6月21日に発売されたトヨタの新型『アルファード』と『ヴェルファイア』。“おもてなし”の思想を元に"快適な移動の幸せ"をコンセプトに開発した──そう語るのは3代目アルファード&ヴェルファイアから新型までチーフエンジニアとして担当し続けている吉岡憲一氏だ。
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「3代目でアルファードは完成してしまい、これ以上の進化は難しい」と8年前の段階では思っていたという吉岡氏。しかしそこから海外のショーファーカー(自分で運転せず、運転手に運転してもらう車の総称)を徹底研究し、アルファード&ヴェルファイア・オーナーの声を取り入れ、そして技術の進歩が加わることで、新型にはさらなる“快適性”の追求が行われた。
その中でも特に従来型と変わったと語られたのが振動と音の“周波数”だ。
まず振動については、ボディの剛性やサスペンションといった部分だけでなく、身体に直接触れるシートも2層構造となっており、硬めのクッションと柔らかめのパッド、シート内にはゴムを2種類使用するなど、徹底した防振構造が取り入れられている。
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これらにより、振動は従来型より3分の1まで軽減され、より快適な乗り心地を実現している。なお、このシートは少し“前傾姿勢”に座るよう設計されており、快適なポジションを保持できるようにもなっているそうだ。
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もうひとつの“周波数”については、ロードノイズに対する対策だ。様々なショーファーカーを研究していくうち、それらでは人が不快に感じる音の“周波数”を排除していることに気がついたそう。
とはいえ、人はまったく音がしない無音空間も快適とは感じず、適度に心地よい音がする「森の中」などを好むという。そこで新型アルファード&ヴェルファイアでは、タイヤや風を受ける箇所の形状、吸音性のあるカウルなどにより、音を完全に消すのではなく、「心地よい“周波数”の音になるよう整えている」のだ。
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こうして快適性を大幅アップさせ、ショーファーカーとしてももちろん、家族や大切な人との「快適な移動時間」を実現させている。
プレゼンテーションの最後に、吉岡氏は新型アルファード&ヴェルファイアを、「自然と互いに感謝の気持ちを抱く車」だとも語った。
快適な運転をしてくれた運転手への感謝の気持ち、それを受けて気持ちよく運転できる運転手。さらにはそうした時間を演出し、快適に安全に目的地に連れてきてくれた車への感謝。そういった様々な「感謝と思いやりを実現してくれる」車として、アルファード&ヴェルファイアまたひとつ進化を遂げたのだ。