鳴りっぷりが良く、しかもリーズナブルな製品を多々擁している英国ブランド、「ヴァイブ オーディオ」。同社の、2016年に発売が予定されていた新作が、この度遂に日本上陸を果たした。スピーカーが2シリーズ、パワーアンプが1シリーズ、というのがその内訳だ。
それぞれのポテンシャルがいかほどなのかを確認すべく、同ブランドの正規輸入代理店である、静岡県のイース・コーポレーションを訪ねた。各機の詳細なインプレッション・リポートを当週より4週連続で、特濃でお届けする。
通常『BLACKAIR シリーズ』の特別版、“BLACK EDITION”の進化モデル!
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まずは、ミドルグレードとなる『BLACKAIR(ブラックエア) BLACK EDITION シリーズ』のこちらからご紹介しよう。主要スペックは以下のとおりだ。
- ☆BLACKAIR6C-V6B(税抜価格:3万6000円)
- ●仕様:16.5cm 2wayコンポーネントスピーカー ●定格入力:120W ●周波数特性:45Hz~25kHz ●能率:88dB ●取付穴直径:139mm(ウーファー部) ●取付深さ:65mm(ウーファー部)
なお当機は、同シリーズの従来モデルである、『BLACKAIR6C-V1B』(税抜価格:2万8000円)からのバージョンアップモデルである。2機種間で、スペック的には大きな違いは見られない。定格入力は同一で、周波数特性はやや下側に広がり、しかし能率は若干、従来機のほうが高い。基本的に、素材、構造は同一の中で、各所のチューニングが変更されてのバージョンアップ、ということのようである。
ところで、『BLACKAIR BLACK EDITION シリーズ』からはもう1アイテム、ユニークな製品が登場している。ミッドレンジの同軸上にトゥイーターがマウントされている、“イージーインストール”を可能とする3ウェイモデルである。
ミッドレンジの口径は68mm。これ1つに関して言えば、セパレート2ウェイスピーカーのトゥイーターと比べてインストールは簡単ではないものの、トータルで考えれば、通常の3ウェイをインストールするよりも、相当にスムーズに取り付けられるだろう。
3ウェイには、2ウェイでは得られないメリットがある。3ウェイを試したいと思いながら予算的な部分で二の足を踏んでいる、というのなら、当機を検討してみても面白いだろう。
主要スペックは以下のとおりだ。- ☆BLACKAIR63C-V6B(税抜価格:6万円)
- ●仕様:16.5cm 3wayコンポーネントスピーカー ●定格入力:130W ●周波数特性:45Hz~25kHz ●能率:88dB ●取付穴直径:139mm(ウーファー部 ●取付深さ:65mm(ウーファー部)
至って素直なサウンド。明瞭感も高く、バランスもナチュラル。
さて、2ウェイモデルである、『BLACKAIR6C-V6B』のインプレッション・リポートに入ろう。試聴会場は、イース・コーポレーションの試聴室、リファレンスシステムは、次のような編成だ。
PCをソースユニットとして活用し、パワーアンプには、同ブランド同グレードの『BLACKAIRS4-V1』(税抜価格:6万3000円)を使用した。
なお、パワーアンプは4chモデルであるが、フロントchのみを使い、クロスオーバーはスピーカーに付属のパッシブクロスオーバーネットワークを使用した。
ケーブル類はすべて「モンスターカーオーディオ」で統一。パワーケーブルに『MCA PF4R/B』(税抜価格:3000円/1m)を、ラインケーブルに『MCA 450i-3M』(税抜価格:1万5000円/3m)を、スピーカーケーブルに『MCA 350S14』(税抜価格:1000円/1m)を、それぞれ使用した。
スピーカーとパワーアンプは、リーズナブルな製品同士の組み合わせだ。外部アンプを用いての、入門的なシステムである。
試聴トラックの曲名をダブルクリックして再生をスタートさせ、1曲目を聴きながら思ったことは…。
第一印象は、“素直さ”だった。音色が至って正確なのである。エントリー製品の中には、色づけが強いものも時としては見受けられるが、当機の音からは、音源がそのまま再生されていることを実感できる。安心して音楽に身を委ねられた。
そして、明瞭感があり、メリハリもあるので、純正オーディオとは違う、特別な製品を導入したという手応えを得られる音だ、とも思えた。重箱のスミをつつけば注文は付けられるのだけれども、クリア感が強く、エッジも立っているので、Hi-Fiっぽさを十二分に感じ取ることができる。
低域の質感も上々だ。ローエンドまで伸びているわけではないが、ほどよい弾力感があり、躍動する低音が聴けた。
なかなかに聴かせ上手なスピーカーであり、パワーアンプである。価格に対する満足度は非常に高い。購入したユーザーを、取り付けた後からがっかりさせることは、まずないだろう。
「鳴りっぷりが良い」と評されているのはダテではなかった。しかも、正当派なサウンドである。少なくとも“ドンシャリ”な音ではない。音色も、バランスもあくまでナチュラルだ。
お手頃なスピーカーとパワーアンプをお探しならば、これらを候補に入れて間違いはなさそうだ。なかなかにあなどれない製品である。
さて次週は、同じパワーアンプのまま、もう1グレード上のスピーカーを鳴らしてみたところのインプレッション・リポートをお贈りする予定だ。ミドルハイグレードの良いスピーカーをお探しならば、次週の記事は大いに参考になるはずだ。お読み逃しなきように。