ランドローバー(Land Rover)は11月4日、初代『ディフェンダー』の意匠権を使用した高性能モデルを生産する許可をボウラー社に与えた、と発表した。この高性能モデルは、2021年に限定生産される予定だ。
オフロードスペシャリストのボウラー社
ランドローバーが属するジャガー・ランドローバーは2019年12月、英国に本拠を置くオールテレーンパフォーマンスカー、パーツ、ラリーレイド車のメーカー、ボウラー(Bowler)社を買収した。ボウラーは、1985年に設立された。英国でオフロードコンペティションカーの生産を行い、国際ラリーレイドイベントで成功を収めてきた。ボウラーは、オールテレーン車両のダイナミクス、少量生産技術、過酷な条件下での部品の耐久性などに関して、豊富な専門知識を持つ。
ボウラーは創業以来、ランドローバーと密接な関係を築いてきた。ランドローバーは2012年、ブランドパートナーとしてボウラーを正式に承認し、2014~2016年にかけて、「ディフェンダーチャレンジbyボウラーラリーシリーズ」が開催された。
ジャガー・ランドローバーの「SVO」(スペシャル・ ビークル・オペレーションズ)は、急成長を遂げている事業だ。ジャガー車とランドローバー車をベースに、カスタマイズやパーソナライゼーションなどを手がける。このSVOに、ボウラーは組み込まれた。
現在、ジャガー・ランドローバーのSVOのエンジニアが、ボウラー車両の開発を支援しており、エンジニアリングの専門知識を活用して、SVOの施設でボウラー製品をテストしている。ボウラーの顧客は、すでにジャガー・ランドローバーの傘下に入ったことによる恩恵を受けているという。
ラリー向け高張力鋼シャシーに575psのV8スーパーチャージャー
このボウラー社に対してランドローバーは、初代ディフェンダーの意匠権を使用した高性能モデルを生産する許可を与えた。これにより、ボウラーは、初代『ディフェンダー110』のデザインをベースにした高性能モデルを開発することが可能になった。
初代ディフェンダー110のデザインをベースにした高性能モデルの開発プロジェクトは、「CSP 575」と命名された。これは、ボウラー独自のラリー向け「CSP」高張力鋼シャシーに、ジャガー・ランドローバーの最大出力575psのV型8気筒ガソリンスーパーチャージャーエンジンを組み合わせていることを意味している。
CSP 575プロジェクトは、初代ディフェンダー110の5ドアワゴンボディに、ジャガー・ランドローバーの575psスーパーチャージドV8を載せた公道走行可能モデルになる。このプロジェクトは、ボウラーの過去、現在、未来の計画の基盤となるモータースポーツ活動を補完するものになるという。
2015年に生産を終えた初代ディフェンダーが約6年ぶりに復活
ランドローバーは、CSP 575プロジェクトのレンダリングイメージを公開した。詳細は2021年の初めに明らかにされる予定だ。古典的な初代ディフェンダー110のボディをベースにしながら、強力なパフォーマンスを備えたオフローダーに仕上げられる。
CSP 575プロジェクトは、英国ダービーシャーのボウラーの本社において、2021年から少量が限定生産される予定だ。英国での参考価格は約20万ポンド(約2775万円)と公表された。ランドローバーは2015年、初代ディフェンダーの生産を終了しており、同車の復活はおよそ6年ぶりとなる。
初代ディフェンダーをベースにした車両を生産するライセンスをボウラーに付与するというランドローバーの決定は、両社の関係の自然な発展になるという。CSP 575プロジェクトは、ランドローバーのSVO製品を支える技術、コンポーネント、エンジニアリングの卓越性を、ボウラーのモータースポーツのノウハウと経験に統合するというユニークな取り組みを表すもの、としている。