アメリカンカーオーディオブランドの雄、「JLオーディオ」の最新フラッグシップユニットを搭載したニューデモカー「ダッジ・チャレンジャー」。そのシステム内容とサウンドを、じっくりとチェックする機会が得られた。果たしてそのポテンシャルやいかに…。
搭載スピーカーはフラッグシップ『C7シリーズ』の2ウェイ。
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この「ダッジ・チャレンジャー」は、「JLオーディオ」をディストリビュートしているイース・コーポレーションによって製作されたものだ。デビューは4月10日、11日の両日に同社が開催した『イースセミナー & ショー2018』。ショー会場ではひときわ存在感を放ち、来場者の視線と話題を一身に集めた。
では早速、搭載システムの全容を紹介していこう。ソースユニットは2種が接続されている。1つが純正オーディオ、もう1つがハイレゾ音源対応デジタルオーディオプレーヤー(DAP)、「COWON」の『PLENUE M2』だ。そして、フロントスピーカーは、この春待望の日本上陸が果たされたばかりの新フラッグシップ、『C7シリーズ』の2ウェイで構成されている。ツィーターが『C7-100ct』(税抜価格;4万4000円/1個)、ミッドウーファーが『C7-650cw』(税抜価格;9万9000円/1個)という布陣だ。
なお、『C7シリーズ』はマルチアンプシステムを想定して設計されているため、パッシブクロスオーバーネットワークは用意されていない。もう1機種、ミッドレンジ『C7-350cm』(税抜価格;7万7000円/1個)があり、この計3アイテムでシリーズが形成されている。
この構成を見て、「3ウェイを組むのが定石」と思っている方も少なくないかもしれないが、ブランドとしては「3ウェイ前提」で開発されているわけではない。それもあってこの「ダッジ・チャレンジャー」では、敢えて“2ウェイ”が選択された。『C7シリーズ』が“2ウェイ”でも十二分にその世界観を表現しきれることを示すべく、サウンドが組み立てられている。
サブウーファーにもトップエンド機がおごられた。使われているのは『10W7AE-3』(税抜価格:14万7000円)。最上級『W7シリーズ』のひと品だ。
搭載パワーアンプは新旗艦機『VXiシリーズ』。なんと、高性能なDSPも内蔵!
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そして、ハイライトはパワーアンプだ。搭載されているのは、この春にイース・コーポレーショから発行された最新カタログにも掲載が間に合わなかったほどの、超最新作。
その名は、『VX1000/5i』(税抜価格:30万円)。「JLオーディオ」の新たなフラッグシップパワーアンプ『VXiシリーズ』に属する1台だ。なお、インストールされているパワーアンプは当機1台のみ。なんとこれだけで、サブウーファーも含むすべてのスピーカーがマルチ駆動されている。サイズは287×168×54(mm)。この大きさで定格75W×4ch+400W×1ch(4Ω)が担保されている。
ところでこの『VXiシリーズ』は、単なるパワーアンプではない。実は、高性能なDSPも内蔵している。
つまりは“パワーアンプ内蔵DSP”、と捉えたくなるところだが、当機はあくまでも“DSP内蔵パワーアンプ”と呼ぶべきアイテムだ。というのも当機はあくまでもパワーアンプの新たなフラッグシップとして開発されたものだからだ。そして、フラッグシップたる特長の1つとして、高性能なDSPも搭載された、と理解すべき製品なのである。
ちなみに、DSPには他にはないスペシャルな機能がいくつか盛り込まれている。後日製品紹介記事を改めて掲載する予定なので、機能についての詳細はその中で解説していく。
デッドニングには新ブランド「ドクターアルテックス」の気鋭部材を多々投入!
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ところでこの「ダッジ・チャレンジャー」には、もう1つトピックが盛り込まれている。それは、新たなアコースティックマテリアルブランド「ドクターアルテックス」のアイテムが、デッドニング作業に使用されていること。
ドア内部には『マントル』と『アーマー』という2種類の制振材が使われている。『マントル』は、自己粘着性接着層、次世代合成プチルポリマー層、強化アルミ層の3層構造となっていて、『アーマー』は、自己粘着性接着剤、合成素材、アルミ素材からなる複合層とアルミ素材のもう1つの複合層とのサンドイッチ構造となる高機能素材。
そしてドアの内張り内にも同社の“断熱 & 遮音 & 吸音シート”、『バッフル』が使われている。こちらは、表面に保護フィルム層を備えた独立気泡構造の合成ポリエチレンフォームからできている。厚みが2タイプあり、4mmモデルの『バッフル04』、8mmモデルの『バッフル08』とが使われている。
「ドクターアルテックス」は後発ブランドだけに、だからこそ既存製品に足りないものを作り出すことが目指され製品開発がなされている。当ブランドもこの先、各所で話題になるはずだ。「ドクターアルテックス」という名前も、この機会にぜひとも記憶にとどめておいていただきたい。
2ウェイでありながら情報量は至って豊富。結果、ステージを立体的に再現。
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さて、いよいよサウンドインプレッションをお届けしていこう。まずは純正オーディオのメディアプレーヤーを使って、iPhone内のWAVファイルの音を確認した。
音が車内に満たされた瞬間にまず感じたのは、サウンドステージの立体感。ダッシュボードが深いことによる視覚効果の影響もゼロではないのだろうが、ツィーターの取り付け位置よりもさらに深いところにステージの最後方部があり、ボーカルは手前中央にくっきりと浮かんでいる。遠くにある楽器は美しい響きを伴って存在し、近くにある楽器の音は輪郭が至ってシャープ。遠近感の表現の秀逸さに、まずは唸らされた。2ウェイ構成でありながらも情報量が豊富である証だろう。
また、低音の鳴りっぷりの良さも印象的だった。太く重い低音が全体をがっちりと下支えしている。それに影響され中高音も分厚い。充実感の高い、密度の濃いサウンドが楽しめた。
続いては、DAPに収録した同一楽曲(こちらもWAVファイル)の音を確認した。DAPと『VX1000/5i』とは、オプティカルデジタルケーブルでダイレクト接続してある。
ソースユニットを換えて試聴すると、サウンドレベルが一層向上。クリアさが一気に上昇。
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同一システムでありながら、全体のグレードが1つ上がったかのような変化が感じられた。クリア感が相当に向上している。ソースユニットのポテンシャルの高さを、あからさまに示しきった。
そして、音の出所のシャープさも良化している。立体感の表現力には大きな違いはなかったのだが、フォーカスが一層締まっている。各楽器の音が一切混濁することなく、粒立ちも上々だ。
音色傾向はさすがは「JLオーディオ」。至って正確でリアル。原音を真面目に忠実に再現している。だからといって決して淡泊ではない。音数が多いので聴き応えがあり、味わいも深い。しかしながら余計な装飾は排除し、あくまでもHi-Fiに徹している。
最後にハイレゾ音源も、iPhone(純正オーディオ)とDAPで聴き比べたが、DAPで聴くときのハイレゾ音源には鳥肌が立った。臨場感が高く、空気感がリアル。声にもさらに生命力が宿り、迫力に満ちたサウンドが堪能できた。
車格の印象からマッシブなサウンドが聴けるのではとも思っていたが、土台がしっかりしていることに関してはイメージどおり、しかし全体的にはどこまでも繊細で緻密だった。新たなフラッグシップシステムのポテンシャルの高さを、しみじみと感じ取ることができた。
同デモカーは今後、さまざまなイベント会場に登場することが予定されている。なお、内外装ともにさらに手が入れられる予定もあるとのこと。ルックス面では今後より成長していくようだ。
どこかでこのクルマを目にしたなら、聴き逃しは厳禁だ。最新最高の「JLサウンド」を、その耳で体験すベシ。