創立50年を機に「Tune the Next」をテーマにクルマ社会の持続に向けて、カスタマイズと環境の両立を目指しているHKS。 東京オートサロン2025では、ブース設営に使用する機材の約9割がリユース、またはリサイクル可能な材料を使用し、環境配慮の表し方の1つとして、サステナブルな取り組みを表した。
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代表取締役社長 水口 大輔氏のメッセージとして「50年目から“Tune the Next”をテーマに据えて、この先に向けて、次世代に向けてのチューニングを提案していきます。52年目のHKSの取り組みをご覧ください」とのこと。最先端チューニングシーンを、トップランナーとして牽引しつづけるHKS。早速順番にオートサロン2025の見どころを解説していく。
人気のFL5タイプR、全方位隙なしのトータルコーデを実施「CIVIC FL400R」
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HKSが鋭意パーツを開発してきたのが、ホンダ『シビックタイプR』(FL5)。HKSではこのクルマのトータルコーディネートを目指してパーツを開発中。エンジン、足まわり、ボディなど総合的なバランスのとれたパーツ作りを目指している。
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まず開発中のボディキットタイプS。こちらはフロントバンパー、スポイラーサイドスカート、リア、バンパー、スポイラー、リアウイングなどを設定3D CADモデリングされたスタイリッシュなフォルムを実現。走行安定性能の向上を図る。
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タービンは既に販売中の「GT4845スポーツタービンキット」をラインアップ。燃料系アップグレード不要で使用できるサイズ設計としていて、ブーストアップで実現できない高回転の伸びと、一次排圧の低減でエンジン負荷の軽減を実現した。
パワーはノーマルの330psに対して、384psを実現している。特に4000回転以降の伸びが良くなっているので、高回転域の気持ち良さを体感することができる仕様だ。
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また、このGT4845タービン用のマスタリーECUフェイズ3も発売。こちらはGT4845タービンキット専用のデータで、各種マップを最適化することでタービン性能をフルに発揮させる。最高出力がプラス54ps、最大トルクはプラス1.5kgmと大幅にパワーアップしている。
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インタークーラーキットはコア面積が標準に対して22.4%アップ、冷却効率を22%向上させている。さらにインタークーラーパイピングキットは、純正よりもスムーズな取り回しとすることで抵抗を低減。
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さらに純正ホース部分をアルミ製パイプに置き換えることで、膨張を抑制し、吸気管内のホース膨張による圧力損失を抑えてくれる。サスペンションは「HIPEMAX S」(フロントピロ仕様)「HIPERMAX R」をラインアップ。室内では開発中のカーボンシフトノブを装着し、レーシーな雰囲気をストリートで感じることができる。
GRヤリスもまだまだ進化!Gen2を更に魅力的にするトータルチューニング「GR YARIS RZ350S」
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トヨタ『GRヤリス』も、トータルコーディネートを念頭にパーツを開発中。このデモカーは後期型(Gen2)で、パワーエディターでのブーストップを中心に吸排気系チューンを行い、走る楽しさをアップした。ハイブーストを生かす冷却系チューニングを行い、安心してハイパワーを楽しめるようにしている。足まわりはHIPERMAX S。組み合わせるボディキットはTYPE Sを装着。性能に裏打ちされたこだわりのパーツを身にまとったチューニングカーとして仕上げている。
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G16Eエンジンチューニングでは、現在カムシャフトとバルブスプリングを開発中。カムシャフトは純正の吸気バルブリフト11.0mm、排気バルブリフト11.5mmに対してHKSではどちらも11.7mmに設定。開度は純正が吸気側240°/排気側が250°のところ、吸気側264°/272°/280°とした。排気側は272°/280°/288°を設定する想定としている。
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注目はG16E 1.75Lのショートブロックキットだ。まずピストン形状は「トリプルタンブル」冠面形状を採用した削り出しとなっている。こちらはRB26アドバンストヘリテージにも採用しているプレチャンバ機構から生まれた形状で、ピストントップを盛り上がるようにすることでタンブル流をトリプルで起こし、燃焼効率を改善。ノッキングが起きにくくしている、それによって圧縮比を高くできることで大きなパワーが取り出せる。
またスーパークーリングプロガスケットの使用を前提に2番シリンダー冷却用水路を追加。エンジン全体をバランスよく冷やすことでエンジンのバランスを改善。ノック限界を上げようという狙いである。またクローズドデッキ加工を行いブロックを強化。クランクシャフトはHKS削り出しのフルカウンター専用品で、耐久性の高いメイン&コンロットベアリングを採用。1,746ccでハイパワーに耐えるエンジンを提案する。
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さらにGen2向けにコールドエアインテークも開発中。オートクレーブ製法によって生産されたドライカーボン製で、圧倒的な軽さと強度を持つエアクリーナーボックスは、その軽さと効率の良さもさることながら、エンジンルームに彩りを加えてくれる。
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加えてボディキットタイプSの後期型用も現在開発中で、こちらはフロントバンパースポイラーサイドスカートリアバンパースポイラーリアウィングが登場する予定だ。
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市場価値はもはや1億クラス?!「SKYLINE GT-R BNR34 DIMENSION:Z」
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HKSの車両販売事業「THE HKS」のフラッグシップモデルの一角となるBNR34の「Dimension Z」モデル。「THE HKS」 は、トータルでチューニングしたコンプリートカーの販売事業であるが、コンプリートカーの販売を目指すのではなく、 ユーザーカーをトータルで仕上げることをコンセプトとしている。ユーザーと1台のチューニングカーを作っていくというスタンスだ。
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今回お披露目されたBNR34では2ピースピストンを使ったRB26改3.0Lコンプリートエンジンを採用。そこに大容量タービンのGT7095_BBを組み合わせてハイパワー化。約900馬力の出力を発揮している。
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そのパワーに似合うようにクルマ全体を仕上げていくのが「THE HKS」のコンセプト。そこでエアロパーツはオリジナルでフロントに大きなリップを装着。リアにはチューニングパーツとしては業界初となるDRSを備えたGTウイングを装着。
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他にも手を入れる部分は多岐に渡るが、オリジナルのインテーク、エキゾースト、冷却系、エンジン制御はF-CON V Pro3.4。サスペンションはHIPERMAX R。タイヤはADVAN A052 275/35R19。ホイールはADVAN Racing GT BEYOND 19インチ×10.5J 24。ブレーキはENDLESS「MONO6TA/MONO4rTA」を装着する。
車両代別で7,000~8,000万円ほどという凄まじいプライスにはなるが「Dimension Z」のテーマは未知なる境地の想像。世界がまだ知らない、作り手さえも想像し得ない、未知なる走りの境地を切り拓く1台がテーマなだけに、まさに誰も知り得ない境地に達した仕上がりとなる。
究極な完成形のエンジン「RB26 ADVANCED HERITAGE」
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こちらはRB26DETTエンジンで600ps、燃費は20km/Lを目標に開発されているもの。その計画の進捗状況について発表があった。まずRB26を高効率化するために高圧縮比シリンダーヘッドを開発。ピストンを燃焼室側に吐出する構造にするザグリ加工を追加。またプラグセンターにはプレチャンバ装置を装着することで、副室ジェット方向を制御可能な構造へ変更。さらに高圧縮比ピストンを使うことで燃焼室形状を改善した。
それらの概要によって圧縮比は17を実現。プラグにキャップがついたプレチャンバによって急速燃焼させることで少ない燃料で燃焼室内で効率的に燃やすことができるようになった。WOT最大熱効率は標準の25.5%から37.9%まで約1.5倍に向上。さらに燃費はノーマルの7.5km/Lから12.2km/Lまでノーマルベースで162%を実現している。まだ目標には届いていないが、確実に次世代のチューニングが行われ、エンジンチューンが進化している。
既存ユーザーも嬉しいリユースパーツ「RB26用シリンダーライナー」
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RB26は純正シリンダーの交換部品の供給が追いつかず、市場で枯渇状態になっている。そのあまりの納期の長さに受注停止状態。しかし多くのRB26ユーザーがいて、エンジンオーバーホールやチューニングを行いたいがシリンダーが手に入らないことが問題になっていた。
すでにシリンダーのボーリングを行っている場合に、それ以上ボーリングができず、シリンダーの再利用ができないという問題が起きていた。そこでHKSではもともと入っていないRB26に打ち込むシリンダーライナーを開発中。純正シリンダーよりも強度アップし、より高出力での使用を可能にする。またフリクションを低減するために鏡面仕上げが可能な材質または表面処理を開発中。
さらにシリンダー強度を向上し、シリンダーの変形量を抑えることで、デッキ面に発生する応力を低減し、クラックの発生を抑制する。シリンダーの肉圧を確保するためにφ86.5mmのピストンのラインナップの充実を図る。
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このようにRB26用シリンダーライナーの開発を進めていて、これが完成すればエンジンブローしたシリンダーや、すでにボーリング済みで再使用できないと言われたシリンダーをベースに、再度ボーリングしてライナーを打つことで再使用できるようになる。それも1つのサステナブルな活動であると開発を進めてきた。
現在テスト中で1,300psのドラッグレース車両でも使用。その結果、シリンダーのクラックの発生をしなかったが、変形量が想定よりも大きく、さらなる改善を施しているところ。今後の進捗に期待したい。
いよいよハイブリッドハイエースが本格始動「e-HIACE」
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昨年のオートサロンで発表したe-HIACE。HKSで独自にPHEV化した「ハイエース」だ。既存のエンジンで発電し、その電力を使ってモーターで走る。そのエンジンの燃料は、水素などのCNFを使っていくという。こうすることでEV化すると推定150kmほどしか走れないが、現在の想定ではその3倍の約450kmの走行が可能になるという想定。水口社長によると、進捗状況は現在モーターやインバーターなどすべて揃っていて、今年中には実際に走り出せる予定でいるという。
自動車の産業革命にもなる夢の燃料!「CNR FUEL」
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HKS CNR FUEL(Carbon Neutral Racing Fuel)は持続可能なエネルギー源を活用した次世代のレース燃料。従来の燃料に匹敵する高いエネルギー密度とパワーを提供する。Bio-E85 Plusはバイオエタノール85%を配合。このバイオエタノールは植物などから作られている。Bio-E100はバイオエタノール100%。
そして、Bio-E100+H2Oはこのバイオエタノールに水を加えたもの。 バイオエタノールは、アルコールなどで水との親和性が高く混ざりやすい。このバイオエタノールに水を混ぜて使うことで気化潜熱によって燃焼室内の冷却効果を発揮。水はガソリンの5倍以上、熱を吸収する効果があり、ノッキング抑制に有効であることが確認されている。
HKSxDefiのコラボ、今後も様々な取組みを発表するのでお楽しみに
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追加メーターでおなじみのDefiとHKSのコラボレーションが発表。その第一弾が「F-CON V Pro Ver.3.4」と「DSDF」とのリンクとなった。Defiは純正メーターの開発製造などを行っている日本精機株式会社の追加メーター部門。その日本精機とHKSの社長同士の会話から始まったというコラボレーションで、Defiの人気マルチメーターであるDSDFにF-CON V Proのデータが表示できるようになるという。今後もさまざまな場面で協業することを両社で確認し、メーターだけではない新たな取組も準備発表されていくという。
ICE(内燃機関)の可能性を貪欲に追求しながらも、環境問題への対応やCN(カーボンニュートラル)へも積極的な展開を見せるHKS。まさに未来のチューニングである“TUNE the NEXT”をその言葉通り体現している。開発中の製品もあるが、多くは市販化を前提に開発が進められているパーツが盛り沢山。HKSのチューニングパーツの展開に、ますます目が離せなくなること間違いなしだ。
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