで何度も、日本市場を重視していると説明してきたBMWであり、サイズについても日本の駐車場事情を考慮していると言ってきたものの、今回は横幅が25mm増えて全幅1825mm。こっそりじわじわと成長中なのだ。
ぐうの音も出ないボディ剛性の高さ
今回試乗したのは、ノーマルよりも一足早く日本に上陸してきた「Mスポーツ」である。「走行性能を向上させた」と言い切るだけあり、サスペンションのしなやかさと、それを受け止めるボディの剛性感の高さは、ぐうの音も出ない。
いや、心の中では「ぐおお」と驚きの声が出っぱなしだったけれど。路面の凸凹の上を通過しているというのに、それは確かにわかるのに、オシリの下では感じているのに体には伝わってこない。なんのこっちゃと思うかもしれないが、そうなのだから仕方がない。
たしかにMスポーツだよ。ノーマルとは違うよ。でも、基本がちゃんとできていなければ、いくらそこになにかを施したところでどうにもならないのである。
これからもっと足回りがよくなったら…
シートもMスポーツらしく、背中からオシリまでぴたりと張り付くようなホールド感。ふだん使いにするなら、あまりに背中の密着度の高さにちょっと息苦しく感じるけれど、この凄まじく敏感で寛容なサスペンション+ボディの組み合わせの走りを味わうためには必要なのだろう。
下にあるフットワークの★は、いままで4をつけてきたから、それより上となると5をつけざるを得ないわけで、これからもっと足回りがよくなっていったら★が足りない、どうしよう。と本気で心配している。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。