カーオーディオの楽しみ方はさまざまあるが、当特集では「とことん音にこだわる」という方法論に焦点を当て、その実践方法を1つ1つ解説している。第15回目となる当回では、「超ハイエンドケーブル」を使うというアプローチについて深堀りする。
◆ケーブルを換えれば音が変わる。そしてとことん音にこだわろうとするときには…
ケーブルは信号を伝達するための、あるいは電源を引き込むためのアイテムだが、これらに何を使うかでも音が変化する。
例えばスピーカーケーブルでは、市販品の最廉価クラスのモデル(1mあたり200円程度)であっても純正ケーブルとの質の差は明らかにある。純正ケーブルにかけられているコストは、これと比しても確実に少ない。まず細い。つまり使われている導体の量が少ない。またとある車体メーカーでは、導体の素材に銅ではなくアルミを使っていたりもしている。結果、音にも差が出る。
そしてそこからさらにグレードを上げ、1mあたり1000円くらいのケーブルを手にすると、そこでも一層の高音質化が果たされる。200円のケーブルと1000円のケーブルとでは価格が5倍も違う。それだけ違えば素材の質も相応に上がる。その事実が音に効かないはずはない。なので多くの愛好家は、ケーブルにもある程度のコストをかける。そしてとことん音質にこだわろうとするときには、超高級なケーブルが選ばれ、使用されている。
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◆フロント3ウェイを鳴らすとき、例えば「M&Mデザイン」のモデルを使う場合には…
では「超ハイエンドケーブル」にはどのようなモデルがあるのかを具体的に見ていこう。国産カーオーディオケーブルブランドの「M&Mデザイン」では、次のような製品を持っている。
まず同社では、スピーカーケーブルのエントリーアイテムとして『SN-MS1200ll』を擁している。なおその税抜価格は、780円/mだ。対してトップエンドモデルである『SN-MS9500 TheONE』の税抜価格は、1万2000円/mとなっている。この2モデルの価格差は、ざっと15.4倍だ。
で、フロント3ウェイを鳴らすのに『SN-MS9500 TheONE』を使ったら、どのくらいの予算が必要になるのかというと……。
ハイエンドシステムでは各スピーカーがマルチ制御される場合がほとんどなので、1つのスピーカーユニットに対してパワーアンプの1chずつが割り当てられる。結果、スピーカーケーブルも1つのスピーカーユニットに対して1本ずつが必要となる。つまり必要本数は、計6本となる。
またハイエンドシステムではパワーアンプはトランクに積まれることが多く、となると1本あたり5~6mが必要となる。仮に1本あたり5mで済んだとして、合計で30mが必要だ。つまり1万2000円×30mで、計36万円の予算を要することになる。
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◆高価であることはダテではない。これだからこその音色を楽しめる!
つまり「超ハイエンドケーブル」ともなると、もはや部材ではなく「ユニット」の1種と考えるべきものとなる。実際このケースでは、高級パワーアンプ1台を手にできるほどの予算が必要となってくる。
とはいえ、コストがかかることはダテではない。このケーブルを使うからこその音色を楽しめる。情報量がアップし解像度の向上も果たされる。
次いでラインケーブルについても見てみよう。同じく「M&Mデザイン」では、ラインケーブルのフラッグシップモデルとして『7N-MA9000CORSA』を用意している。で、ハイエンドシステムの場合プロセッサーもトランクに積まれることが多く、そうであればある程度短いモデルでOKなので、0.7mのモデルを使うとすると……。
『7N-MA9000CORSA』の0.7mのモデルの税抜価格は、16万円だ。で、フロント3ウェイを組む場合には計3本が必要となるので、ラインケーブルには合計48万円の予算を要することとなる。
かくしてケーブルにもこだわり尽くそうとすると、これだけのコストがかかってしまう。しかし、もしも高級スピーカーや高級パワーアンプを使うのであれば、それらのポテンシャルを存分に引き出せないともったいない。なのでケーブルにも可能な限りコストを注ぐべきだろう。そうすることで得られる満足度は、確実に上昇する。そして「音を極めよう」とするときには、このような「超ハイエンドケーブル」を使うという手も浮上する。
今回は以上だ。次回以降も「音の極め方」についての考察を続行する。お楽しみに。