「ロックフォード・フォズゲート」から新機軸DSP『DSR1』が発売開始されている。2017年春に発行されたカタログに掲載され発売が今か今かと待たれていたが、2017年11月よりデリバリーが開始され、じわじわと各所で話題となっていた。
当機が注目を集めているその理由を、詳細に解説する。
コントロール機能はトップエンド機『3SIXTY.3』とほぼ同等!
当機が新機軸であるポイントを1つ1つ紹介していこうと思うのだが、その前に、主要スペックを見ておこう。
- ☆ロックフォード・フォズゲート DSR1(税抜価格:7万8000円)
- ●仕様:シグナルプロセッサー
- ●RCA/ハイレベル入力:4系統 ●RCA出力:8系統 ●AUX入力:RCA ●248バンドパラメトリックEQ ●フェイズコントロール ●タイムディレイ ●ハイレベルインプット対応(別売RFI2SW) ●サイズ(幅×奥行×高さ):130mm×102.5mm×32mm ●リモートコントローラー別売(PLC2)
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上記を踏まえ、まず確認しておきたいのは、「当機のチューニング機能は、同社のベストセラーDSP、『3SIXTY.3』とほぼ同等である」ということ。“イコライザー”は“ch独立31バンドパラメトリックEQ”(結果、全体では248バンド!)であり、“タイムディレイ”のステップも同等だ。
“クロスオーバー”については少々の違いがある。左右独立で制御できないことと、クロスオーバークラスが“バターワース”のみであることが『3SIXTY.3』との相違点となっているが、これらについては実際の使用において、大きな影響はなさそうだ。サウンドコンテスト出場車両レベルで音質を追い込もうとするとき以外では、それらを設定できずともさほど問題にはならないはずだ。『3SIXTY.3』と比べて価格が約半分であることを考えれば、十分過ぎるほど高機能であると言っていい。
その他の部分で『3SIXTY.3』との違いとして目立つのは、入力ch数だ。『3SIXTY.3』では8chあるのに対して『DSR1』は4ch。ただこれについても、通常の使用においてほとんど問題となることはないだろう。
影響が出るとすれば、純正メインユニットの音声をハイレベル入力しようとするときだ。『3SIXTY.3』には“サミング”機能が搭載されているので、純正オーディオのスピーカー出力が帯域分割されていても、最大8ch分入力でき、本体の中でそれをフルレンジ信号へと合成できる。しかし『DSR1』では“サミング”機能が搭載されておらず、入力も4chだけなので、純正オーディオのスピーカー出力が3ウェイ以上に帯域分割されていた場合、それをすべて入力することが叶わない。
ただそのような場合でも、“サミング機能”を有する“ハイローコンバーター”を用意すれば大丈夫だ。コストがかかってくるので当機の利点は削られてしまうが、使えないことはない。
超小型であることは大きなメリット! 自在にインストール可能!
上記のように、『3SIXTY.3』にあって『DSR1』にはない機能はあるものの、逆もある。それらがまさしく、当機ならではの利点となる。
まず挙げるべきは、「小型であること」だ。横幅はわずか130mm。場合によっては純正メインユニット裏のデッドスペースに収めることも可能だろう。グローブボックスにも設置できる。シート下にはすでにパワードサブウーファーや、ナビのハイダウェイユニットが取り付けられている、というようなケースでは、その他のユニットを取り付けることが難しかったが、『DSR1』ならばなんとかなる。
ところで昨今、パワーアンプ内蔵型のDSPが人気を博している。クルマの中はプライベートな空間であり、リスニングルームとして絶好の場所であるのだが、音響的なコンディションはあまりよろしくない。でもDSPを用いれば、それらへの対処が可能だ。ただ「単体DSP+外部パワーアンプ」という組み合わせでは、コストがかかり、インストールスペースも大きく必要…。しかしパワーアンプ内蔵型のDSPならハードルはぐっと下がる。低コスト&省スペースでコントロール機能を手にできる。
さて、当機『DSR1』も単体DSPであるのだが…。当機の場合はコンパクトかつリーズナブル。結果、単体DSPならではのビハインドは消えてなくなる。超小型パワーアンプと組み合わせれば、パワーアンプ内蔵型DSPよりもむしろ設置しやすい場合も出てくるだろう。DSPとパワーアンプが別体であるので、インストールの自由度はなかなかに高い。さらには、後々のパワーアンプのグレードアップも可能だ。メリットばかりが際立つ、というわけだ。
チューニング操作は、スマホorタブレットで、ワイヤレスで実行可能!
さらに当機は、チューニングをスマホやタブレットで、しかもBluetooth接続で行える。単体DSPおよびパワーアンプ内蔵型DSPのほとんどの機種では、チューニング操作をケーブルで接続したパソコンで行うのだが、これが結構面倒臭い。プロショップで調整してもらう場合にはユーザーには影響ないが、自らチューニングしようと思ったときには、これがハードルとなって断念…、そんな経験を持っている人も少なくないはずだ。
しかし、操作を携帯端末で、しかもワイヤレスで行えるのであれば話が違う。ドライブ中に気になる箇所が見つかったときでも、安全な場所にクルマを停めれば、早速チューニングを変更できる。
また『DSR1』では、スマホ等の音楽をBluetooth接続で受けることも可能だ。別売の『RFBTRCA』(税抜価格:1万2000円)を用意し、そのRCA出力を『DSR1』の外部入力に接続すればOKだ。
もっとも『RFBTRCA』は汎用機であるので、『3SIXTY.3』をはじめ外部音声入力の備わっているすべてのメインユニットorDSPでも使用可能だ。お使いのメインユニットにBluetoothレシーバーが搭載されていない、という方は、『RFBTRCA』を要チェック。
そして、リモートコントローラーも使用可能だ。『DSR1』専用モデルの用意はないが、パンチシリーズと一部のパワーシリーズのパワーアンプに使用可能なリモートコントローラー『PLC2』(税抜価格:4300円)が、『DSR1』でも使用できる。当リモートコントローラーはなかなかにリーズナブル。機能はシンプルだが、リモコンを併せて用意しても予算が大きく膨れ上がらないのは嬉しい限りだ。
いかがだったろうか。これならではのメリットを多々携え、さらには最新の使い心地が味わえ、しかも上級機並の機能を有した超小型DSP、『DSR1』。こんなDSPの登場を待っていた、という方は多いに違いない。ヒットの予感はかなり大きい。