スペックは“いかにも”な『TロックR』
『Tロック(T-Roc)』自体、日本市場へは2020年7月にお目見え。翌2021年の登録台数は7241台とし、『Tクロス(T-Cross)』に次ぐ台数で輸入SUVの1 、2を獲得した。確かに街中でよく見かけるが、人気車のひとつといっていい。
そのTロックがマイナーチェンジを受け、この機に登場したのが、日本市場で初設定となる“R”だ。この『TロックR』は2リットルのDNF型/直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボ(4バルブ)を搭載し、何と300ps/40.8kgmもの動力性能を発揮するという、いかにもなハイパフォーマンスモデル。
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組み合わせられるのは7速DSGで、ニュースリリースの文面でも「わずか2000rpmの低回転から400Nmの強大なトルクを発生し、0-100km/h加速は4.9秒を記録(欧州参考値)」とある。もちろん4WDの4MOTIONで、19インチタイヤ&ホイール、ブルー塗装のブレーキキャリパーなども備える。
ジャジャ馬的な予想に反して実にジェントル
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何はともあれ試乗してみると、これがよかった。スペックや出で立ちからして、さぞジャジャ馬的なもっとロックな(!)クルマなのでは?のコチラの予想に反し、実にジェントルなクルマですらあったのである。
もっとも今回は試乗会場となった湘南エリアのウイークデイの一般道を、試乗時間枠で可能なだけ移動した……そんな程度ではあったが、だからこそというべきか、日常的なシーンのなかでも実に乗りやすいクルマだったことが確認できた。
エンジン性能はアクセルワーク次第だから、ほんのサワリを使った程度だが街中でも扱いやすくスムース。そして何よりも乗り心地が決して不快ではなく、むしろ上質な味わいさえ感じられるところもいい。
600万円オーバーという価格こそロック?
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ただし600万円オーバーという車両本体価格こそ、このクルマでもっとも気骨あるロックな部分かも知れない。ちなみにデビュー当初に比べ、インテリア全体の素材感、質感は向上し、“いいもの感”は向上している。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。