タイヤの向きや角度を設定するのがホイールアライメント調整。標準範囲値が決められているが、その範囲内での調整でハンドリングや乗り心地は激変する。サイドスリップ調整だけがアライメント調整ではない。
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ホイールアライメントはタイヤがまっすぐに走っているときにどんな向きになっているかを決めるもの。レーシングカーではコーナリング性能のアップに、ネガティブキャンバー角が付けられ、タイヤが内側に傾いている。昔のT型フォードのようなクルマだと逆にポジティブキャンバーになっていることもあるが、今どきは垂直がネガティブキャンバーかのどちらかになっている。
キャンバー角以上にシビアなのがトー。タイヤの向きは基本的にはまっすぐ前を向いているが、わずかに内股、スキーでいうボーゲン状態にするとトーインと呼ばれる。逆にガニ股状態はトーアウトと言う。
プロは調整機構がなくてもどうにかできることもある
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このタイヤの取り付けられている角度をアライメントと言い、ノーマルのクルマでもある程度調整できるようになっている。車両による個体差があるので、自動車メーカーでもアライメントを調整してまっすぐ走るようにしている。
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車種によっては、リアのキャンバー角は調整機構がないとか、リアトーは調整不可ということもある。しかし、プロショップでは取り付け部分のわずかなガタ付きを寄せ集めて、どうにかしてしまったり、サブフレームの位置ごと修正して補正を行う。アームが複雑に絡み合うマルチリンク式サスペンションなどだと、アーム類を締める順番でも調整できたりと、意外に職人の技が発揮されるのがアライメント調整なのだ。
標準設定は結構あいまいで範囲が広い
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車検ではホイールアライメントを測定は無いがサイドスリップ測定はある。サイドスリップとはまっすぐに走ったときにどれだけ路面を横方向に押しているかの数値。大きくトーインやトーアウトはもちろんNGだし、ネガティブキャンバーが増えるとタイヤは内側に倒れようとするので、トーはアウト方向にしないとサイドスリップ値が大きくなってしまう。
そんなアライメント数値は車種ごとに基準値が決められている。その範囲内にあればサイドスリップ値もまず問題なく車検でも問題ない。その基準値がじつは結構広いのである。
例えば86だとトーインは0が標準値でプラス・マイナス3mmまで。キャンバー角は0°が標準値で、プラス・マイナス45分(0.75°)となる。これだけ調整範囲があるとかなりハンドリングが変えられるのだ。
ステアリングに敏感なトーイン、ダルいトーアウト
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これは一般的な傾向だが、トーインにするとタイヤはボーゲン状態になるので、常にどちらのゴムにもテンションが掛かっているようになる。ゴムがよじれるタイムラグが少ないので、ステアリング操作に瞬時にレスポンスしやすくなる。よく言えばシャープ。悪く言えばピーキー方向になる。
トーアウトはガニ股状態になるので左右のタイヤはお互いに外に走っていこうとする。そこからステアリングを切るので、例えばステアリングを右に切った時、左タイヤは外向きになっていて、一旦まっすぐの位置を通過してから右に向く。そのタイムラグがあるので、基本的にはダルい反応になる。よく言えば落ち着きがある。悪い言うと中立付近の反応が薄い、ということになる。
どちらがいいという問題ではない。知らず知らずのうちにトーイン傾向が強くなっていて、高速道路でどうも落ち着きがない、疲れる、ステアリングをしっかり持っていないと怖い、いつも風が強い気がする!? のような場合は、トーをゼロかアウト方向にすると解消するかもしれない。
普段乗りでステアリングを切ってもなかなか向きが変わらなくて怖い、いっぱい切らないと曲がらない、というのであればトーアウトになりすぎているかもしれない。
そういった味付けを調整できるのがアライメントなので、フルノーマルのクルマでもその効果は絶大。ただ買ったまま乗っているだけではもったいないのだ。
とはいえアライメントの数値は静止状態なので走行中は変わる!!
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アライメントは止まっているときの話。サスペンションはストロークするとトーもキャンバーも可変する。大きく沈み込んだときに意図的に可変させることで、スピンを防ぐような味付けになっていることが多い。なので、車種ごとに静止状態のアライメント数値が異なるもの。
違う車種でトーアウト2mmがいい感じだったとして、まったく参考にはならない。同じ車種でもサスペンション交換などで車高が変わると、その車高からストロークしていく時の変化量を見越してのアライメント設定になるので、これまた同じ数値が良いとはいえない。そのあたりを熟知したプロが、静止時を設定してくれる。ノウハウが現れるのがアライメント調整なのだ。