多くのドライバーが運転中に音楽を聴いているはずだ。さて、そのとき再生機器、つまりは「ソースユニット」には何を使っているだろうか。当特集ではその選択肢の1つ1つについて、利点や楽しみ方のコツを解説している。
◆非ナビ派に向けて開発された「メインユニット」のニュータイプ!
今回は、市販の「ディスプレイオーディオ」について考えていく。ちなみにこれは、他の「メインユニット」と比べて比較的に新しい。登場してから概ね10年ほどしか経っていない。
ところで、2000年代にもモニターを備えた「メインユニット」は存在していて、それのことは「AVヘッド(ユニット)」と呼ばれていた。で、それらは5.1chに対応し、多くのドライバーがこれにて「カーシアター」を楽しんでいた。しかし「カーシアター」のブームが去り、「AVヘッド」の生産も終了してしまう。なので一時、「AV一体型ナビ』以外でモニターを備えた「メインユニット」は市場から消えた。
しかし2010年代に入り、「カーナビは必要ない」という層に向けてモニターを備えた新機軸の「メインユニット」が登場する。それが「ディスプレイオーディオ」だ。かつての「AVヘッド」のように5.1chには対応せず価格もそれと比べてリースナブルになった。そして年々存在感を高め、今や非ナビ派にとってのファーストチョイスとなるに至った。
なお、最新の市販「ディスプレイオーディオ」は、「AV一体型ナビ」と同様に「スマホ連携」に重きを置いて設計されている。
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◆スマホ連携力は「AV一体型ナビ」と同等かそれ以上。では「ソースユニット」としては?
結果、ほぼすべての機種がBluetoothに対応し、多くの機種がHDMI端子を備えている。なのでスマホ内の音楽をワイヤレス接続にて楽しめて、ミラーリングも行えるので映像系コンテンツもさまざま観られる。さらには、Apple CarPlayとandroidautoに対応する機種も増えている。そうであれば、スマホナビアプリが使いやすくなる。アプリの表示を車載機の画面に映せて操作も車載機側で行えるからだ。そして、音楽アプリを楽しむときにも同様の理由で便利に使える。
かくして市販「ディスプレイオーディオ」は、スマホを「ソースユニット」として多彩に使いこなせる。なのでこれ自体が音楽再生機として活用されることは少な目だ。さらにいうと、ある程度価格を下げるためだろう、地デジチューナーが搭載されていない場合がほとんどだ。それもあり、これが「ソースユニット」として使われる頻度は、「AV一体型ナビ」と比べてもさらに低い。
とはいっても、USBメモリーにて音楽を持ち込みたいと考える向きには、もちろん「ソースユニット」として高いポテンシャルを発揮する。ただし、「AV一体型ナビ」とは異なり、SDカードには対応していない機種が多いので、SDカード派にとっては少々不満が出るかもしれない。
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◆「ハイレゾ音源」に対応したモデルも多々存在!
そして市販「ディスプレイオーディオ」の多くの機種が、「ハイレゾ音源」の再生にも対応している。そのような機種であれば、自宅のパソコンに「ハイレゾ音源」を多々所有しているというドライバーにとっては「ディスプレイオーディオ」は「ソースユニット」としての魅力がさらに増す。「ハイレゾ音源」をUSBメモリーやポータブルHDDにて車内に持ち込めば、ダイレクトにデータを読み取れる分、外部機器でそれを聴くのと比べて音質的にアドバンテージを発揮する場合も少なくない。
ちなみに、大手カーエレメーカーで「ディスプレイオーディオ」を用意しているのは、アルパイン、ケンウッド、カロッツェリアの3社だが、中でもカロッツェリアのラインナップの中には、「ソースユニット」として特に高い能力を示すモデルがある。『DMH-SF700』と『DMH-SZ700』の2機種がそれだ。
これらにはブラウザが搭載されている。なのでYouTubeを快適に視聴可能だ。ミラーリングでは操作はスマホで行うしかないが、この2機種では動画検索等の操作もまるでタブレットを扱うかのように画面上にて行える。YouTube派はこの2機種には特に注目してほしい。
今回は以上だ。次回以降も「ソースユニット」についての考察をお届けしていく。お楽しみに。