実力カーオーディオブランドのそれぞれの魅力を浮き彫りにすべく、フラッグシップモデル研究を実行している。旗艦機は、各社が持てる先端技術と思想が反映され作り上げられている。その技術と思想を明らかにすることで、各ブランドごとの特色が見えてくる…。
第5回目となる当回では、人気アメリカンブランド“MTXオーディオ”をフィーチャーする。
スピーカーの旗艦機は至ってリーズナブル。そして実にユニーク!
まずはスピーカーの旗艦機研究から行っていこう。“MTXオーディオ”は個性豊かなブランドとしても知られているが、スピーカーの旗艦機は図抜けて個性が際立っている。
なお“MTXオーディオ”は、スピーカーのフラッグシップモデルを2モデル持っている。1つが3ウェイ機である『IP863』(税抜価格:13万8000円)、もう1つが2ウェイ機である『SS7』(税抜価格:9万5000円)だ。
で、ユニークなのは『IP863』の方だ。当機はなんと、ミッドレンジとツイーターがケースに収められた状態で完成されている。3ウェイはサウンド的に利点が大きいと言われているが、インストールとコントロールの両面でハードルが高い。しかし当機はツイーターとミッドレンジとを『SEE(Sound Enhancement Enclosure)』に収めたことにより、インストールとコントロール両方の難易度を下げることに成功している。
インストールにおいては、ケースごとダッシュボードの上にポンと置けばミッドレンジとツイーターの取り付けを完了できる。そして、ミッドレンジはケースに収められているので背圧の制御がこれにて完了できている。取り付け方で鳴り方が大きく変わることがない。
それでいて当機は価格が案外リーズナブル。3ウェイの恩恵を手軽に得られる(当機が属している『イメージプロシリーズ』には、さらなるお手頃モデルもラインナップされている)。
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(写真)MTXオーディオ・SS7
一方2ウェイの旗艦機である『SS7』の方は、至って正統的なHi-Fiスピーカーだ。なお当機は“MTXオーディオ”の創立40周年を記念して作られたモデルでもある。ちなみに製品名の“SS”とは“シグネチャー・シリーズ”の頭文字だ。“シグネチャーモデル”とは通常、誰かの名前が冠されたモデルであるわけだが、この場合はズバリ、ブランド創設者であり現CEOでもあるロイド・イーベイ氏のモデルということを意味している。同氏が長年培ってきたノウハウが注ぎ込まれ完成されたスピーカーというわけなのだ。
そうでありながら当機も価格は抑え目だ。ユーザーフレンドリーなブランドであろうとする同社の姿勢が、この点からも垣間見られる。
サブウーファーには超ド級モデルを用意! 低音再生においては他の追随を許さないことを誇示!
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(写真)MTXオーディオ・T9922-22
続いては、サブウーファーのフラッグシップを見ていこう。こちらでは一転、超ド級なスペシャルモデルがラインナップされている。1つが『T9922-22』(22inch<56cm>2ΩDVCサブウーファー、税抜価格:198万円)、もう1機種が『TS9924-22』(24inch<61cm>2ΩDVCサブウーファー、税抜価格:220万円)。ともに、価格的にもサイズ的にもスペック的にもまさしく“規格外”の逸品だ。取付深さは、前者が535mm、後者が610mm。とにもかくにもビッグサイズ。そして定格入力も4000Wと、すさまじく大きい。ちなみにこれらのニックネームは、『ジャック・ハマー』と『ジャック・ハマー24』だ。
ところでこのようなスペシャルなモデルが作られているのは、同社が「低音再生に並々ならぬこだわりを持っているから」に他ならない。そこのところを象徴すべくこれらは作られているのだろう。ノーリミットで製品を完成させ、低音再生においては特に他の追随を許さないことを証明して見せている。
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(写真)MTXオーディオ・TS9924-22
技術的にも“MTXオーディオ”が持てるすべてが注ぎ込まれている。ざっと挙げると以下のとおりだ。高出力と低歪を両立させた“ALDS(Asymmetrical Linear Drive System)”技術、ボイスコイルを直接冷却することにより効率的な放熱を可能とする“SPV(Spider Plateau Vending)”技術、ハードな使用方法でも高い耐久性を誇る“スティッチコーン”、これらが誇らしげに採用されている。
なお“MTXオーディオ”では、これらに続くサブウーファーを多彩に展開している。パワフルに低音をドライブさせたいと思ったら、“MTXオーディオ”のチェックはマストだ。
パワーと音質の両面にこだわったパワーアンプを用意!
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(写真)MTXオーディオ・RFLシリーズ
次いでは、パワーアンプのフラッグシップ機を見ていこう。パワーアンプの旗艦シリーズの名称は『RFL』だ。以下の2機種がラインナップされている。1つが、A/B級の4chパワーアンプ『RFL4120』(税抜価格:15万3000円)、もう1つがD級の1chパワーアンプ『RFL4001D』(税抜価格:35万5000円)、以上だ。
それぞれの特長を紹介していこう。まず4chモデルである『RFL4120』は、高音質がとことん追求されて仕上げられている。内部パーツには、サンケン電子製のトランジスタや高品位バッファキャパシタ等々がおごられている。また、ルックス的にも他のモデルとは一線を画し高級感が高くかつスタイリッシュ。ちなみに“MTXオーディオ”というと「パワフル」というイメージが先行しがちだが、パワーアンプにおいては特に、Hi-Fiユーザーからの支持も厚い。力強さを備えつつ、音質面でも十二分な実力が担保されているからだ。それでいて価格はあくまでもリーズナブル。ここもポイントだ。
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(写真)MTXオーディオ・RFLシリーズ
一方1chモデルの方は、なかなかの高額モデル。それだけにスペックも破格だ。定格出力は1500W×1(4Ω)、2400W×1(2Ω)、4000W×1(1Ω)を叩き出す。“MTXオーディオ”は低音再生用のモデルについては特に高い限界値に挑もうとする傾向を示すが、それはパワーアンプにおいても同様というわけだ。
なお、当機にも4chモデルと同じく、サンケン電子製のトランジスタや高品位バッファキャパシタ等が使われていて、サウンドクオリティ面においても抜かりがない。当機はパワーだけが取り柄のサブウーファー用アンプではないのだ。
個性的なモデルを欲している方、リーズナブルに良い音を得たいと思っている方、そして力強くかつ質高く低音を鳴らしたいと思っている方は、“MTXオーディオ”にもご注目を。