「カーオーディオを楽しむにはコストがかかる」、そうイメージするドライバーは少なくないに違いない。確かに多くの資金が必要となるケースもあるが、手軽に楽しむ方法もさまざまある。当特集ではそれらを順に紹介している。今回は「DAP」に焦点を当ててみる。
シンプルなアナログ接続でも、「DAP」ならではの良さが活きる!
「DAP」とは、「デジタル・オーディオ・プレーヤー」の略称だ。そしてそのポータブルタイプ、つまり携帯型のモデルが相当に普及している。もしもそれを普段使いしているのなら、それを車内でも使わない手はない。低コストでカーオーディオシステムのバージョンアップを実行できる。
というのも「DAP」ユーザーの多くは、「ハイレゾ音源」を聴くためのツールとしてこれを活用しているはずだ。そうであればより高音質な音楽ファイルを多々所有しているというわけなので、それを車内でも楽しまないのはもったいない。
また「DAP」は、内蔵パワーアンプやデジタル信号をアナログ信号に変える部分のパーツが高性能であるモデルが多い。なので「DAP」ごと車内に持ち込めば、高音質なソースユニットをシステムの核に据えられる。
そして最近は、高音質な音楽ストリーミングサービスがいくつかあり、それを「DAP」にて楽しんでいるという人も多いはずだ。そのケースでも「DAP」は車内で力を発揮する。
なお、「DAP」のカーオーディオシステムとの接続法は、「DAP」のヘッドフォン端子とカーオーディオシステムのAUX端子とをピンケーブルで繋ぐというやり方でOKだ。先述したとおり「DAP」の内蔵パーツは高性能である場合が多いので、ヘッドフォン端子からの音声出力の質が高い。しかも「ハイレゾ音源」を再生する場合ならなおさらだ。
なのでシンプルなアナログ接続であっても「DAP」ならではの良さが活きる。システムがまったくの純正状態であっても、最上流のユニットの質が上がることの効果は確実に現れる。
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高音質なBluetoothレシーバーを使って接続してもOK!
なお接続は、利便性を重視したい場合にはBluetooth接続しても良いだろう。最近のカーオーディオメインユニットは、純正・市販を問わずBluetoothに対応している機器が増えているので、もしも愛用の車載機がそうであればBluetoothを活用するのはアリだ。Bluetooth接続はワイヤレス化が果たされることに加えて、都度の接続が自動で行われることも利点だ。最初にペアリングの設定をする必要があるが、それを1度行っておけば以降は「DAP」を持ってクルマに乗り込むだけで接続が完了される。
ところで、カーオーディオメインユニットの中には高音質なBluetoothコーデックである「LDAC(エルダック)」に対応している機器がいくつか出ている。もしも愛機がそうでありさらには手持ちの「DAP」が「LDAC」対応機であれば、迷わずそれにて接続しよう。「ハイレゾ音源」も高音質な音楽ストリーミングサービスも、ワイヤレス接続でありながらもハイクオリティな音質で楽しめる。
ちなみに、もしも愛用の車載機がBluetoothに対応していない場合には、Bluetoothに対応した「FMトランスミッター」を使うとワイヤレス接続が可能になるが、高音質な「DAP」を接続する場合にはよりお薦めの方法がある。それは、「高音質なBluetoothレシーバーを使う」というものだ。
ただし、今のところ車載専用の高音質なBluetoothレシーバーは存在しないので、ホーム用の製品を使うこととなる。なので使用の際には、高温になる場所にそれを置かない等の注意が必要となる。しかしそのあたりがケアできれば、高音質なBluetoothレシーバーの使用は有効だ。で、Bluetoothレシーバーと車載機は、アナログ接続でOKだ。
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プレイリストを活用すると、操作面での不利を払拭可能に!
なお、「DAP」は車内で使いにくいという側面がある。というのも多くの「DAP」はタッチパネルにて選曲等の操作を行うが、運転中に画面を見ずに操作するのは困難だ。また、ステアリングリモンコンとも連動しない。
しかし、運転中には操作をせずに「DAP」を楽しむ方法もある。それは「プレイリストの活用」だ。
「プレイリスト」とは自分で作るベスト盤のようなものだが、曲数を絞るのではなく100曲とか200曲とか1つのリストに大量に入れておくと、それをシャッフル再生すればロングドライブに出たときでも好きな曲だけが次々かかり、しかも同じ曲が何度もかかることがない。そしてそのような使い方をする際には、選曲等の操作は特に必要なくなる。ゆえに、「DAP」の操作面での不利を払拭できる。
ところで、カーオーディオにてとことん高音質を追求しようとする際にも「DAP」は力を発揮する。デジタル出力を持つ「DAP」であれば、デジタル入力を持つ「DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)」とのデジタル接続が可能となり、高音質なソースユニットと高度なサウンド制御ユニットとの強力タッグを完成できる。
もちろんこれを実行する場合にはある程度のコストがかかるが、パワーアンプを内蔵している「DSP」の中には比較的に手頃なモデルもある。すでに高音質な「DAP」を所有しているのなら、「パワーアンプ内蔵DSP」を導入するという手も検討してみよう。10万円しないモデルもあり、そういった機種を選んでも一気にシステムの実力が上がる。参考にしてほしい。
今回は以上だ。次回以降もリーズナブルなカーオーディオの楽しみ方を紹介していく。乞うご期待。
太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。