『Cクラス』と同等のプレミアムミドルサイズSUV……というのが『GLC』の位置づけだ。さらに『GLCクーペ』は、クーペとしてのスタイリッシュなフォルムとSUVらしい存在感を両立させたモデルである。
試乗車は「GLC43 4MATIC クーペ」だった。性格にはメルセデスAMGのラインに属する『GLC』であり、その証として『300SL』をモチーフにした専用のフロントグリルが付く。標準のグリルも存在感はなかなかのものだが、こちらはその上をいく迫力。
クーペはなだらか後方に向かって下降していくルーフラインが特徴だが、全体のシルエットとグリルとの組み合わせは、SUVであることを忘れさせる存在感がある。
インテリアはオーソドックスなアナログメーターを描写(2種、ほかにデジタル表示も)してくれる12.3インチコクピットディスプレイを中心に、ミドルクラスらしい適度にタイトでスポーティな空間に仕立てられている。
AMGスポーツシートは、クッションよりもホールド感を重視したもの。後席もクーペらしいタイト感のある空間。ラゲッジスペースはハッチバッククーペのそれで、開口部が上向きに大きく開き、スペースは十分な実用性が確保されている。
3リットルのV6ツインターボ(390ps/53.0kgf・m)+9速ATを搭載した4WDだが、そこはAMGということもあり、乗り味は引き締まったものだった。ただし試乗時間の“1枠”分ではコチラの身体も感覚もほぐし切れないうちに終了……というのが正直なところで、さまざまな然るべきシーンで排気音をより響かせながら走りを確かめれば、このクルマの奥深さはより理解できるに違いない。
クーペというよりスポーツカー相当のポテンシャルを有していそう、と感じた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。