もともとはアクセルペダルを踏むとワイヤーがスロットルバタフライを引っ張り上げ、エンジンに空気が吸い込まれる。その吸い込まれていく途中でキャブレターを通り、そこで負圧でガソリンを吸い出して混合気となり、それが燃焼室に入る。
そこにスパークプラブが点火して爆発が起き、クルマは加速していく。これがキャブレター時代のクルマの動く仕組み。現在ではそれらをすべてコンピュータで管理している。
◆エンジンを制御しているECUに変更を加えることでクルマの性格が変わる!
エンジンを制御しているENGINE CONTROL UNIT。いわゆるECUと呼ばれるもので、ここでは上記のようなアナログなものではない。
ドライバーがペダルを踏むと、どれだけ踏んだかを信号で受信して、ドライバーが欲しがっている加速量に合わせて電子制御スロットルを開いて、エンジンに空気を流し込む。燃焼室の手前ではインジェクターがECUからの信号に合わせた量のガソリンを噴射して、燃焼室内ではECUからの指示でスパークプラグが点火する。直噴エンジンであれば、燃焼室内にあるインジェクターから直接燃料が噴射され、そこに点火している。
ECUではそのガソリンの量やタイミング、点火タイミングなどをプログラム上で管理している。このプログラムをいじることでさらにパワーを出そうというのがECUチューンだ。メーカー出荷時のクルマのECUはある程度制限が掛けられていることが多い。それは燃費の規制だったり、加速騒音の規制だったりと、それらに適合させるために意図的にパワーが絞られていることがある。そういった部分を最適化することで、エンジンが本来持っているポテンシャルを引き出して上げるというのがECUチューンの意味合いである。
キャブレター時代はガソリンを濃い目にセッティングしてあって、それを薄くしていくことでよりパワーが出せる。しかし、空燃比が薄くなることで燃焼室の温度も上昇し、エンジンブローとは紙一重と思われていることもあった。だが、現在のECUチューンはエンジン本来のパワーを引き出すという意味合いが強く、ECUチューンをしたからといってエンジンの寿命が極端に短くなるようなことはない。
そこで選択肢として出てくるのが「ツルシ」と「現車合わせ」と言われるもの。「ツルシ」とはお店で吊るして売っているものから来た言葉。ひと昔前はECU書き換え済みのECU本体が売られていて、愛車のECUを外してそれを取り付けることでパワーアップすることができた。現在はそのクルマのECUはそのクルマでしか使えないようになっているので、ECUを外して送り、そこにECUチューニングデータをインストールしてもらうか、愛車にチューナーが接続して内部データを書き換えることを指す。
◆クルマに合わせたセッティングを詳細に詰めていく『現車合わせ』の効果とは
その先にあるチューニングが「現車合わせ」と呼ばれるもの。こちらは実際にそのクルマに合わせてECUデータを調整しながらチューニングすることを指す。
具体的にはシャシダイナモメーターと呼ばれる装置にクルマをセット。実走に近い条件で走らせて、そのときの空燃比を計測し、パワーやトルクも計測。そこで内部データを書き換えながらさらなるパワーが出るように調整していく。
現車合わせのメリットはズバリ、パワーやトルクをもっと引き出せること。ツルシデータは汎用性のあるデータで、個々のクルマの個体差には合わせきれていない。また、使っているマフラーやエアクリーナーなどもおおよそそれらに合わせこんでいるが、完璧に詰めているわけではない。現車合わせではそれらも追い込むことができるので、よりパワーやトルクが出しやすい。
その代わり手間も時間も掛かるためツルシデータのインストールの1.5倍くらいの費用が掛かることが多い。だが、自分のクルマに合わせ込んだデータだけにその満足度が高いもの。そのため吸排気系チューニングなどを終えてから、最後の仕上げとして現車合わせでパワーとトルクを引き出すのが望ましい。