カーオーディオでは、音調整機能を使いこなせるか否かでも最終的なサウンドクオリティが変化する。なおその設定はプロに任せるのが1番だが、それと並行して自分でやっても楽しめる。当連載では、自分でやろうと思ったときに役立つ情報を多角的に発信している。
現在は、「クロスオーバー」について説明している。で、前回からはこれを扱おうとするときに理解しておくべき用語の解説を開始した。今回は、その前回の記事の中で説明した「クロスポイント」という用語について補足する。
さて「クロスポイント」とは、「クロスオーバー」機能で音楽信号の帯域分割を行う際の「境目」となる周波数ポイント、という意味の用語だ。例えば、ツイーターとミッドウーファー間の帯域分割を行う場合、その「境目」を4kHzに設定したとする。この場合は、この4kHzが「クロスポイント」だ。よってツイーターには4kHzより上の信号が、ミッドウーファーには4kHzより下の信号が流されることとなる。
しかしながら実際の設定においては、ツイーターの下限の周波数ポイントとミッドウーファーの上限の周波数ポイントとを一致させないこともある。例えばツイーターには4kHzより上の帯域を担当させ、ミッドウーファーには5kHzから下の帯域を担当させることもあるのだ。つまりこの場合には、4kHzから5kHzまでの音は、ツイーターとミッドウーファーの両方で再生されることとなる。
逆に、ツイーターには4kHz以上の帯域を担当させ、ミッドウーファーには3.15kHz以下の帯域を担当させる、というような設定がされることもある。
なおこのような設定の仕方をしても、3.15kHzから4kHzまでの音がまったくなくなるわけではない(その理由については次回に詳しく説明する)。まず今回は、「担当範囲の境目がツイーターとミッドウーファーとで同じ場合もあれば、異なる場合もある」ということを頭に入れておいてほしい。
で、「クロスポイント」という言葉は、担当範囲の境目がツイーターとミッドウーファーとで同じ場合にのみ使われる。そしてそれぞれの「境目」が異なる場合には、それぞれの「境目」のことは「カットオフ周波数」と呼ばれることとなる。
というわけで、「クロスポイント」と「カットオフ周波数」は同じ意味として使われることもあるけれど、「クロスポイント」の方は使われるケースが限定的となる。状況によっては、「クロスポイント」という言葉は使われなくなることもあるのだ。
今回は以上だ。次回も「クロスオーバー」にて使われる専門用語の解説を続行する。乞うご期待。