各カーオーディオブランドは、フラッグシップシリーズに持てる技術と“こだわり”のすべてを注ぎ込む。ゆえに我々ユーザーは、各社の旗艦モデルの特長やその音を知ることで、それぞれのブランドの魅力や“思い”を推し量ることが可能となる…。
というわけで当週刊特集では、注目ブランドのフラッグシップ研究を行いながら、各社ごとの特色を浮き彫りにしようと試みている。その第3回目となる当回では、ドイツ発の実力ブランド、“グラウンドゼロ”にスポットを当てる。
パワーアンプの旗艦機は、超ド級なスーパーハイエンドモデル!
“グラウンドゼロ”は、製品展開が幅広くかつきめ細やかなブランドとして知られている。しかも、各製品がそれぞれ良好なコストパフォーマンスを発揮する。特にリーズナブルな製品のコスパの高さには定評があり、手頃な価格が実現されていながらも1ランク上の製品であるかのような使い心地が得られると評されることが、実に多い。
一方最上級ラインには、とことん贅が尽くされたド級モデルが多々投入されている。最高級のサウンドクオリティや最大級のパワーを得るために、一切の妥協なく製品開発が実行されているのだ。
具体的に見ていこう。まずはパワーアンプから。

(写真)グラウンドゼロ・Reference PUREシリーズ
パワーアンプの最上級ラインは2モデル展開となっている。1つが『GZPA Reference 2PURE』、もう1つが『GZPA Reference 4PURE』だ。その名前から分かるとおり、前者が2chモデルで後者が4chモデルだ。そして税抜価格はともに72万円。特に2chモデルの高額さが際立つ。
高額モデルだけのことはあり、各部の作り、パーツのチョイスが至って絢爛豪華だ。RCAコネクターにはロジウムメッキが施され、MCapキャパシターには“グラウンドゼロ”と“ムンドルフ”によって共同開発された特注品が使われている。さらには、“サンケン電気”製のハイエンドトランジスター、“ビシェイ・デール”製の無誘導巻線抵抗、“アルプス”製のゲインコントローラー等々、世界屈指の高級音響用パーツ類が厳選され用いられている。回路基板設計にも抜かりはなく、デュアルパワーサプライを採用したシンメトリー構造を採用する等、随所に“音質優先”の思想が注入され尽くされている。
解像度は図抜けて高く情報量はすこぶる豊富。楽曲を至って感動的に聴かせる!
実際その音には、“スーパーハイエンド”パワーアンプと呼ぶにふさわしいクオリティが確保されている。特に、2chモデルである『GZPA Reference 2PURE』の実力は凄いのひと言。解像度は図抜けて高く情報量はすこぶる豊富。リアリティの高さも最高レベルで、手を伸ばせば楽器やシンガーに触れられると思えるほどに生々しく再現してみせる。そして音楽性の高さも随一。楽曲を至って感動的に聴かせてくれる。

(写真)グラウンドゼロ・Reference PUREシリーズ
なお、“音質最優先”で作られているだけあってサイズはそれなりに大きい(ともに590×236×67.5mm)。つまり、価格的にもインストールスペース的にも、導入しようと考えるときには相応の覚悟が必要となるが、しかしそれを乗り越えてこれらを手にすると、それに見合ったこれだからこその高い満足感が味わえる。
なお当パワーアンプの音は、全国のカーオーディオ・プロショップで随時開催されている“スーパーハイエンド試聴会”で体験可能だ。もしもお近くで同試聴会が開かれるという情報が得られたら、ぜひとも会場まで足を運んでほしい。一聴の価値は大だ。
ところで“グラウンドゼロ”は、“SPL”競技に取り組むユーザーに向けたスペシャルアイテムも多々擁している。パワーアンプにおいては『GZCAシリーズ』がそれに当たるのだが、その中のトップエンドモデル『GZCA 35.0SPL-M1』(税抜価格:73万4000円)も、その方向性の製品中での旗艦機だ。当機の定格出力はなんと3万5000W(1Ω接続時)。すさまじいまでのハイパワーを誇っている。パワフルに低音を鳴らし切りたいという方々は、当シリーズにもご注目を。

(写真)グラウンドゼロ・GZPW Reference 250
また“グラウンドゼロ”は、サブウーファーにおいても“音質最優先”の『GZPW Reference 250』(税抜価格:29万円)、さらには“音圧性能”を徹底追求したハイグレードモデル、ならびに33インチというまさしく規格外の一品(税抜価格:130万円)まで、幅広くハイグレードモデルを展開させている。ナンバーワンであろうとする気概に満ちたブランドであることを、サブーウーファーラインナップからもひしひしと感じ取れる。
スピーカーにも、こだわり抜いた“スーパーハイエンド”モデルを投入!
続いては、スピーカーのフラッグシップモデルを紹介していこう。スピーカーのフラッグシップも名称は他と同様に『Reference』だ。なおスピーカーの『Referenceシリーズ』の各アイテムも、他のそれらと同様に受注発注品となっている。



(写真左)グラウンドゼロ・GZPT Reference 28EVO、(写真中)グラウンドゼロ・GZPM Reference 80、(写真右)グラウンドゼロ・GZMW Reference 180
ラインナップはツイーター、ミッドレンジ、ミッドウーファーの3モデルで構成され、それぞれ単品(ペア)で販売されている。コンポーネントキットはない。各製品の名称と価格は以下のとおりだ。ツイーターが『GZPT Reference 28EVO』(税抜価格:30万円)、ミッドレンジが『GZPM Reference 80』(税抜価格:26万円)、『GZMW Reference 180』(税抜価格:42万円)、以上だ。
これらはすべて、EU域内で熟練のクラフトマンによってハンドメイドされていて、各部の構造、材質にはこだわりが満載されている。ミッドウーファーでは、アルミニウムを削り出して作られたバスケットやミネラルコーティングされた“複合ペーパーコーン”等が使われ、ミッドレンジでは、振動板に高い剛性と軽量化を実現する“ダブルプレスペーパーコーン”等が採用されている。シリーズ中もっとも新しい製品であるツイーターには、高耐入力を誇る28mmサイズのアルミニウム/銅ボイスコイル、強力なデュアルネオジウムマグネット、手作業によって2層コーティングが施された振動板等々がおごられている。
スピーカーの『Referenceシリーズ』も、ディストリビューターの“イース・コーポレーション”によって『スーパーハイエンド』とカテゴライズされている。これらもサウンドコンペティターを中心に、音にこだわるハイエンドユーザーから高い支持を集めている。究極的なスピーカーを探している方は、当シリーズの各アイテムも候補の1つに入れるべきだ。要チェック。
今回はここまでとさせていただく。次週は、英国発の個性的なブランド、“ヴァイブオーディオ”のフラッグシップシリーズについての分析をお届けする。お楽しみに。