スーパーハイエンドスピーカー『RS Master』シリーズを擁する、ドイツ発の実力カーオーディオブランド「RSオーディオ」から、まったく新しいスピーカーシリーズが登場する。その名は、『RS Stream(アールエス・ストリーム)』シリーズ』。
またの名を、The『Baby Master』という。つまり、あのスーパーハイエンドスピーカー『RS Master』シリーズのジュニアバージョン、というわけだ。その実機が入荷したとの一報を受け、早速取材を申し込んだ。そしてその数日後に実現したテストの詳細を、いち早くリポートする!
『RS Master』シリーズと『RS Revelation』シリーズとの中間に位置する、とのことではあるが…。
春の息吹が漂い始めた3月初頭、取材班は期待に胸を躍らせながら、「RSオーディオ」の正規輸入代理店であるイース・コーポレーション本社(静岡県)を訪ねた。到着するやいなや、同社の試聴室に向かい、『Baby Master』と対面した。
試聴用のボックスに組み込む前のユニットを見て、『Baby Master』という呼称が付けられている理由を、おぼろげながら感じ取れた。スピーカーユニットのフォルムから、『RS Master』シリーズのエッセンスがにじみ出ていたのだ。
特にそう思えたのが、ミッドウーファーのバスケット。写真をご覧いただければ、意味をご理解いただけるはずだ。シルエットが『RS Master』シリーズのそれと酷似している。本家はムクのアルミから削り出された完全なるワンピース構造の屈強なシロモノだが、こちらは、同じくアルミ製ながら、ダイキャスト。ゴツさでは大きな開きがあるが、同様な力学や物理学のアルゴリズムが注入されていることは間違いない。
なお、この『RS Stream』シリーズは、『RS Master』シリーズと、これに続く『RS Revelation』シリーズとの中間グレード、とのことなのだが、実際は中間というよりも片側に寄っている。価格的には『RS Revelation』シリーズの近くにあり、思想やテクノロジー的には『RS Master』シリーズ寄りだ。このように理解すべきであるようだ。
『RS Master』シリーズの技術と思想を、低コストで表現…。
ところで、本記事が公開される数日前に、イース・コーポレーションより、『RS Stream』シリーズに関してのニュースリリースが発表されている。整理の意味で、そこで紹介されている情報を、ここでも一部掲載しておこう。『RS Stream』シリーズは、以下の2つのコンポーネントでラインナップが形成されている。
- ☆RS Stream 165-3 税抜価格:40万円
- ●仕様:16.5cm 3wayコンポーネントスピーカー
- ●定格入力:120W ●公称インピーダンス:4Ω ●周波数特性:35Hz~30kHz ●能率:91dB ●取付穴直径:143mm(ミッドベース部)96mm(ミッドレンジ部)51mm(ツィーター部)●取付深さ:77mm(ミッドベース部)37mm(ミッドレンジ部)20mm(ツィーター部)●3ウェイパッシブクロスオーバーネットワーク付属
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- ☆RS Stream 165-2 税抜価格:30万円
- ●仕様:16.5cm 2wayコンポーネントスピーカー
- ●定格入力:120W ●公称インピーダンス:4Ω ●周波数特性:35Hz~30kHz ●能率:91dB ●取付穴直径:143mm(ミッドベース部)51mm(ツィーター部)●取付深さ:77mm(ミッドベース部)20mm(ツィーター部)●2ウェイパッシブクロスオーバーネットワーク付属
しかしながら、特にミッドウーファーにおいて、『RS Master』シリーズの設計思想がふんだんに盛り込まれている。つまり、『RS Master』シリーズに注入されている技術を「量産モデルで再現した」というわけだ。だからこその『Baby Master』なのである。
エレガントで、ほど良く温かみがあり、味わいも深い…。
各部の構造等についての具体的な情報は、メーカー発表のリリースに譲り、引き続いてインプレッションリポートに入りたい。最初に試聴環境をざっと紹介しておこう。
試聴会場はイース・コーポレーションの試聴室、システムはPCをソースユニットとして、CDクオリティのFLACファイルを再生。その信号を「USB-DAC」を介してパワーアンプに送る。使用アンプは同じく「RSオーディオ」の『RS Master T Mono』(税抜価格:35万円)×2台。ケーブルは「チェルノフケーブル」の以下の面々。パワーケーブルが『STANDARD DC Power 8AWG』(税抜価格:1200円/1m)、スピーカーケーブルが『CLASSIC MKll SC/1』(税抜価格:9300円/1m)、ラインケーブルが『REFERENCE MKll IC165』(税抜価格:25万円/1.65m)。バッテリーには「XSパワー」を使用した。
かくしてアプリケーションの再生ボタンをクリックすると、ガットギターのイントロのフレーズが瑞々しく再現され、その4小節あとからは、密度感の高い音色で、パーカッションが打ち鳴らされた。
そのアンサンブルから表現されるサウンドは、なかなかにエレガントで、かつほど良く温かみもある。そしてなんとも味わい深い。コクがあり、響きにはツヤがあり、余韻の消え方にも雰囲気がある。
その上で、『RS Master』シリーズを彷彿とさせる、正確性や忠実性も併せ持っている。そして高解像度に高S/Nに音楽を再現できできている。
ところで『RS Master』シリーズは、正確無比にそして冷静沈着に原音をリアルに忠実に再現するし。そして、自らは主張し過ぎないかわりに、パワーアンプの個性を色濃く反映させることができるのだが…。
ここでふと疑問が湧いた。『RS Stream』シリーズの音を聴きながら、そのサウンドの味わい深さにうっとりしたわけだが、この印象は、スピーカーの個性なのかアンプの個性を反映しているからなのか…。
ツィーターもミッドウーファーも、音楽性豊かなタイプ…。
多かれ少なかれパワーアンプの個性を投影しているだろうけれど、この何とも言えない味わいは、『RS Stream 165-2』の、新開発されたツィーターの特性が反映されている可能性も高い。
なお、こんなエピソードも聞かせていただいた。イース・コーポレーションの担当の方曰く、「RSオーディオ」からはかねてから、『RS Master』シリーズの新たなツィーターを開発中であると示唆されていたとのことだ。しかしながらそれに該当する新製品は未だ登場していない。そうこうしているうちに前触れなく『RS Stream』シリーズ完成のメールが届き、続いて実機が届いた、とのことなのだ。
ここからは推測となるのだが、当『RS Stream』シリーズのツィーターは、そもそもは『RS Master』シリーズのために開発されていたもので、だからこそクオリティが高い。しかしながら思いの他、低コストで仕上がった。なのでそれを活かすべく、新たなコンポーネントの開発へと舵が切られた…。
ストーリーはさておいて、このツィーターが高性脳あることは確かだ。音楽性豊かにサウンドを再現できるタイプであり、だからこそ濃密で豊かなサウンドを聴かせてくれるのだろう。
さらに、ミッドウーファーも完成度高く仕上げられている。結果『RS Stream』シリーズは、正確で冷静、そして高解像度で高S/N、そしてその上で味わい深く聴かせるタイプのスピーカーとなっているのだ。
ひょっとすると当機は、2018年のハイエンドカーオーディオ市場の、台風の目となるかもしれない。ヒットの予感は大だ。