純正の使い勝手をキープしつつ高音質化を目指したブリーズのデモカー・プジョー『208』。高音質化の根幹となったのはDSPアンプの搭載だった。音源は普段使っているスマホをそのまま用いるのも多くのユーザーがすんなり受け入れられるシステム構成だろう。
◆音源再生システムをスマホ+DSPに変更
デモカーの音質改善の最優先課題となった



デモカーをプロデュースする際に、真っ先にプジョー208の純正サウンドを確かめたブリーズ。そこで、最大の弱点と感じたのが純正デッキの音の傾向だった。不自然に低音を持ち上げたようなサウンドに感じられ、このままのシステムでスピーカーを強化してもデモカーとして満足いくサウンドは得られないと判断。そこで最初に取りかかったのがプレイヤーの変更だった。
採用したのはスマホをプレイヤーにしてDSPアンプを介したシステムだった。DSPアンプに選んだのはマッチのUP6DSP。6チャンネルの内蔵アンプ(7チャンネルDSP)を内蔵したこのモデル、フロント2ウェイ+サブウーファー(リアスピーカーのドライブも可能)を構築できるDSPアンプであること、さらには小型モデルで取り付けスペースを選ばないこと、そして音質面でセレクトされた。
取り付けスペースはコンソールの内部に完全に隠して設置するので存在をまったく感じさせない。唯一DSPアンプがシステムに加わっていることを感じさせるのがCONDUCTORだ。DSPの操作とLEDによるインジケーターを備えたシンプルな操作&表示部だ。コンソール部にスマートに設置され、ボリューム操作、メモリー切り替え、入力切り替えなどが行える。
◆純正とは別ルートのシステムを構築し
高音質化とスマートな使い勝手を両立した


プレイヤーとして用いるのはスマートフォン。今やユーザーの多くはスマホに多くの曲を収録して日常生活の中でも音楽プレイヤーとして普段使いにしているのがポピュラー。そんな普段の音楽環境をそのまま車内でも使えるようにするのがデモカーとしての狙いのひとつ。ユーザーが特別な音源を用意すること無く、普段のままのスマホを車内に持ち込むだけなのでオーディオシステムを組む際のハードルが低くなるのもメリットだろう。しかも高音質なのも魅力的なデモカーとなった。
システム概要としては先に紹介したDSPアンプ(ヘリックスUP6DSP)を経由して前編で紹介したESBのフロント2ウェイスピーカー(ESB5.028/ESB5.165)、さらにはブラムのパワードサブウーファー(CRS27A)の各スピーカーを調整&ドライブするシステムを構築する。その結果純正のオーディオシステムはほとんど使うこと無く(リアスピーカーは純正)、そっくりアフターユニットに載せ替えて別システムによる高音質化を果たしているのもこのデモカーの特徴だ。純正デッキの音質に不満を持ったショップが、純正ライクな使い勝手と加工を最小限にしつつ高音質化を実現するために採用したシステムがこれだった。
◆純正システムの使い勝手をそのまま踏襲
ステアリングリモコンを利用できるのも魅力


使い勝手という面でもブリーズのデモカーは純正オーディオに慣れ親しんだユーザーにも受け入れやすいシステムとしているのも見どころ。その最たるものは純正ステアリングリモコンを利用できる点だろう。スマホをブルートゥース接続することでステアリングリモコンを使ってオーディオの操作ができる点が使い勝手が良い。ボリューム操作やトラックチェンジなどが手もとで操作できるので純正システムに慣れ親しんだユーザーでも違和感なく使いこなせる。
難しいシステムの知識や、特別な操作などを必要とせず、スマートに高音質化ができるシステムの一例としてブリーズが提案するプジョー208。DSPアンプを中心にスピーカー、サブウーファーというミニマムなシステム構成でありながら、レベルの高いサウンドを実現したデモカーとなった。ライトユーザーやこれからオーディオをはじめようとしているユーザーが、高いハードルを感じることなく気軽にオーディオのグレードアップを実施できるメニューになっている。ショップを訪問してそのサウンド&システム構成をあらためて体感してみると良いだろう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。