オーディオコンペで勝つことが目標となった宇山さんのホンダ『ヴェゼル』。同時にコクピットまわりのインストールデザインは派手さを抑えた自然な仕上がりを求めた。鳥取県のウェイブトゥポートがサウンド&デザインの両面でハイクオリティな一台を作り上げた。
◆ドアのアウターバッフルは完成度も高く
サウンドとデザインを両立させることに成功
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カロッツェリアXのユニット群を基本としたシステムを発展させてきた宇山さん。フロント3ウェイ+サブウーファーのスピーカー群としてカロッツェリアのRSスピーカー用いてサウンドを統一している。
フロントステージは2ウェイシステムであるTS-Z1000RSとミッドレンジであるTS-S1000RSを組み合わせて3ウェイを構築する。TS-Z1000RSのミッドバスユニットは、ドアにアウターバッフルで取り付けられている。TS-Z1000RSのミッドバスには象徴的なプロテクションが備えられているが、それを生かしたデザインでシンプルだが美しく実用的なフィニッシュとしている。
さらにドアパネルの造形もかなり精度が高く、ワンオフ部分と純正との境界が判別できないほどの滑らかなラインで構成されているのも見どころとなった。ドアのプレスラインにフィットするようにバッフル面を作ったデザインがシャープで硬質なイメージを放つ。
◆フロント3ウェイに加えてリアドアに
ミッドベースを設置して低域の充実を図る
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TS-Z1000RSのツイーターとミッドレンジであるTS-S1000RSはAピラーへのビルトイン取り付けと、ドア上部に取り付けパネルをワンオフして取り付けられている。ヴェゼルのAピラーまわりを極力シンプルに仕上げつつ、ツイーターとミッドレンジを近接してレイアウトするためには、ミッドレンジのドア上部への取り付けはかなり効果的な手法。しかしもともと取り付け面を持たないドア上部なのでスピーカーを設置する面を作るのが高度なインストール術となる。ドアに沿うような滑らかな形状のパネルを設計し、ドアを閉じるとAピラーのツイーターと絶妙の位置関係を築くように計画された。
一方、このクルマのスピーカーシステムでもうひとつの注目点となるのがリアスピーカーだ。後席ドアにアウターバッフルで取り付けられてるのはブラックスのML-8MID(20cmミッドバス)。このスピーカー設置でオーナーが狙ったのはフロント3ウェイの低域を保管する役目だった。低音の量感をアップして豊かなサウンドをさらに高めるために、今回の取材の直前に追加。フロント3ウェイとサブウーファーとの間の周波数帯域を受け持ち、中高域と低域とのつながりの良さを引き出すのも魅力。見かけることが少ないリアドアへのミッドベースの追加で音の完成度を高めている。
◆オーディオ用PCを用いることで
再生の汎用性や高音質を手に入れる
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宇山さんが選んだメインのオーディオプレイヤーとしてはオーディオ用PCであるオリオスペックのカナリーノ12V。コントローラーとして用いるのはiPadだ。PCの操作と同じく曲やフォルダなどを表示できるのでセレクトの汎用性も高く、大量のデータを扱えるのも大きな魅力となっている。そもそも、宇山さんは“音の良さ”を評価してカナリーノ12Vをチョイスしているので、音質&操作性を兼ね備えた現在のシステムは満足度も高い。
一方、DSPにはブラックスDSPをチョイス。操作部/表示部であるダイレクターをセンタークラスターの下部に取り付けて、メインのボリュームコントロールやメモリー切り替えなどもスマートに操作できるようにしたのもこだわり。周辺パネルまでをデザインした取り付けスタイルも美しく車内にマッチしている。
コンペで勝つためのクルマ作りを追求してきた宇山さんのヴェゼル。5台のパワーアンプやリアドアへのミッドベースの取り付けなど、重厚なシステムを構築して狙い通りのサウンドを引き出した。着実に完成度を高め、自分好みでなおかつコンペでも評価されるサウンドを作り上げた。一定の完成形を見た現在の姿だが、音の完成度を極め続ける宇山さんには次なるシステムアップが見えているようだ。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。