カーオーディオでは、製品選びも楽しむべきポイントの1つとなる。当特集ではそこのところをより深く満喫していただくために、プロ目線での“チョイスのコツ”を紹介している。当回では、“外部パワーアンプ”のセレクト法を解説する。
アドバイスをくれたのは、東京都日の出町にて店舗を構える実力店、“モービルサウンドテクノロジー”だ。有意義な話がたくさん訊けた。じっくりとお読みいただきたい。
◆使い勝手が良いのは4chモデル。音にこだわるなら他の選択肢もアリ!
まずは“モービルサウンドテクノロジー”の代表を務める小川さんに、何chモデルを選べば良いのかを教えてもらった。
「選ばれることが多いのは4chモデルです。そうである理由は、使い勝手が良いからです。2chにてフロントスピーカーをパッシブで鳴らし余った2chでサブウーファーをドライブしても良いですし、フロント2ウェイスピーカーをマルチ駆動しても良いですし。まずは1台導入しておくと、後々長く活用できると思います。
一方2chパワーアンプは、ある程度経験のある方に使われることが多いです。2chパワーアンプの中には音質性能にこだわったモデルが多くあり、またフロントスピーカーをマルチ駆動する場合には複数台の2chモデルでシステムを組んだ方がchセパレーションが上がります。なおその観点で言うと、モノラルパワーアンプも候補になり得ます。一層chセパレーションが良化しますから」
価格帯的には、どのあたりを狙うと良いのだろうか。
「もちろんご予算ありきですが、4chモデルの場合ですとお薦めしたいのは5万円から10万円くらいのモデルですね。5万円以下のモデルもありますが、そこから1つか2つグレードを上げると、満足度もぐっと高まります」
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◆使用パーツをチェックすると、コスパの高いモデルが見つかる!?
「そして10万円以上のモデルにまで手を伸ばすことができると、さらに音質性能が向上します。パワーアンプもスピーカーと同様に、コストをかければかけるほど(高級化すればするほど)性能が上がっていくからです。
なお内部に使われているパーツをチェックすると、コスパの高いモデルを見つけやすくなるかもしれません。名の通った評判の高いパーツを使っていながらも値頃感のあるモデルもいくつかあります。そういったところにも注目すると、パワーアンプ選びが一層面白くなると思います。
一方、カタログスペックはあまり気にされる必要はないと思います。特に出力の大きさはそれほど重要ではありません。パワーと音質性能は比例しませんから。
ただ、“ダンピングファクター”は参考になりますね。これは制動力を示す数値で、この数値が高いほどスピーカーをレスポンス良く鳴らす能力が高まります。
とはいえスピーカーとの相性もありますから、一概には言い切れないのですが。“能率”の高くないスピーカーを鳴らすときには“ダンピングファクター”の数値が高いアンプの方が向いていますが、“能率”が高いスピーカーに対しては“ダンピングファクター”はそれほど気にしなくて良いと思います。重要なのは相性ですね」
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◆D級パワーアンプに良品が増加中!?
ところでパワーアンプには動作方式違いがいくつかある。それは気にするべきなのだろうか。
「ハイエンドシステムを組もうとされる方からは、AB級もしくはA級のモデルが選ばれることが多いです。しかし最近は、D級モデルの人気も高まっています。D級は音楽信号を一旦デジタル信号に置き換えてから増幅しますので、効率が良く消費電力も少ないです。なのでコンパクトなモデルが多くインストールもしやすく、また電力を多く必要とするEVやハイブリッド車にも向いています。音の良いモデルも多くなってきましたし」
搭載されている機能で注目すべきものはあるのだろうか。
「“ブリッジ接続”が可能かどうかは確認したいですね。可能であるとサブウーファーを鳴らしやすくなりますから。ただし、インピーダンス等、組み合わせるサブウーファーとのマッチングはチェックしてください。
あと、“クロスオーバー機能”が搭載されているとサブウーファーを鳴らすときに便利です。とはいえシステムにプロセッサーを組み込んである場合には必要ないのですが。むしろ搭載していない方が内部の回路がシンプル化しますので、音的には多少なりとも有利です。
ところでパワーアンプは店頭にて聴けるモデルの数が限定的で、その点ではセレクトしづらいかもしれません。なのでお近くの専門店でアンプの比較試聴会等が開催されるとの情報を掴んだら、その機会をぜひご活用ください。あとは各ショップやメーカーのデモカーの音をたくさん聴かれると、経験則が上がります。特にハイエンドモデルに目を向ける場合にはそのようにしてじっくり選ばれると、その過程も楽しめます。
お近くでしたらぜひお気軽にご来店ください。さまざまなご提案ができると思います。お待ちしています」