数ある高級カーオーディオブランドの中でも、イギリスの「AUDIO WAVE」は、ひときわ異彩を放つメーカーだ。
「生音に限りなく近い音を忠実に再現できる音づくり」を目指し、大量生産は一切行わず、すべての製品を1台1台ハンドクラフトによって作り上げていく。
完全受注生産で丁寧に作り上げられるこれら「AUDIO WAVE」の製品は、大量生産のオーディオ機器では決して味わうことのできない「AUDIO WAVE」ならではのサウンドを奏でる。結果「AUDIO WAVE」は、真の芸術性や感動を与えてくれるピュアオーディオメーカーとして、ヨーロッパやアジアを中心とするハイエンドカーオーディオ愛好家から絶大な支持を得ている。
特に旗艦機である『CRシリーズ』の再生能力は、正真正銘“他の追随を許さない”世界最高レベルにあると言っていい。 同時に『CRシリーズ』は、価格的に見ても“孤高”の存在だ。シリーズ中のベーシックモデルとなる『CR-200 JDM』でも、税抜価格が120万円。モノブロック構造(1chモデル)でありながら100万円超えという超高額品だ。
「AUDIO WAVE」の『CRシリーズ』は、限られた人しか手にすることができない、超弩級のハイエンド・パワーアンプ・シリーズなのである。
憧れの「AUDIO WAVE」が、遂に手の届きそうなところに…。
その「AUDIO WAVE」から昨年、“ハイエンド”パワーアンプが登場し、話題を集めた。シリーズ名は、『Aspire Pro(アスパイア・プロ)』。この、“熱望する”という意味を持つ新シリーズは、価格的には“ハイエンド”の領域にある現実的なシリーズだ。憧れの「AUDIO WAVE」が、ちょっと背伸びをすれば手が届きそうなところにまで降りてきたのだ。シリーズ中の主力機となる『Aspire Pro』(2ch Class-A/Bパワーアンプ)で、税抜価格が60万円。十分に“あり得る”価格で登場したのだ。
『CRシリーズ』に比べ大幅なコストダウンが図られたものの、当シリーズも1台1台が熟練したクラフトマンの手作業によって組み上げられる、完全受注生産品である。基板設計は練りに練って構築され、使用パーツにも徹底的なこだわりが注入されている。
音質性能も、「AUDIO WAVE」の名に恥じない。圧倒的にS/Nが高く、解像度も最高レベル。よって、1音1音のリアリティが素晴らしい。実在感が高く、手を伸ばせば触れられそうだと思えるほどのリアルな再現性を発揮する。音源に含まれている情報をすべて出し切る、そんなイメージのパワーアンプシリーズなのである。
その『Aspire Pro シリーズ』が登場して丸1年を迎えたこのタイミングで、同シリーズにニューモデルが4機種追加となった。なんと、日本市場だけに向けた、スペシャルバージョンであるという…。
『Aspire Proシリーズ』の究極形を“熱望”し…。
最初に、今回追加されたそれぞれの、主要スペックをご紹介しておこう。
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- Aspire Pro JDP(税抜価格:65万円)
- ●仕様:2ch Class-A/Bパワーアンプ ●定格出力:150Wx2(8Ω)、195Wx2(4Ω) ●周波数特性:12Hz~100kHz ●S/N比:105dB ●サイズ(幅×奥行×高さ):378×339×64mm●質量:8.0kg
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- Aspire Pro DST JDP(税抜価格:120万円)
- ●仕様:4ch(Dual Stereo)Class-A/Bパワーアンプ ●定格出力:150Wx4(8Ω)、195Wx4(4Ω) ●周波数特性:12Hz~100kHz●S/N比:105dB ●サイズ(幅×奥行×高さ):730×339×64mm ●質量:16.0kg
上記に加え、基板カラーをゴールドにした特別仕様もそれぞれ用意され、それを含めた計4モデルという布陣である。
- Aspire Pro JDP -Gold PCB-(税抜価格:70万円)
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- Aspire Pro DST JDP -Gold PCB-(税抜価格:130万円)
なお「Aspire Pro DST JDP」は、「Aspire Pro JDP」2台を、1つの筐体に収めたデュアルステレオモデルだ。つまり、4機種とも、1chあたりのスペックや性能はイコールである。
そして、それぞれの名称に付けられている“JDP”の3文字が、日本限定スペシャルバージョンの証だ。“JDP”とは、“ジャパン・ドメスティック・プロダクト”の頭文字なのである。
ところで、これらが開発されることになった経緯とは…。
それは、「AUDIO WAVE」の正規輸入代理店であるイース・コーポレーションからの、強い求めによるものだ。『Aspire Proシリーズ』のそれぞれが、完成されたパワーアンプであることは疑いようのない事実ではあるのだが、さらに高音質化されたモデルがあればこれほど素晴らしいことはない…、と、イース・コーポレーションは考えたのだという。
既存の『Aspire Proシリーズ』では、「AUDIO WAVE」として許容できる最大限ののコストダウンが図られて作られているのだが、そのリミッターを1段階外したらどこまで高性能なものになるのか見てみたい…。『Aspire Pro』としての“究極形”を、と、“熱望”したのである。
それを「AUDIO WAVE」の創設者であるGrant Hanan(グラント・ヘイナン)氏が快諾し、今回の4モデルが誕生することと相成ったのだ。
ちなみに、トップエンドラインである『CRシリーズ』においても、各モデル名の最後に“JDM”という3文字が付いているのだが、これも実を言うと「ジャパン・ドメスティック・モデル」の略である。『CRシリーズ』においても、「究極を超える再生能力を」という要望がイース・コーポレーションから出され、そうして製品開発が熟成されたという経緯がある。その後『CRシリーズ』は、昨年から“JDM”がワールドスタンダードになったという。
さて、その“JDP”のサウンドは…。最大の注目点はそこである。それについては、具体的な進化ポイントの解説と併せて、次週の「続編」において、じっくりとリポートしていく。
期待を裏切らなかったこと、いや、期待以上であったことだけは、ここでお伝えしておきたい。理想に叶うハイエンド・パワーアンプをお探しの方は、次週の「続編」を、どうぞお読み逃しなきように。