「ドライブと音楽はセット」、そう考えているドライバーは多いはずだ。その音楽をより良い音で楽しむためには、カーオーディオ機材のブラッシュアップが必要となる。今回からスタートする当連載では、それを実行しようとするときに役に立つ情報を全方位的に発信していく。
まずは、スピーカーにフォーカスする。音を良くしたいと思ったときの有効な作戦はさまざまあるが、もっともスタンダードなアプローチはズバリ、「スピーカー交換」だ。
ところで実は、市販カースピーカーはピンからキリまでさまざまある。価格差がとても幅広い。ちなみに工業製品の中には、案外そうでもないものもある。例えばテレビは、画面サイズによって価格差が大きく開くが、同一の画面サイズであれば各社の製品を比較したとき価格差はそれほど大きくは開かない。
一方カー用のスピーカーは、例えば同じ17cm口径のモデルの場合廉価なものなら1万円台からあり、高級機ともなると100万円を超えるものもある。
ここまでの価格差が開く理由はズバリ、「構造がシンプルだから」だ。スピーカーは発明されてからもう100年ほどが経過しているが、基本的な仕組みは発明当時のままだ。磁気回路に電流が流れるとフレミングの左手の法則に従って動力が生まれ、その動力により振動板が動き空気を震わせて音を伝える。
で、このようにシンプルな仕組みの工業製品は得てして、部材の質を上げれば上げるほど、そして精巧さにこだわればこだわるほど性能が上がっていく。例えば振動板は、リーズナブルな製品では手に入りやすい素材が使われることになるが、究極的に質にこだわろうとすると例えばツイーターの震動板にはダイヤモンドのような希少素材が使われたりする。そしてそれは廉価な素材とは別次元の性能を発揮する。つまり、コスト(物量と手間)が性能に直結するのだ。
ちなみに車体メーカーが用意する純正スピーカーは、かなりチープに仕上げられている。車体メーカーにとって、そこはコストを注ぐポイントではないからだ。なので、合理的に作られている。結果、質もそれなりだ。
しかし市販品は、例え最廉価なモデルでもしっかりコストが注がれている。ゆえに交換すれば相応に音が良くなる。ならば換えない手はないと思うのだが、いかがだろうか。
そして問題は何を選ぶかだが、その答は次回以降に順を追って説明していく。お楽しみに。