カーオーディオでは、低音再生のスペシャリストである「サブウーファー」が使われることが多い。当特集では、その理由から楽しみ方のいろいろまでを多角的に解説しようと試みている。今回は、これが使用されることが多いその理由を、詳細に説明していく。
◆「サブウーファー」の“サブ”には、2つの意味がある!?
前回は「低音強化」を行うことの楽しさを紹介したが、それに引き続いて当回では、それを行うべき理由を解説していく。
なお、「低音強化」を実行するにあたっては低音再生の専用スピーカーである「サブウーファー」を用いることとなる。なのでまず最初に、「サブウーファー」とは何なのかを改めて説明しておきたい。
ところで「サブウーファー」という名称は、“サブ”と“ウーファー”、この2つの単語で構成されている。で、“ウーファー”とは低音を再生するスピーカーユニットの名称だ。なおこの名称は、オオカミや大型犬、またはトラやライオンのうなり声が語源だ。
そして“サブ”という単語には、「下の」とか「副の」とか「輔助の」、さらには「控え」という意味がある。例えば「サブマリン」とか「サブウェイ」の“サブ”には「下の」という意味があり、また「サブタイトル」とか「サブリーダー」の“サブ”には、「副の」とか「輔助の」という意味がある。で、「サブウーファー」の“サブ”は、これら両方の意味を持つ。
つまり、ドアスピーカーが再生するよりもさらに“下の”音を再生するスピーカーであり、ドアスピーカーのサウンドを“輔助する”スピーカーでもあるのだ。
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◆ドアスピーカーは、低音再生能力の限界値が低い!?
では、「サブウーファー」がそれら2つの役割を担うこととなる理由を解説していこう。まず、ドアスピーカーが再生するよりも下の音を再生する」という役割を負うこととなる理由は、以下のとおりだ。
実は、クルマのドアに取り付けられるスピーカーにはサイズ的な限界がある。一般的には、大きくても17cmクラスまでしか取り付けられない。で、この大きさでは物理的に低音再生能力に限界が生じる。というのもスピーカーの振動板は小さくなればなるほど高音再生を得意とし、大きくなればなるほど低音再生を得意とするのだが、17cmクラスのスピーカーでは大きさが足らず人間の可聴帯域の下限である20Hz付近までの超低音までをスムーズに再生し難い。
さらには、ドア内部の音響的なコンディションもあまり良くないので、その意味でも十分な低音再生を行うには状況は不利だ。なお「デッドニング」を施すことで条件を好転させられるが、低音再生力を最大限引き延ばすのは至難のワザだ。
しかし「サブウーファー」なら振動板の口径が大きく相当に低い音まで再生可能だ。さらには、超低音をしっかり鳴らせるボックスに組み付けられる。結果、ドアスピーカーが再生する音より低い音をしっかり鳴らせるようになる。
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◆“ロードノイズ”が低音を聴こえにくくする。しかし「サブウーファー」を用いれば…
次いで「サブウーファー」がドアスピーカーのサウンドを輔助する役目も発揮することとなる、その理由を説明しよう。
その理由はシンプルだ。「ロードノイズが発生するから」だ。クルマは走行することでロードノイズを撒き散らす。タイヤが路面を蹴る際に、どうしても騒音を発してしまう。
なおロードノイズは主に、低周波(低音)で構成されている。そしてこの低周波が、ドアスピーカーから放たれる低音成分に覆い被さる(このことは「マスキング現象」と呼ばれている)。要は、低音を聴こえにくくしてしまうのだ。
しかし「サブウーファー」を投入すると、ロードノイズによって聴こえにくくなった低音を補える。このように「サブウーファー」は、ドアスピーカーの機能を輔助する役目も果たすのだ。
かくしてカーオーディオには超低音が聴こえにくくなる理由があり、しかし「サブウーファー」を用いればそれらへの対処が可能となる。結果、サウンドがより自然に響くようになり、さらにはサウンドに活力を与えられる。得られるメリットは、かなり大きい。
今回は以上だ。次回以降も「低音強化」の魅力について解説していく。お楽しみに。