前回TS-Z1000RSの説明をしたが、さらに音質を高めるための「ミッドレンジ」と「サブウーファー」がラインアップされているので紹介したい。
まずは、中高域のリニアリティの追求とフラット化を極め、マルチスピーカーとしての有効性を向上した6.6cmミッドレンジ「TS-S1000RS」から。
TS-S1000RS 6.6cmミッドレンジ ¥126,000
17cmセパレート2ウェイ機TS-Z1000RSにプラスしてフロント3ウェイシステムを構築。ミッドレンジの実力にウーファーとトゥイーターがそっとサポートする感の、音に込めた感情が響き渡る。
TS-S1000RSの主な特長
1)一体型二層構造クロスカーボン振動板を採用
ヤング率が高く、適度な内部損失特性を持つクロスカーボンを振動板に採用し、センターキャップとの一体型二層構造にすることで、高剛性とトランジェント特性の向上を実現。さらに、振動板の低共振化や、タンジェンシャルエッジの採用により、フラット特性を高め、原音に忠実な再生を実現。
2)亜鉛ダイキャストフレーム & 金メッキ真鍮製削り出しブロック端子を採用
フレームやバックカバーなどの筐体部に高剛性・低共振の亜鉛素材を採用し、耐共振性を高めている。さらに、筐体内のキャビネット容積を最適化することで、ミッドレンジユニットとして理想的な中域再生を実現。
また、入力信号の伝達ロスを低減するため端子部に導通性に優れ、経年変化の少ない金メッキを施し、太線ケーブルにも対応した真鍮製削り出しブロック端子を装備する。
3)高性能磁気回路を採用
強磁力ネオジムマグネットと高精度切削パーツを使用した外磁型の磁気回路を採用することで、トランジェント特性を向上させ、OFC平角線を使用したボイスコイルやOFCショートリングの採用により、正確な広帯域再生を実現。
4)亜鉛ダイキャスト製グリルフレームを付属
振動板を保護し、不要振動を排除する専用設計の亜鉛ダイキャスト製グリルフレームを付属しています。
TS-S1000RS構造図
- TS-S1000RS
- スピーカー構成:6.6cm一体型二層構造コーンミッドレンジ 再生周波数帯域:160~33,000 定格入力:15W 最大入力:50W 出力音圧レベル:88dB/W/m インピーダンス:4Ω 質量:0.50kg 取付寸法:67φ×40Dmm
瞬発力と制振性を向上させながら小容積設計までも具現化。質感の高い超低音域再生を実現するサブウーファー
TS-W1000RS 25cmサブウーファー ¥126,000
TS-Z1000RSと組み合わせた2ch+サブウーファーシステム、TS-Z1000RS & TS-S1000RSと組み合わせて4ウェイシステムの超低域再生と瞬時な反応を実現し、鋭く速い重低音を受け持つ25cmサブウーファー。
TS-W1000RSの主な特長
1)一体型三層構造クロスカーボン振動板を採用
振幅の大きな低域再生周に応えるため、ヤング率が高く適度な内部損失特性を持つクロスカーボンを振動板に採用し、センターキャップとの一体型三層構造にすることで、高剛性を実現しトランジェント特性を向上させている。さらに、振動板形状の低共振化やコルゲーションエッジの採用により、フラットな特性を高め、原音に忠実な低域再生を実現。
2)さらなる無共振化を追求した亜鉛ダイキャストフレームを採用
筐体部とダンパーを支えるダンパーホルダーに、高剛性・低共振の亜鉛素材を採用し、耐共振性を高めている。さらに、低共振化構造フレームや非面接触型ポイント支持構造の採用により無共振化を実現。また、解析に基づき6本のV字型リブで構成した低共振化構造フレームやバックカバーの非面接触型ポイント支持構造とあわせて、徹底した無共振化を実現する。
3)高性能磁気回路を採用
強磁力ネオジムマグネットと高精度切削パーツを使用した内磁型の磁気回路を採用することで、トランジェント特性を向上させる。また、OFC平角線を使用したショートプレート・ロングボイスコイルの採用により、原音に忠実な低域再生を実現している。
4)設置自由度の高い小容積設計
推奨エンクロージャー容積を17リットルとし、エンクロージャーの使用範囲を14~28リットルの小容積で設定しており、自由度の高い設置が可能。
5)伝達ロスを低減する金メッキ真鍮製削り出しブロック端子を採用
入力信号の伝達ロスを低減するため端子部分に導通性に優れ、経年変化の少ない金メッキを施し、太線ケーブルの接続に応える真鍮製削り出しブロック端子を装備する。
TS-W1000RS構造図
- TS-W1000RS
- スピーカー構成:25cm一体型三層構造コーンサブウーファー 再生周波数帯域:21~3,700Hz 定格入力:150W 最大入力:300W 出力音圧レベル:86dB/W/m インピーダンス:4Ω 質量:7.30kg 取付寸法:238φ×100Dmm
振動板成型技術
新開発クロスカーボン振動板の素材であるクロスカーボンは、軽量・高剛性で信号に対する応答性が高く、リニアリティを向上させる上では有効な選択と言える。しかし、カーボン特有の硬さから成型・加工には専用の行程が必要となったと言う。TS-Z1000RSでは、クロスカーボンと混抄コーンの2層構造を採用。TS-W1000RSでは、クロスカーボン、混抄コーン、クロス繊維を独自の製造技術を導入し高密度に貼り合わせた3層構造を採用。サブウーファーとして理想の特性を実現するため、1枚の振動板の成型でも3工程が費やされているという。音質を決めるのは素材の選定だけでなく、製造工程も含めた全てのプロセスが理想の音に繋がっているという。
MAKER VOICEスピーカー事業部のRS1000スピーカーに賭けた思い入れを聴く
東北パイオニア スピーカー事業部 第一生産部 第一技術部 設計一課 主事 玉谷和幸さん
東北パイオニア・スピーカー事業部の玉谷さんに、RS1000スピーカーに賭けた思い入れをインタビュー出来たので紹介したい。
カロッツェリア商品の顔となるハイエンド商品なので、全ての部分に手が抜けないと詰められる所は全て詰めていったという。例えばブロック端子。通常は平板をプレスして作るのだが、端子部分には経年変化の少ない金メッキを施し、太線ケーブルの接続に対応する真鍮削り出しブロック端子を採用と細かいところまで手を入れていると言う。
玉谷さんさんはシミュレーションを担当したという。今回、振動板にクロスカーボンを採用したので、カーボン特有の鳴きを抑えるため、コーン紙の形状や形をどういう形にするか、実際に作ってみてフィードバックしてシミュレーションの繰り返し。カット & トライの結果フラットな特性を確保したという。
また、ウーファーとサブウーファーのフレームもシミュレーションと試作を繰り返したという。通常はフレームの足(リブ)は5本とし共振を分散させているが、大型マグネットの採用により太く強靱な足が必要となり、シミュレーションの結果6本とし、その脚部形状をV字型とすることで強度の向上と、共振を分散させて不要共振の排除を実現したという。
マイカーライフ・ユーザーへのアピール。マークIIも長く聴きこめる良い製品だが、今回の製品はクルマに着けてより高見を目指せるデバイスに仕上がっている。これを使ってクルマの中でよりよい音を作って欲しいという。各パーツの精度感、価値観を高めているので隅々まで見て欲しい。どこをとっても形一つ一つに意味があり、美しさ、性能としても最高のモノなので、ショップで取り付けて楽しんで欲しい。とアドバイスしてくれた。