去る10月20日からデリバリーが開始された『DIATONE SOUND.NAVI』“MZ100”シリーズ。各所は今、この話題で持ちきりだ。 今週末にでもショップに行って、実機に触れてみようと思っている方も少なくないだろう。見に行く前に、当記事でばっちりと予習をしておこう。目に耳にしたときの理解が、より明確になるはずだ。今週は、音質性能に関するトピック紹介の後編をお贈りする。どのようにして音質性能の向上が成し遂げられているのか、要チェック。
先週の記事では、「ハイレゾ対応」、「アドバンスド32bit D/Aコンバーターの新規採用」、「低ジッターハイスピード アドバンスドDACマスタークロック」、「オーディオ基板の新規設計」、「ダイレクトリターンカレント・セパレートシャーシコンストラクション」について解説した。
名称だけ見てもそれらの中身を理解しにくいと思うが(前回の記事を要参照)、これらは要は、以下のいずれかを目指して行われたものである。
1. 徹底したノイズ低減
2.時間軸の高精度化
3.リニアリティ改善
上記は、今回の音質性能向上に向けてのポイントである。これらを目指しそれぞれが、まさしく“フルモデルチェンジ”の迫力を持って、大胆に行われている。
では、先週の記事で取り上げた以外の項目について、1つ1つみていこう。
最初は、「アドバンスドAD独立ローカル電源」から。当項目は、“徹底したノイズ低減”を目指して行われたものだ。
要旨は次のとおりだ。32bitD/Aコンバーターにはデジタル系電源とアナログ系電源の2つが設定されているのだが、これらに対するノイズ除去フィルターを、共通回路から独立回路へと変更した、というものだ。
これにより、この部分で発生するノイズを従来に比べて、1/2000〜1/数万にまで低減できているという。これは相当に音に効いていそうだ。
次は、「電源回路のブラッシュアップ」について。
これも“ノイズの低減”を目指して行われた項目だ。ナビ基板からのノイズの影響を根本から絶つために、オーディオ信号処理DSP用の電源回路が改良されている、とのことだ。
話だけを聞けば、実にシンプルな変更点である。『DIATONE SOUND.NAVI』には2つのオーディオ信号処理DSPが積まれていて、「MZ90」までは、1つは電源をナビ基板上のDTV用電源と共用していたのだが、「MZ100」ではそれを止め、2つのオーディオ信号処理DSPともオーディオ専用電源から供給する形にしたのだ。これにより、ナビやDTVからのノイズの影響を解消できているという。シンプルではあるが、抜本的な改良である。これも音に効いていることだろう。
続いて、「プレミアムファインチューニング」について。
つまりは、パーツの見直しである。特注品の電源用大容量アルミ電解コンデンサーを新規採用するなど、さまざまな電子パーツの種類と定数が、1点1点見直された、とのことだ。さらに、回路とパターンの最適化などが、約3000回にも及ぶ比較試聴でチェックされているという。手間暇がかかる事柄については、とことん手間暇がかけられているのだ。
また、5.1chDVDに対応したことも進化ポイントだ。それに伴い、「Standard Surround」と、「DIATONE SURROUND」の2つのバーチャルサラウンド機能が用意された。「DIATONE SURROUND」は、バーチャルサラウンド感をより強調する機能だ。他でも見られることのある機能だが、『DIATONE SOUND.NAVI』では音質劣化がないのが特長。その上で前後左右、そして上方への広がり感を付与することに成功しているという。さらに、フロントスピーカーのみの場合でも、バーチャル5.1ch処理を可能としている。
新しい『DIATONE SOUND.NAVI』は、映像ソフトに対しても音の強みを発揮するようになったのである。
そしてもう1つ、カーオーディオマニアの琴線に触れるであろう注目機能をご紹介したい。「Pure Audio Mode」がそれだ。
これは、地デジ未視聴時に、DTVチューナーの電源をオフにできる機能だ。この機能をオンにしておくと、音楽再生時に地デジからのノイズを低減できる。地デジを観ようと思ったときには、チューナーを立ち上げるのに約8秒ほどかかるとのことだが、音楽をより高音質で聴けるのであれば、まったく問題のないレベルだと思うのだがいかがだろうか。多くのユーザーに歓迎されることは必至だ。
最後にもう1つ。「簡単プリセット」も進化している。『NR-MZ90』に搭載されていたこの機能。条件をいくつか入力することで簡易的にサウンドセッティングが行えるという機能であるのだが、今回から、「簡単プリセット」を設定した後、その状態からの微調整が可能になった。スタンダード機ユーザーが自分で調整してみようと思った時の操作性が、相当に向上したと言っていい。
音に関する改良点は以上だ。とにもかくにも内容盛りだくさん。よくぞここまで…、と思うほどの改良ぶりである。音質向上幅について期待も膨らむところだと思うが、それに応え得るだけのステップアップが成されていることは、間違いない。
さて次週は、音以外のことに関する進化ポイントをじっくりと解説していく。次週もお読み逃しなきように。