メルセデスベンツのBEVブランド「EQ」。その最高級モデルとなるメルセデスベンツ『EQS』の販売が、ついに日本でも開始された。メルセデス初のBEV専用プラットフォームを用いて開発されたEQSだが、果たしてどんな仕上がりになっているのか。詳細画像と共にお届けする。
今回、発表されたのは基本となる「EQS 450+」と、メルセデスAMG初のBEVとなる「EQS 53 4MATIC+」だ。
◆世界最高の空力性能を実現する「シームレスデザイン」
EQSのスタイリングは、従来の内燃機関車が持つそれとは異なるシームレスなものだ。流麗なボディラインは一流のサルーンを想起させると同時に、空気抵抗を減少させるという機能的側面を持つ。空力性能を示す重要な指標であるCd値は0.20と、量産自動車としては世界で最も優れたものだ。
ボンネットは左右のフェンダーまで回り込んだ形状になっており、継ぎ目の箇所が極限まで減らされている。フロントグリルも埋められているが、これはエンジン冷却の必要がないBEVだからこそできた表現だ。さらに、表層からは見えないものの、超音波センサーをはじめとする様々なデバイスが、このフロントフェイスに集約されている。
車体後方に目を移せば、なだらかなラインで描かれるリアエンドが高級感を高める一方で、配置されたスポイラーがスポーティーな印象を与え、デザインのコントラストが生まれている。リアコンビネーションランプ内部は曲線的な螺旋構造によって立体感のある造りになっているほか、フロントライトと同様に光の帯で左右が結ばれ、先進性を強調する。
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◆未来的設備と、メルセデスの遊び心
メルセデス初のBEVということで、インテリアはデジタル要素にこだわったものになっている。中でも目を引くのは、MBUXハイパースクリーンだ。この大型スクリーンは運転席側、センター、助手席側に3枚のディスプレイが配置され、それを1枚のカバーガラスで覆う構造となっている。
メルセデスベンツによれば、EQSは「きわめてインテリジェントなクルマ」だそうだ。最大350個のセンサーが随所に配置され、速度や加速度、降水量に気温、ドライバーのまばたきや乗員の発話などを検知する。それらをEQSは学習し、状況に応じたコンテンツを前述のスクリーン上に表示する。学習をすればするほど、機能は最適化されるという。
また、BEVは静粛性に優れる点が特徴だが、EQSはサウンドにもこだわった。単に静かなものだけではなく、複数用意されたドライビングサウンドから、自分好みのものを選択することができる。さらに、スポーツモードを選択すればよりダイナミックなサウンドになるなど、今後、アップデートによるサウンドメニューの追加も予定しているという。
他方、スクリーンの左右両端部分に注目すると、エアアウトレットが伝統的なジェットエンジンのタービンをモチーフにしたデザインとなっている。革新的な装置の傍らに伝統のデザインが施されているのが面白い。
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◆メルセデスが放つ、渾身のラグジュアリーBEV
メルセデスのフラッグシップたるEQSには、当然、パワートレインも強力なものが搭載される。AMGを冠する四輪駆動のEQS 53 4MATIC+は、前後に電動パワートレイン(eATS)を搭載し、その出力は最大で761psに達する。航続距離は、自社開発の大容量リチウムイオンバッテリーや優れた空力性能も相まって、EQS450+が700km(EQS 53 4MATIC+は601km)と日本で販売されるEVでは最長の値を記録している。
また、6.0kWまでの交流普通充電と、150kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応するEQSは、急速充電でバッテリー容量80%までの充電を48分で完了する。
EQSは、メルセデスが放つ渾身のBEVだ。最高水準の機能と、ラグジュアリーカーとしての魅力が詰まった、新時代の到来に相応しい出来栄えのモデルと言えるだろう。価格はEQS 450+が1578万円、EQS 53 4MATIC+が2372万円となっている。