今週からは、『FLUX』の試聴インプレッションをお送りしていきたい。今週はセカンドグレードの「マエストロ・コンペティション・シリーズ」、次週以降はトップグレードの「リファレンス・シリーズ」を取り上げる。
まずは定価を確認しておこう。「マエストロ・コンペティション」の3ウェイコンポーネント、MC361COMPが19万9500円、2ウェイコンポーネントのMC261COMPが13万1250円。
単品ユニット(すべて2個1組み)の価格もお伝えしておきたい。ツイーター・HT25MCが5万9850円、ミッドレンジ・M80MCが6万3000円、3ウェイ用のミッドベース・T160MC3と2ウェイ用ミッドベース・T160MC2が6万6150円、3ウェイ用パッシブネットワーク・XMC361が8万4000円。
興味深いのは、パッシブネットワークがもっとも値段が高い、というところ。個々のパーツが上質で、作りも細かく美しい。バイアンプにも対応し、さらには各種レベル調整などもネットワークとしては細かく設定できるようになっている。このネットワークを見ただけでも、『FLUX』が音にこだわりを持つHi-Fiブランドあることが容易に理解できる。試聴に対する期待感も膨らむ。
まずは3ウェイから試聴してみた。第一印象は、低域の豊潤さ。たっぷりとしていて、深みがある。全体的には温かみがある音、という印象。ボーカルに注力して聴いても同印象。深みと温かみ、これが『FLUX』のキーワードだろう。それでいて高域のハギレ感も良いバランスだ。けっして柔らかいだけではない。
次に、ミッドベースを2ウェイ用のものに変えて聴いてみた。この組み合わせは、単品でそろえたときのみに実現される組み合わせだ。2ウェイ用と3ウェイ用で見た目の大きな違いは、センターがフェイズプラグかセンターキャプか、というところ。
音も確かに変わった。2ウェイ用のミッドベースは担当帯域が広くなることが想定されているからか、低域をたっぷりと出す方向性というより、しまった音になっている印象。どちらがいいかは好みの問題だが、タイトに鳴らしたいなら、これもアリだ。しかし、全体的な量感に関しては、3ウェイ用のミッドベースに分がある印象だ。
そして、2ウェイコンポーネント。まとまりの良い音になった。深みは減った印象だがその分、ハギレがよくなりスッキリ感も出た。ボーカルに関しては、2ウェイのほうが前に出ている感じは強まったように感じる。
よりパワーのあるアンプで、そしてより入念にインストールを煮詰めて、上級サウンドを追求しようとするなら3ウェイが面白そうだが、もろもろ気楽に楽しみたいというなら2ウェイを選択したほうが良いかもしれない。J-POPも2ウェイのほうが楽しく聴けた。低域のドライブ感もありながら、全体的にシャープだ。
『FLUX』。温かく深く、そして切れもある。優しいだけでも、キレイなだけでもない。また1つ、新しい個性がHi-Fiシーンに登場した。スピーカー選びをさらに楽しくさせてくれる、魅力的なブランドであることは間違いなさそうだ。
次週以降のトップグレードモデルのインプレッションにも期待してほしい。