『FLUX』特集の最終回となる今週は、インプレッションの3回目、トップグレード「リファレンス・シリーズ」の3ウェイコンポーネントについてレポートする。
これまで、セカンドグレードの「マエストロ・コンペティション・シリーズ」の2ウェイと3ウェイ、そして「リファレンス・シリーズ」の2ウェイを聴いてきたわけだが、さすがはトップグレードの3ウェイ。正直、これまで聴いてきた中で、最高のクオリティであることは間違いない。
『FLUX』の特長であると感じられた「深みと温かみ」が、最高潮だ。
低域は伸びと余韻が豊か。張りもあるしエネルギー感も十二分だ。それでいて、制動が効いていて、しっかりと止まる。全体的にもふくよかで濃厚、そしてバランスも自然だ。
ジャズを聴いてもポップスを聴いても、そしてクラシックを聴いても、各楽器の音が厚く伸びやか、かつキレがある。
2ウェイと比べて、中高域より、低域に差が出ている印象だ。より深みを増しつつ、それでいて、芯が入ったような印象。
2ウェイと3ウェイのどちらがおすすめか、といわれると、それについては各自の考え方で変わってくる。まず、ユニット自体、3ウェイと2ウェイでは約10万円の差があるわけで、まずはその差をどう考えるかでどちらをチョイスすべきか方向性が定まってくるだろう。さらに実際にクルマに付けるとなると、3ウェイのほうが難易度が上がることは確かで手間も増える。
しかし、最高の音に挑戦したいのであれば、やはり3ウェイを選ぶべきだと思う。
ただ、2ウェイにはまとまりの良さがある。より少なめの予算で『FLUX』の良さを獲得しようと考えるなら、2ウェイはおすすめできる。総合力で2ウェイも負けてはいない。
ちなみに、2ウェイにしろ3ウェイにしろ、最初からマルチアンプシステムを組むことが前提であるならば、単品でそろえればいい。その場合の価格は、2ウェイで合計17万5350円、3ウェイで合計26万1450円だ。
さて、新たなHi-Fiブランド『FLUX』。トップグレード、セカンドグレードの製品を聴いた印象では、温かみがありマイルドな音質傾向のスピーカーだと感じられた。低域のエネルギー感に特長があり、それでいて中・高域もハギレよく聴かせる。ピュアなサウンドを求めるユーザーに、新たな選択肢として面白い存在であると言えそうだ。Hi-Fi指向のユーザーでこれからスピーカーを選考しようと思っているのなら、『FLUX』の音もチェックすべきだろう。
また、エントリーユーザーも中級ユーザーも、自分の予算に合うグレードの『FLUX』の音をぜひチェックしてほしい。もし『FLUX』が気に入ったならば、まずはそこから始めて、そしておいおいステップアップしていく、というような楽しみ方もできる。『FLUX』。多くの人に高い満足感を与えてくれるブランドだ。要注目。