カーオーディオ愛好家に広く愛されている、または羨望の眼差しを向けられている“名機”を毎回1つずつ取り上げ、それらの“名機”たるゆえんを解説している当連載。今回は、イタリア発のHi-Fiブランド、「クワトロリゴ」の旗艦パワーアンプに焦点を当てる。
◆新旧のブランド名を並記し「シンフォニ/クワトロリゴ」として認知を拡大!
ところで「クワトロリゴ」は日本に紹介された当初、ブランド名を「シンフォニ」としていた。しかし数年前に販売的な世界戦略が強化され、それに伴い名称を「クワトロリゴ」へと変更。しかし日本国内においては「シンフォニ」の名称が浸透し始めた頃だったため、以降、新旧のブランド名が併記されてきた。しかし今では「クワトロリゴ」の名称も、十分な認知を獲得している。
さて「クワトロリゴ」は、社史の長さでいうと中堅的なブランドだ。設立は1997年。本拠はイタリアの中部、マチェラタに置いている。
なお当ブランドは、ハイグレードな製品を多く有する高級ブランドという印象が濃い。実際、ラインナップのすべてが超高級モデルではないものの、エントリー機は持っていない。
ちなみに日本国内においては、ここ3、4年の間で特に支持率を伸ばした。パワーアンプのセカンドラインとなる『テンポシリーズ』が刷新され、それが好評を博して人気に火が付いた。熱心な愛好家が集まるサウンドコンテストの会場でも、同社のパワーアンプを積んだ車両を見かける機会が増えている。
そんな「クワトロリゴ」は基本的に、カーオーディオの専業ブランドだ。しかも、パワーアンプにて特に強みを発揮する。スピーカーも数ライン擁しいずれも高評価を得ているものの、パワーアンプブランドというイメージの方が強めだ。
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◆旗艦機『デシデリオ』の税抜価格はなんと、200万円!
そのイメージをけん引しているのが、フラッグシップラインの『ラ プリマシリーズ』だ。なお当シリーズは3モデルで構成される。その顔ぶれは以下のとおりだ。まず、トップエンドモデルとして『デシデリオ』がある。で、当機の税抜価格はなんと、200万円。しかも当機は2chモデルなので、当機にてフロント2ウェイスピーカーをマルチドライブさせたいと思ったら2台が必要となり、パワーアンプだけで400万円の予算を要する。
そしてこれに続くのが『プロデジオ』だ。当機も2chモデルで税抜価格は100万円だ。こちらも十二分にスーパーハイエンドパワーアンプと言って良い。そしてもう1機種が、『プレステジオ』だ。こちらも2chパワーアンプでその税抜価格は60万円となっている。
ちなみに「クワトロリゴ」のパワーアンプのラインナップにはA級の動作方式が採用されたモデルも多いが、『ラ プリマシリーズ』においても『プレステジオ』にてA級の動作方式が採用されている。というわけでトップエンド機『デシデリオ』はAB級なのだが、スペック表をみると待機電流はA級の『プレステジオ』と同様の6Aと多めだ。つまり当機は、AB級のパワーアンプにしては多くの電力を必要とする。そこもまた、高音質を発揮するポイントの1つとなっている。潤沢に電気を使い、音楽新号を高品位に増幅するというわけだ。
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◆高出力を発揮し余裕を持って、かくも丁寧にサウンドを紡ぎ出す…
なお『デシデリオ』は、定格出力も325W×2chと図抜けて大きい。結果、余裕を持って音楽再生を行える。また当機は、見た目においても同シリーズの他モデルとは一線を画している。ヒートシンクの装備枚数が倍増されているのだ。そもそも発熱量も他と比べて多いのだろうが、徹底的に放熱することでも高性能をサポートしている。
ところで、これほどのハイグレードパワーアンプを惜しげもなく4台も搭載しているオーディオカーが存在している。青森県のイングラフが製作を担当した「BMW・X6」がそれだ。で、当車は9月24日と25日に静岡県掛川市にて開催された「第7回 ハイエンドカーオーディオコンテスト」にエントリーし、ひときわ注目を集めた。
筆者もその音を聴くことができた。コクピットに乗り込み、一聴してまず感じたのは、1音1音が至って丁寧に紡ぎ出されていることだった。優秀なオーディオシステムを搭載したクルマではS/Nや解像度といった性能的な部分に注意がいくよりも先に音楽性の高さに唸らされるが、当車もまさしくそうで、楽曲の世界に引き込む力がすこぶる強い。『デシデリオ』が並のパワーアンプではないことを、つくづく思い知らされた。
今回は以上だ。次回以降も“名機”を続々と紹介していく。乞うご期待。