遠隔操作でエンジンをかけられる便利アイテム、「エンジンスターター」。当記事では、これの活用法からタイプ解説、選ぶ際に注目すべきポイント、そしてさらにはおすすめモデルまでを紹介していく。エンジンスターターが気になっていたアナタは、要熟読♪
エンジンスターターの活用法とは?
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真冬と真夏に特に力を発揮する!
エンジンスターターとはその名のとおり、クルマのエンジンを始動させる機器だ。クルマから離れた場所にいながら、遠隔操作でそれを行える。
さて、これを用いることでもたらされるメリットとはズバリ、「車内の空調をあらかじめ快適な温度にしておけること」だ。夏ならクーラーを冬ならヒーターをエンジンの始動とともにスタートさせられるので、乗り込むときには車内を、夏なら涼しく冬なら暖かくしておける。
さらに最近はステアリングやシートにもヒーターが組み込まれている車種が増えてきた。エンジンスターターがあれば、それらも十分に暖めておける。また、エンジンの暖気を行えることもメリットだ。
愛車に合うのはどれ?<タイプ解説>
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単方向タイプか双方向タイプか
ここからはエンジンスターターにはタイプ違いがあることを説明していく。エンジンスターターはまず、大きく「単方向タイプ」と「双方向タイプ」との2つに分類できる。前者は、リモコンから本体への通信のみが行えるものを指し、後者は本体からリモコンへの通信も可能なモデルのことを指す。そうであると、エンジンが作動したこと等をリモコン側に知らせられる。
人気なのは後者だ。高機能であるがゆえに「単方向タイプ」よりも高価にはなりがちだが、離れたところの愛車に対して指示を送るアイテムだけに、作動確認等が行えた方が安心だからだ。ゆえに人気ブランドの製品のほとんどは「双方向タイプ」となっている。主流はこちらだ。
「汎用タイプ」か「プッシュスタート車専用タイプ」か
またエンジンスターターには、「汎用タイプ」と「プッシュスタート車専用タイプ」とがある。基本的に「汎用タイプ」とは、キーを差し込みひねってエンジンを始動させるクルマとプッシュスタート車の両方に使えるタイプのことを指す。
ただし、プッシュスタート車への対応の程度は、各社、各製品ごとで変わってくる。ものによってはプッシュスタート車への対応はごく一部に限られる場合もある。
対して「プッシュスタート車専用タイプ」は、その名のとおりプッシュスタート車にしか使えないモデルのことを指す。なお、これにもタイプ違いがある。プッシュスタート車のほとんどにイモビライザーが搭載されているのだが、その解除を行うための“イモビアダプター”が付属されているのものと別売のものとがある。なお別売になっているものの方が適合車種が多くなる傾向が強い。
さらに“イモビアダプター”が付属しているものの中には、それがエンジンスターター本体に内蔵されているものと別体になっているものとがある。内蔵されている方が取り付け性は高くなり、またリーズナブルになる場合もあるが、対応車種が限定的になる傾向も強くなる。
車種適合を注意深く要確認!
なお、エンジンスターターを購入する際には、適合表を確認することが実に重要となる。例えば、プッシュスタート車専用モデルであっても、すべてのプッシュスタート車に取り付けられるわけではなく、「汎用タイプ」もすべての車種に取り付けられるわけでもない。対応車体メーカーが限定されているモデルでも、そのメーカーのすべての車種に取り付けられない。
さらにいえば、別売の“イモビアダブター”や別売のハーネスについてもそれぞれ適合の確認が必須となる。なので、気になる機種については早めに適合の可否を調べるべきだ。その段階で選択肢が狭まる場合も往々にしてある。
あると便利なのは?<機能解説>
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肝心なのは通信性能!?
最初に、スペック的な部分での注目ポイントを紹介しよう。それはズバリ、“通信性能”だ。電波を使って遠隔操作するアイテムなので、通信性能が高いか否かは、使い勝手への影響も大きい。
ちなみに今、「LoRa(ローラ)」という名称の長距離無線通信技術が採用されたモデルがいくつか出ている。当技術は、エンジンスターターで従来使われていた無線通信技術と比べて、電波が遠くまで飛ぶ。到達距離の従来比は各社ごとの仕様で異なるが、その差は3~4倍程度となっている。しかも建物などの障害物にも強い。エンジンスターターに向いた技術と言って良い。
電波の飛びにこだわりたいなら、「LoRa」が採用されている機種が向いている。
アンサーバックの内容にも要注目!
最初に説明したとおり、今やエンジンスターターの主流は「双方向タイプ」だ。つまり、エンジンが始動したこと等を、リモコン側に送信できるモデルが人気を博している。ちなみに、リモコンへと情報を送信する機能のことは「アンサーバック」と呼ばれている。
その「アンサーバック」の内容は、各社各機ごとで異なってくる。エンジンが始動したことを教えてくれるにとどまらず、残りのアイドリング時間や現在の車内温度、車両のバッテリー電圧、さらにはドアロックの状況確認が行える機種も増えている。
そして、表示の仕方もさまざまだ。液晶画面上でアニメーション的に表示するモデルもあればLEDランプのみで表示する機種もある。そういった細かな部分までチェックすると、気に入るモデルを見つけやすくなる。
その他の注目機能をピックアップ!
あとは、エコモード的な機能も搭載されていると便利だ。当機能が使えると、車内温度が一定の値に到達した際にエンジンをオフにできる。エンジンスターターは有用なアイテムであるけれど、燃料の消費が多くなることがデメリットと言えなくもないが、エコモード機能が付いていればその不利点が減衰する。
また、オプション対応になるモデルが多いが、ドアロック/アンロックをエンジンスターターで操作できると使い勝手が高まる。そうであるとキーのかわりにドアの開け閉めができ、ロックを忘れていないかをクルマから離れた場所でも確認できる。
また、リモコンからアンテナを伸ばすタイプと内蔵されているタイプとがある。アンテを伸ばすタイプは電波の到達距離が長くなる傾向があるが、アンテナがリモコンに内蔵されていても電波が遠くまで届くモデルもある。なのでどちらが良いのかは一概には言えないが、アンテナが内蔵しているモデルは都度アンテナを伸ばさなくて良いので、その点は利点だ。
デザインや質感にもこだわりたい!
ところで、機能以外にもう1つ重要なファクターがある。それはリモコンのデザインだ。見た目のカッコ良さ、そして手にした時の質感や形もチョイスの際には注目したい。
さらにはカラーも各機種ごとで特長がある。基本的にはブラック系のモデルが多いが、マットなブラック塗装がされたものもあればメタリックなブラックのモデルもある。または部分的にシルバーが使われているモデルもある。
デザイン性が高いと使い心地も良くなる。好みに合うデザインのモデルを選び出すベシ。
おすすめ9選
カーメイト リモコンエンジンスターター TE-W8000
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当機はカーメイトのラインナップ中での最上位グレードの「汎用タイプ」(同一機能の「プッシュスタート車専用タイプ」もある)。なおカーメイトの各機は、対応車種が幅広い。他社と比べても随一だ。
で、当機の最大の特長は長距離無線通信技術「LoRa」が採用されていること。同社従来モデルと比べて約3倍の最大電波到達距離が確保されている(見通し最大15km、市街地最大1500m)。
またブラック液晶が採用され、アンサーバックが見やすいことも利点だ。アンサーバックでは、エンジンの始動の他に、アイドリング残時間、車内温度、車両バッテリー電圧、ドアロック状態も確認可能。また、エコモードも搭載する。
カーメイト リモコンエンジンスターター TE-W7300
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こちらは、カーメイトのスタンダードグレードの「汎用タイプ」(同一機能の「プッシュスタート車専用タイプ」もアリ)。「LoRa」が不採用でブラック液晶も未搭載だが、それ以外の機能は上級機に準じている。アンサーバックも表示内容が豊富だ。エンジン始動を知らせてくれる以外では、アイドリング残時間、車内温度、車両バッテリー電圧も確認できる。
また、車両側のアンテナユニットが本体と一体化していることも特長。結果、すっきりとした取り付けが可能だ。ドアロックにも対応する(オプション)。電波の到達距離は見通し最大2500m、市街地最大500m。対応車種も幅広い。
カーメイト リモコンエンジンスターター TE-W5200
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当機は、カーメイトのラインナップ中のエントリーグレードの「汎用タイプ」(同機能の「プッシュスタート車専用タイプ」もアリ)。もちろん当機も、対応車種が幅広いことも自慢の1つだ。
なお当機のリモコンには液晶が装備されていない分ボタンが大きく使いやすい。またメタリックブラックカラーが採用され質感も良好。さらには、アンサーバック機能もしっかり搭載されている。エンジンスタート等をLEDランプの点灯で確認できる。ドアロック機能も使える(オプション)。なお車両側のアンテナユニットは本体に内蔵されているので、すっきりとした取り付けが可能だ。電波到達距離は『TE-W7300』と同様だ。
ユピテル エンジンスターター VE-E9910st
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当機は「汎用タイプ」。なおユピテルでは「プッシュスタート車専用タイプ」はラインナップしておらず「汎用タイプ」に“イモビアダプター”を買い足すことで対応する。
で当機は同社ラインナップ中のトップエンドモデルで、長距離無線通信技術「LoRa」を採用し同社従来製品と比べて約4倍の電波到達距離を達成している(電波到達距離最大12km、実用通信距離最大約2000m)。
アンサーバックが、液晶グラフィック&音階ブザーで印象的に展開されることも特長だ。またその液晶のLEDバックライトのカラーは7色から選べる。さらに、アイドリングを自動で停止するオートストップ機能も搭載する。
ユピテル エンジンスターター VE-E7710st
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こちらはユピテルの2ndグレードモデル。上位機種と比べて、「LoRa」や7色LED、オートストップ機能等が省かれてはいるが、ターボタイマー機能を標準搭載し、アンサーバックが液晶グラフィック&音階プザーで展開されることは上位機種と同様。また温度センサー機能とドアロック/アンロック機能はオプションで対応可能だ。
なお当機も「汎用タイプ」で、別売の“イモビアダプター”を用意すれば、プッシュスタート車への取り付けも可能となる。対応車種は、車種別専用ハーネス適応表にて要確認。またユピテルのエンジンスターターはすべて3年保証が付いている。
ユピテル エンジンスターター VE-E6610st
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こちらはリーズナブルであることを特長とするベーシック機。シンプルで使いやすいことも利点としていて、アンサーバックもLEDと音階ブザーですっきりと展開される。電波の実用通信距離は最大500m、最大電波到達距離は見通し最大2500m。
なお当機も、“イモビアダプター”をオプションで用いることでプッシュスタート車への取り付けも可能となる。また、車内に取り付けるアンテナユニットはエンジンスターター本体に内蔵しているので、取り付け性が高い。さらに、アイドリング延長機能や、エンジンが1回でかからなかった場合に自動で最大2回やり直すリトライ機能も搭載している。
コムテック エンジンスターター CRS-1000
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当機は、トヨタ車、スバル車専用モデル(適合車種は要確認)。なお“イモビアダプター”はエンジンスターター本体に内蔵されているので、取り付け性が高い。また、リモコンが純正スマートキーと通信してエンジン始動を可能にするシステムが採用されていて、スペアキーを車内に置いておく必要がないことも強みだ。
電波の到達距離は、見通し最大1000m、市街地最大250m。アンサーバック機能ももちろん搭載。エンジン始動やドアロック確認を音と光で知らせてくれる。別売のオプションにより、乗車後にフットブレーキを踏むことでエンジンを停止させスムーズに再始動できる機能も付与できる。
コムテック エンジンスターター CRS-2000
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こちらはホンダ車とダイハツ車用(対応車種は要確認)のモデル。なお上で紹介した『CRS-1000』とは、対応車体メーカーが異なるのみで、デザインや機能は同一だ。また同一内容でさらにもう1機種、スズキ車、日産車用のモデルもある。
アイドリング時間は、5分、15分、30分、60分から選択可能。アイドリング時間延長機能も搭載されている。なおコムテックの各モデルはすべて、3年保証が付いている(リモコン)。その点でも安心感が高い。アンサーバックでは、エンジンの始動やドアロックの状態を知ることができる(ドアロック機能はオプション対応)。
コムテック エンジンスターター WR530
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当機は、イモビアダプターを内蔵しない「汎用タイプ」。主にキーを差し込みひねってエンジンをかけるタイプの車両に対応し、純正イモビライザー装備車にも使用が可能だ。なお、プッシュスタート車にもごく一部ながら対応している。
また当機は、機能がなかなかに多彩。ターボタイマー機能を搭載しアフターアイドリングも行える。ターボタイマーの時間は、オフ/30秒/1分/3分から選択可能。またアイドリング時間延長機能も装備し、さらにはアイドリング残時間お知らせ機能も積んでいる。最長電波到達距離は3300m(市街地では200mから800m)・液晶表示が分かりやすいことも自慢だ。
「使用上の注意について
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ところで、エンジンスターターの使用に際しては注意すべきポイントがいくつかあるので、それらも併せて紹介しておこう。
まず、次に乗るときにエンジンスターターを使う予定であるなら特に、クルマを停める際にはシフトレバーをパーキングに入れパーキングブレーキをかけておこう。ニュートラルに入れておくのはNGだ。エンジンの振動でクルマが動く可能性があるからだ。そして傾斜している場所に停めた場合も、使用を控えたい。
また、車内に子どもが乗っている場合にも使うべきではない。そもそもクルマに子どもを一定時間残しておくこと自体が良くないが、その状況でエンジンが始動すると危険度が増す。
また、一般公道や屋内駐車場、そして条例等でアイドリングが禁止されている場所での使用も控えたい。さらには、ボンネットが開いている状態のときも使うべきではない。これらにはくれぐれもご注意を。
まとめ
最近は、車両盗難の手口も巧妙化していて、それに対応すべく各自動車メーカーは純正のイモビライザーを高機能化している。結果、「エンジンスターター」の開発において、それへの対応の難易度が上がっている。なので特に最新車種では、使用できるモデルが限定的である場合も散見される。
それもあり、また安全性に十二分に配慮する観点でも「エンジンスターター」選びの際には、適合の確認を注意深く行うべきだ。車種、年式、そしてもろもろの仕様も含めて適合を確認しよう。
その上で、機能・性能とコストを天秤にかけながら、マイベストを絞り込もう。これを活用すれば、真夏や真冬のドライブの快適性がアップする。導入する価値は大だ。
太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。