カーサウンドシステムを進化させたいと思っていろいろと調べてみると、“分かりづらさ”がつきまとう……。当連載はその払拭を目指して展開している。毎回、難解な用語や理解し難い仕組み等々の意味や成り立ちを解説している。
◆サウンドチューニングを行うための専用ユニットが、「単体DSP」!
現在は、DSPについて説明している。なお「DSP」とは「デジタル・シグナル・プロセッサー」の略称で、サウンドチューニングを行うための機能を搭載したもののことを指す。
で、これにはタイプ違いが3つある。「メインユニット内蔵型DSP」、「パワーアンプ内蔵DSP」、「単体DSP」、これらだ。今回はその中の単体DSPとは何か、そしてこれを使う利点は何なのかを説明していく。
まず単体DSPとは、サウンドチューニング機能のみを搭載するユニットだ。なのでこれをシステムに組み入れれば、詳細なサウンドチューニングを行えるようになる。しかしながらサウンド制御を行う以外の能力は、これには搭載されてはいない。
ちなみにDSPはこれが登場した当初(1990年代半ば頃)、メインユニット内蔵型DSPしかなかった。DSPは「メインユニット」に組み込まれているか、各メインユニットに対しての専用の外部ユニットとなっていた。

◆高度なDSPを搭載したメインユニットが使いづらくなり…
しかし2000年代に入ってしばらくすると、汎用の単体DSPが一部登場する。しかしそれは「純正メインユニット」との接続を想定しているものではなく、それほど普及はしなかった。そして愛好家の多くは、外付けの単体DSPよりも、高度なDSPが内蔵されている「ハイエンド・メインユニット」を好んで使った。
しかし徐々にメインユニットを交換しづらい車種が増えてきて、高性能なメインユニットを導入し難くなっていく。さらにはAV一体型ナビが普及し、これを導入してしまうと併せて高性能なメインユニットを取り付けるのが難しくなる。こうして、「ハイエンド・カーオーディオ」が楽しみづらくなっていっった。
そんな状況を打破すべく、2000年代の後半に「純正メインユニット」との接続が想定された単体DSPがいくつかのメーカーから発売されるようになる。

◆単体DSPなら好みの「外部パワーアンプ」を組み合わせられる!
というわけで単体DSPは、主にはメインユニットが交換しづらい場合に使われるもの、という性格が強かった。しかしながらこれを使う場合には併せて「外部パワーアンプ」も用意する必要があるので、導入のハードルは低くはなかった。なのでそのハードルを下げるべく、パワーアンプ内蔵DSPが登場する。これを使う場合には、外部パワーアンプを用意しなくても良い。
とはいえ、パワーアンプ内蔵DSPを使う場合にはシステムを発展させにくい。後から「内蔵パワーアンプ」をアップグレードできないからだ。
しかし単体DSPを使う場合には、好きな外部パワーアンプを組み合わせられる。そこのところが重んじられて、さらには高音質DAPとの親和性が高いこと、単体DSPの高音質モデルが次々にリリースされたことも重なり、上級者の間で単体DSPをシステムの核とするスタイルが定着し、今ではそのスタイルがハイエンド・カーオーディオ愛好家にとっての定番となっている。
今回は以上だ。次回は単体DSPの選び方について説明していく。お楽しみに。