車内は、ホームのリスニングルームのように広いとは言えず、幅も床から天井までの高さも限られている。
車内は狭い空間であり、さまざまな機能が集約され、スピーカーの取り付け場所も制限される。音をまっすぐにリスナーに届けるホームとは異質な環境といえるだろう。
例えば、ドア下に装着されているミッドウーファーは、真正面にセンターコンソールがあり、その向こうには、対面するドアにミッドウーファーがある。車内では真っ直ぐに耳に到達する直接音の比率は少なく、とくに運転席側は厳しい。あちらこちらに反射を繰り返し耳に到達する。またフロアや、さまざまな素材に吸収されたりしている。
高域はどうだろうか。ダッシュボードやガラスなどに一度だけではなく、数回ぶつかって到達する音もミッドバスと同様、同時に聞いている。
改善するところは、たくさんある。ミッドウーファーひとつとっても、ユニットに角度をつけた工夫をする。ドアパネル内の背面から出る音を拡散させたり、吸収させる。(スピーカーは前面だけでなく後ろからも音が出ている)
トゥイーターでは、取り付場所や角度を変えてみる。
セパレート2ウェイが主流になってきた昨今、トゥイーターの位置や角度を変えるだけでも、大幅に改善される。
たしかにインストールの改善には限界がある。あとはイコライザーで補正したり、プロセッサーの機能を使うことで道は開ける。直接音、反射音、間接音と、どう向き合うのか。まずはトゥイーターから、試してみると違いが解る。ここからはアライメントや位相の世界に入ってくる。
またの機会にご説明したい。