ポルシェは2月8日、SUV『カイエン』(Porsche Cayenne)の改良新型を今春、ワールドプレミアすると発表した。開発プロトタイプ車両の写真を公開している。
◆ポルシェの高い品質基準を満たすための耐久試験
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ポルシェは2017年、現行の3世代目カイエンを発表した。それ以来、パワートレイン、シャシー、デザイン、装備、コネクティビティなどの面で、改良を続けてきた。
ポルシェは現在、改良新型の発売に向けて、綿密な準備を進めている。ポルシェの高い品質基準を満たすために、プロトタイプとプレプロダクション車両による厳しい耐久試験に取り組んでいる。
ポルシェでカイエンシリーズのマネージャーを務めるミヒャエル・シェッツレ氏は、改良新型カイエンについて、「ポルシェ史上、最大級の広範な製品アップグレードになる」と語る。
◆新しいセミアクティブシャシーを採用
ドイツ・ヴァイザッハのポルシェ開発センターのエンジニアは、駆動方式の再構築に加えて、シャシーシステムにも大幅な見直しを行う。ポルシェ特有のオンロード性能、長距離走行時の快適性、オフロード性能の幅をさらに広げることを目指し、改良新型カイエンには、新しいセミアクティブシャシーが採用される予定だ。
さらに、ドライバーと乗員は、コネクティビティ機能の強化のため広範囲にデジタル化された新しいディスプレイと操作コンセプトを利用できるようになる。
また、HDマトリックスLEDヘッドライトに代表される最新の照明テクノロジーも導入される予定だ。これにより、改良新型カイエンの快適性と安全性の両方を向上させるという。
◆実際の使用条件を超えた厳しい状況でテストを実施
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改良新型カイエンに導入される多くの新技術のほとんどが、全くの新開発となる。そのため、コンポーネントを完璧にチューニングするには、複雑で緻密なテストが必要になるという。ポルシェの開発テストマネージャーのラルフ・ボッシュ氏は、「改良新型カイエンは、ゼロから開発されたかのように、完全で包括的なテストプログラムを受けている」と述べる。
精度が高まっているバーチャルシミュレーションと並んで、実際のテストはポルシェにとって依然として高い優先度を持つ。これらのテストがニューモデルの発売準備が完了したか否かを判断する基準になるという。
完全車両試験と呼ばれるテストは、顧客が体験する状況とそれをはるかに超えた状況で行われ、すべてのコンポーネントとシステムが相互作用する際の動作の安定性と機能性を確保することを目的としている。耐久試験では、顧客が実際に体験することはほとんどないような厳しい条件下で、車両のライフサイクルをシミュレートする。日常の条件下では、市街地、郊外、高速道路を、数か月にわたって、20万km以上を走行する。
◆プロトタイプ車両は世界で合計400万km以上を走行
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また、プロトタイプ車両は、さまざまな気候帯で品質と耐久性をテストすることを目的として世界中を移動し、極限状態をシミュレートする。改良新型カイエンのテストは、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、北米で行われ、合計で400万km以上を走行した。
これらの走行試験には、スペインでの過酷なオフロードテスト、モロッコの過酷な砂丘、フィンランドのアイスバーンやドイツ・ニュルブルクリンク北コースでのダイナミックテストなどが含まれている。
カイエンのプロトタイプ車両の組み立てとテストチームを率いるディルク・レルシュ氏は、「改良新型カイエンに求められるものは、多くの顧客が実践することとは異なるかもしれない。しかし、ポルシェ車を購入する顧客には、走行する路面に関係なく、非常に高い負荷に耐えることができたということをお知らせしたい」と、話している。